フランス国旗=「自由・平等・博愛」ではない!?

突然ですが、国旗クイズのお時間ですわ。
フランスの国旗に使われている3つのカラー、左から順に何色でしょうか?
正解は………


「青・白・赤」の3色ですわ!正解された方、Félicitations !(おめでとうございます)!
フランスの三色旗はラファイエット(または、バイイ)により、大革命期の1789年7月に発案されたといわれていますの。当時創設されたばかりだったパリ市民軍の標章「青・赤」に、フランス革命軍が帽子に付けた帽章の色「白」を足して、青・白・赤の3色の旗(トリコロール)に。最初は赤・白・青の順でしたが、空を背景にすると青が見えにくいので順番を入れ替えたんですって。

ところでみなさま、フランス国旗は「自由・平等・博愛」を示しているとお聞きになったことがおありかしら?広く浸透している話ですが、調べてみると実はそうとは言い切れないみたいですの。現行のフランスの法律では国旗の規定はあれども色の意味までは言及されておらず、同条項には国の標語として「Liberté, Égalité, Fraternité(自由、平等、博愛)」と記されていますが、こちらも国旗の色の意味を指してはいませんものね。まぁ、素敵な言葉であることに変わりはありませんわね。

フランスもイタリアもトリコロール

フランス国旗でおなじみの「トリコロール」ですが、正確には“3色の旗”を意味する言葉で、決してフランス国旗のみを示した言葉ではございませんの。フランス語でのトリコロールはフランス国旗を、イタリア語ではイタリアの国旗を意味するのだそう。なんとも翻訳家泣かせのフレーズですこと。

世界最古のトリコロール、オランダ国旗は経済的!?

フランスの国旗と同じ色を使っているのが、オランダ国旗ですわ。オランダは赤・白・青の水平三色旗で、世界最古の三色旗トリコロールとしてフランスやイタリアなど多くの国に影響を与えましたの。

そういえば、2020年の東京オリンピックをテレビ観戦しているとき、フランス人の友人がオランダの国旗を見て「マダム・ジャンビエ、知っているかい?色は似ているけれど、フランス国旗の方がお金がかかるんだよ」とニヤリ。彼の言い分はこうでした。外にかけられた旗は風にはためき、すぐに傷んでしまう。とくに掲揚ポールの設置場所は風が強いため、旗がずっとあおられポールと反対側の生地がどんどん切れていってしまうのだ、と。

それはどの国旗でも同じでしょう、と突っ込みましたが彼は続けます。
「だって、縦に色が入っている旗は色ごとの幅が決まっているから、端の色の幅だけがどんどん狭くなっていくのはおかしいじゃない。だからすぐに新調しなきゃいけないんだ!でも水平のトリコロールだと各色が均等に切れていくから修理がいらないでしょう」

ふむふむ、たしかにそう……かしら???たとえ水平のトリコロールであっても、やっぱり幅が狭くなった旗はもう使わないのではないでしょうか。彼のフランス国旗への誇りを感じるとともに、つい心の中で「それってあなたの感想ですよわね」なんて一言が浮かんでしまいましたわ。

マクロン大統領が国旗の色を変えた

現行のフランス第五共和国の下では、旗の色合いに2度の変更がありましたの。「国旗の色って変えていいの!?」と驚く方も多いのではないでしょうか。最初の変更は1976年で、欧州連合EUの旗に合わせて、エリゼ宮殿などに掲揚される国旗の青色がネイビーブルーからブライトブルー(PANTONE Reflex Blue C:※パントーンカラーは米国パントン社が展開する色見本、インキの名称)へと変えられました。そして、2度目の変更は2020年7月13日。現在の大統領であるエマニュエル・マクロン大統領によって、フランス海軍水路海洋部発行の仕様図に基づき伝統のネイビーブルーに戻されたのです。

国民へのアナウンスもなかったので、誰も気づかないまま1年の月日が経過。2人のジャーナリストの著書『エリゼ・コンフィデンシャル(Élysée Confidentiel)』で初めて明らかになり、最終的には大統領府も報道内容を認めましたわ。すぐに発表すればいいのになんて思ってしまいますが、きっといろいろな理由があるのでしょうネ。

国旗といえば、スポーツ観戦をするときに国旗を顔にペイントして応援されている方をよくお見かけします。実はあれ、私の密かな憧れですの。2024年開催のオリンピックの舞台は、花の都パリ。トリコロールにするか、日の丸にするのか迷うところですが、私も顔に国旗を描いて応援したいと思いますわ。ぜひみなさまもご一緒にいかがかしら?

今宵はこれでおしまい。
Excellente soirée! あなたにとって穏やかで明るい毎日でありますように。