事故で自動車保険を使った場合は次年度の等級が下がる
自動車保険の等級は、契約期間中の事故の有無によって決まっています。等級は1等級から20等級まであり、その等級に応じて保険料が決定される仕組みです。
1年間の契約期間中、無事故だと翌年度の等級が1等級上がるため保険料が安くなりますが、事故で保険を使うと翌年度の等級が下がるため保険料が高くなります。ただし事故の内容によっては、保険を使っても等級が下がらない場合もあります。
事故で自動車保険を使った場合は、その内容に応じて以下の3つの事故に分類されます。
- 3等級ダウン事故
- 1等級ダウン事故
- ノーカウント事故
ここからはそれぞれの事故の例について詳しく解説していきます。
1.3等級ダウンする事故の例
3等級ダウンする事故の例には、以下のようなものがあります。
- 車と衝突し対物賠償責任保険で保険金が支払われる場合
- 歩行者にケガをさせて対人賠償保険で保険金が支払われる場合
- ガードレールにぶつけて自動車修理に車両保険で保険金が支払われる場合
事故で対人・対物賠償保険、車両保険を利用した場合は「3等級ダウン事故」に該当します。
2.1等級ダウンする事故の例
1等級ダウンする事故の例には、以下のようなものがあります。
- 盗難
- 飛来物などによる窓ガラスの破損
- 落書きやいたずらなどの人的行為
- 火災や洪水による被害
偶発的な原因により車に損害が生じて、車両保険のみを利用した場合は「1等級ダウン事故」に該当します。
3.保険会社によってはノーカウント事故になる可能性も
事故で自動車保険を使った場合は原則として、等級が下がります。しかし保険会社によっては「ノーカウント事故」に該当して、保険を使っても等級が下がらない場合もあります。
ノーカウント事故の例には、以下のようなものがあります。
- 自身のケガで人身傷害保険金のみ支払われる場合
- 弁護士費用保険金のみ支払われる場合
- 車両保険無過失事故特約が適用されて車両保険が支払われた場合(もらい事故など)
この他にもノーカウント事故はありますが、保険会社によって異なるため、詳細は保険会社または加入の代理店へ確認してください。
何等級ダウンするかで加算される事故有係数適用期間が決まる
先述した通り、1年間の契約期間中に事故で保険を使うと原則として次年度の等級が下がるだけではなく、更改後の契約で「事故有の割増引率」が適用されるため、割引率が低くなります。更改後の割引率が低くなる期間のことを「事故有係数適用期間」といい、等級によって適用される割増引率が異なります。
※参考:損保ジャパン「THE クルマの保険」パンフレット
1.1等級ダウンなら1年加算
1等級ダウン事故が発生した場合は、事故有係数適用期間が「1年」加算されます。現在20等級の場合で「1等級ダウン事故」が発生すると、翌年は19等級に下がって「事故有係数」の割引率が適用されます。なお、事故が発生してから2年後は事故有係数が「0年」に戻るため、以前と同じ割引率が適用されます。
現在20等級で1等級ダウン事故が発生した場合は、以下のようになります。
無事故係数 | 事故有係数 | |
---|---|---|
令和6年4月 ※1等級ダウン事故発生 |
20等級(0年) 63%割引 |
− |
令和7年4月 | − | 19等級(1年) 50%割引 |
令和8年4月 | 20等級(0年) 63%割引 |
− |
また割引適用前の保険料を10万円と仮定すると、事故発生後に更改した保険料は以下のようになります。(等級による割引率のみを勘案し、その他の保険料変動要素は考慮しない計算)
等級 | 割引率 | 保険料 |
---|---|---|
20等級 | 63%割引(無事故) | 37,000円 |
19等級 | 50%割引(事故有) | 50,000円 |
2.3等級ダウンなら3年加算
3等級ダウン事故が発生した場合は、事故有係数適用期間が「3年」加算されます。現在20等級の場合で「3等級ダウン事故」が発生すると、翌年は17等級に下がって「事故有係数」の割引率が適用されます。なお、事故が発生してから4年後は事故有係数が「0年」に戻るため、以前と同じ割引率が適用されます。
現在20等級で3等級ダウン事故が発生した場合は、以下のようになります。
無事故係数 | 事故有係数 | |
---|---|---|
令和6年4月 ※3等級ダウン事故発生 |
20等級(0年) 63%割引 |
− |
令和7年4月 | − | 17等級(3年) 44%割引 |
令和8年4月 | − | 18等級(2年) 46%割引 |
令和9年4月 | − | 19等級(1年) 50%割引 |
令和10年4月 | 20等級(0年) 63%割引 |
− |
また割引適用前の保険料を10万円と仮定すると、事故発生後に更改した保険料は以下のようになります。(等級による割引率のみを勘案し、その他の保険料変動要素は考慮しない計算)
等級 | 割引率 | 保険料 |
---|---|---|
20等級 | 63%割引(無事故) | 37,000円 |
17等級 | 44%割引(事故有) | 44,000円 |
等級が下がると割引率も下がるため、保険料は約1.5倍となります。
自動車事故で保険を使うときの注意点
1.新規で契約しても下がった等級はリセットされない
保険を使って等級が下がった場合は、他社にも等級が引き継がれることを覚えておきましょう。等級や事故歴は保険会社間で共有されており、保険会社を変更したとしても等級は変わりません。
保険を解約して他社で新規契約する場合でも等級や事故有係数適用期間は引き継がれるため、保険料が上がったとしても事故有係数が「0年」になるまで継続することをおすすめします。
自動車保険の等級は引き継ぎOK!引き継ぎの方法や注意点を解説します
2.等級が低いと自動車保険に加入できない場合がある
等級ダウン事故を何度も起こしてしまうと、等級が「1等級」や「2等級」になる場合があります。すると保険会社の判断によっては、自動車保険の継続・新規加入ができない場合があります。
等級制度は「6等級」から始まるため、「1等級」や「2等級」の人は短期間で事故を繰り返している人と判断されてしまうからです。短期間で何度も保険を使うと保険に加入できなくなる場合があるため、事故で保険を使うか迷ったら取扱代理店か保険会社へ相談するとよいでしょう。
事故が起きた際は保険会社や代理店へ相談しよう
自動車事故で保険を使うと、事故の内容に応じて等級が下がります。ただし「ノーカウント事故」に該当すれば等級が下がらない場合もあるため、事故が起きた際は保険会社または加入の代理店へ相談するようにしましょう。事故の被害状況によっては、保険を使わないほうが良い場合もあります。
損保ジャパンの「自動車保険サクっと見積り」は、保険料を概算で算出するお見積りサービスです。お見積り結果の確認後、さらに詳しい補償内容について保険のプロである代理店へお問い合わせいただくことも可能です。
※このコラムでご案内した内容は概要を説明したものです。詳細につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。なお、補償の内容・取扱い・特約名称等は、引受保険会社により異なります。詳細は各引受保険会社までお問い合わせください。