「IF」の関数で大量のデータ分析もラクラク!

大量のデータを扱う時には、「○○のデータだけを△△したい」という作業が発生するものです。その場合は、データをある条件によって「IF=もし~だったら」と分岐させて考える必要がありますが、そういった作業こそExcel関数の出番です。売上管理や顧客管理など、ビジネスの場で役立つ便利な関数をご紹介します。

・IF関数:条件分岐をつける
・COUNTIF関数:条件に合うデータの個数を数える
・COUNTIFS関数:複数の条件に合うデータの個数を数える

IF関数

=IF(論理式,真の場合,偽の場合)

IF関数は「論理式」を指定し、それをもとに条件分岐を行う関数です。関数の分類は「論理」です。

指定した条件(論理式)に対し、次の2パターンで、セルに表示する内容を変えることができます。

「正しい場合(真)なら○○」
「違う場合(偽)なら△△」


また、論理式で設定する条件には、「比較演算子」を使います。

【比較演算子の種類と記述方法】
=(イコール) →左辺と右辺が等しい
>(大なり) →左辺が右辺より大きい
<(小なり) →左辺が右辺より小さい
>=(大なりイコール) →左辺が右辺以上である
<=(小なりイコール) →左辺が右辺以下である
<>(ノットイコール) →左辺と右辺が等しくない


ではIF関数を使ってどんなことができるのか、具体例をあげながら解説していきます!

商品管理データの例:在庫数の条件によって発注サインを表示させる

例えば、以下のような商品データがあり、在庫数が50個未満になったときに発注アラートが表示されるようにしたい、という場合を考えてみましょう。

数が50個未満になったときに発注アラートが表示する式を記載

論理式は「在庫数<50」、それが正しい場合(真)なら「発注」、違う場合(偽)なら「ー」と表記させたいので、C2セルに次のように記述します。

=IF(B2<50,"発注","ー")

この式をC列にコピーすると、在庫数が50未満となった商品にはC列に「発注」と表示され、発注状況が把握しやすくなります。

商品管理データの例:在庫数と注文数の比較条件から発注サインを表示させる

IF関数の論理式では、セルの値同士を比較させることもできます。

注文数が在庫数を上回ると発注サインが表示される式を記載

=IF(B2<=C2,"発注","ー")

表のように上のIF関数を入力した場合、注文数が在庫数を上回ると発注サインが表示されます。

給与管理データの例:ある条件で給与計算を行う

IF関数の「真」「偽」には文字列だけでなく、計算式を入れることもできます。

セルが選択されている状態

例えば、上の表のような社員の給与データについて、「勤務年数が5年以上であれば、基本給に5%のボーナスを加算する」というルールで総額を計算するとします。

「勤務年数が5年以上であれば、基本給に5%のボーナスを加算する」というルールで総額を計算

IF関数を使って、次のようにE3セルに入力します。

=B3+C3+IF(D3>=5,B3*0.05,0)

論理式は「勤務年数>=5」、それが正しい場合(真)なら「基本給×0.05」、違う場合(偽)なら「0」と記述しています。

この式をE列にコピーすることで、全ての社員のうち勤務年数が5年以上に該当する社員(社員Bと社員D)にのみ、基本給と役職手当のほか、ボーナスが加算された金額が総額に表示されます。

COUNTIF関数

=COUNTIF(範囲,条件)

COUNTIF関数は、条件に合うデータの個数を数えられる関数です。関数の分類は「統計」です。

アンケート管理データの例:各回答数を求める

例えば、以下のようなアンケート結果のデータについて、それぞれの回答の人数を集計するとします。

COUNTIF関数を使って集計

「はい」の回答の個数を、集計表のE2に表示させたい場合、E2にCOUNTIF関数を使って次のように入力します。

=COUNTIF(B2:B7,"はい")

「いいえ」「無回答」の場合も、範囲指定は変えず、条件の文字列をそれぞれ正確に入力することで、各回答の個数が数えられます。

=COUNTIF(B2:B7,"いいえ")
=COUNTIF(B2:B7,"無回答")

データが下に追加された場合、COUNTIF関数の範囲指定を広げることで、集計欄に自動で結果が反映されます。

商品管理データの例:目標売上高を下回った商品の数を求める

COUNTIF関数の条件には比較演算子などを入れることもできます。例えば、以下のような商品データがあるとします。

COUNTIF関数を使って条件を入力して集計

「売上高が50万円以上の商品」の個数を数えたい場合、次のように引数に比較演算子を用いて、条件に合うデータの個数をカウントします。

=COUNTIF(D2:D6,">=500000")
※COUNTIF関数では、条件は一つしか指定できません。

COUNTIFS関数

=COUNTIFS(範囲1,条件1,範囲2,条件2,範囲3,条件3,…)

COUNTIFS関数は、複数の条件に合うデータの個数を数えられる関数です。関数の分類は「統計」です。

会員管理データの例:組み合わせた条件に合う会員数を求める

例えば、以下のような会員データがあるとします。

COUNTIFS関数の説明に使うもとのExcel

「20代」で会員ランクが「シルバーランク」かつ「保有ポイントが5,000ポイント以上」の会員数を調べたい場合、
(1)B2:B8(範囲1)に対して"20代"(条件1)
(2)C2:C8(範囲2)に対して"シルバー"(条件2)
(3)D2:D8(範囲3)に対して">=5000"(条件3)
この3つの条件設定が必要となります。

COUNTIFS関数を使い「20代」で会員ランクが「シルバーランク」かつ「保有ポイントが5,000ポイント以上」の会員数を調べる

これらを組み合わせて、結果を表示させたいセルに以下のように記述します。
=COUNTIFS(B2:B8,"20代",C2:C8,"シルバー",D2:D8,">=5000")

「範囲と条件は常にペアで設定する」ということを覚えておきましょう。

まとめ

今回は、Excelの関数の中でも、「IF」に関連するものについてご紹介しました。論理式や条件を行いたいデータの処理に合わせて適切に設定することで、膨大なデータの分析をあっという間に完了できます。実際の自分の業務に照らし合わせて、使える場面で役立ててくださいね。