1. 自動車保険の等級とは

自動車保険の「等級」とは、契約者の事故歴に応じて保険料の割引・割増が適用される制度のことです。各保険会社が共同で運用・導入しており、契約ごとに1等級から20等級(一部共済では22等級)まで設定されています。

初めて自動車保険に加入するときは原則として6等級からスタートするほか、等級に応じて保険料の割引率が以下のように変わります。

・等級が上がる(数字が大きくなる):割引率が高くなる
・等級が下がる(数字が小さくなる):割引率が低くなる

継続してご契約される場合の割増引率のグラフ

なお、1年にわたって無事故で保険を利用しなかった場合、次回更新時に等級が1つ上がります。一方で、事故を起こすと1事故につき1等級または3等級下がる*ことに注意しましょう。

*事故の種類によってはノーカウントとなり1等級上がる場合もあります。

✔ 事故有係数の考え方について

事故有係数とは、事故歴に応じて適用される割増引率のことです。事故を起こして、自動車保険から所定の保険金を請求すると、翌年から一定期間にわたって「事故有係数」が適用されます。

▼適用例
・3等級ダウン事故を起こした場合は翌年の契約から3年間
・1等級ダウン事故の場合は翌年の契約から1年間

同じ等級の場合、事故有と事故無では事故有の保険料のほうが高くなります。

2.等級が引き継げる3つのケース

自動車保険の等級が引き継げるケースは、主に以下の3つです。

1. 家族から等級を引き継ぐ場合
2. 車の買い換えに伴い、新しい車に等級を引き継ぐ場合
3. 保険会社の乗り換えに伴い、等級を引き継ぐ場合

このうち「1.の家族から等級を引き継ぐ場合」について、相手は以下の条件を満たす必要があります。

・現在の記名被保険者の配偶者
・現在の記名被保険者の同居親族
・現在の記名被保険者の配偶者の同居親族

ここでいう親族とは「6等親以内の血族」および「3等親以内の姻族」を指します。配偶者については内縁関係であっても認められる一方、保険会社に対して内縁関係にある旨を証明しなければなりません。

また、親族が等級を引き継ぐ場合、記名保険者または配偶者と同居していなければならない点に注意が必要です。子どもに車を購入し、等級を引き継ごうと考えたものの、進学や就職で他県にいることから引き継げなかったというケースも少なくありません。進学や就職、結婚等の理由で別居になる可能性が高い場合、同居している間に等級の引き継ぎを済ませておくようにしましょう。

3. 自動車保険の等級を引き継ぐ方法

ここでは、自動車保険で等級を引き継ぐ方法についてケース別に紹介します。

・家族間の等級引き継ぎ
・記名保険者が死亡した場合の等級引き継ぎ
・車の買い換えに伴う等級引き継ぎ
・保険会社間での等級引き継ぎ

3-1.家族間の等級引き継ぎ

家族間で等級を引き継ぐメリットとして、保険料の負担を軽減できる点が挙げられます。

親と同居している子どもが新たに車を購入した場合、任意の自動車保険への加入を検討する人が多いでしょう。しかし、同居の子どもが新たに自動車保険に加入すると保険料が高くなりがちです。その際、保険料の割引率が高い親の保険を引き継ぐことで、子どもの保険料負担を軽減できる可能性があります。

家族間で等級を引き継ぐメリットの図

なお、親が同居の子どもに等級を引き継ぐと、子は親の等級を引き継ぐ一方、親は無保険状態となってしまいます。よって、親が引き続き車に乗る場合には新たに保険の加入が必要です。保険に入り直した場合は新規加入の扱いとなるため、6等級またはセカンドカー割引*が適用となる場合は7等級からのスタートになります。

【等級引き継ぎの流れ】
1. 現在加入している親の契約で車両入替手続きを行うのと同時に、契約者・記名被保険者を子に変更する
2. 子の車に親の等級が引き継がれる
3. 親が新たに自動車保険に加入する(※セカンドカー割引適用)

*セカンドカー割引とは、2台目の車に初めて自動車保険を契約する場合、7等級からスタートできる制度のことです。適用するには「すでに保有している車の等級が11等級以上である」などの条件を満たす必要があるので、前もって確認しておくとよいでしょう。

3-2. 記名被保険者が死亡した場合の等級引き継ぎ

記名被保険者が亡くなった場合も、家族に等級を引き継ぐことができます。ただし、この場合であっても等級が引き継げる相手は「現在の記名被保険者の配偶者」「現在の記名被保険者の同居親族」「現在の記名被保険者の配偶者の同居親族」に限られる点に注意が必要です。

なお、すぐに等級を引き継がない場合「中断証明書」を発行することで、最長10年間は等級を維持できます。

3-3. 車の買い換えに伴う等級引き継ぎ

車を買い換えた場合、「車両入替」の手続きによって等級を引き継ぐことができます。ただし、手続きをせずに新しい車を運転すると必要な補償が受けられない恐れがあるため、早めに手続きをするとよいでしょう。

なお、車両入替手続きを失念していた場合、新車が納車された翌日から30日以内に手続きを済ませることで失念していた間に起きた事故についても補償を受けられます(※ただし猶予が適用されるのは一定の条件を満たした場合に限られる)。

また、6等級以上で車両入替手続きをせずに新たに自動車保険に加入すると、新規契約の扱いとなり等級が引き継がれないので注意が必要です(ただし1~5等級、いわゆるデメリット等級の場合はその等級を引き継ぐ)。

3-4. 保険会社間での等級引き継ぎ

保険会社を変えた際も基本的には等級の引き継ぎができますが、一部の共済から損害保険会社への等級引き継ぎができないなどのケースもあるので注意しましょう。

なお、保険会社間で等級を引き継ぐ場合、契約期間中に保険会社の変更を行うと原則として等級が上がりません。自動車保険を切り替えるタイミングは慎重に判断するようにしましょう。

✔ 等級の引き継ぎができないケース

以下のケースに該当する場合、等級の引き継ぎができない点に注意が必要

・次の補償日まで期間が空く場合
・事故を隠していた等の理由で保険会社から契約を解除された場合

自動車保険の解約または保険期間満了後に新たに自動車保険に加入しない場合、解約または保険期間満了から8日以上経過すると等級が消滅する。(1~5等級(デメリット等級)の場合、等級は一定期間消滅せず、次に保険に加入する際はその等級を引き継ぐ)

また、告知義務違反等があった場合も等級の引き継ぎが認められないほか、場合によっては契約解除となる恐れがある。

4.まとめ

今回のコラムでは、自動車保険の等級や引き継ぐ際の条件等についてお伝えしました。

自動車保険の等級は一定の条件を満たした上で、配偶者や同居する家族をはじめ、車を買い換えたときなどに引き継ぐことができます。子どもが新しく自動車を購入し、保険に加入した際に同居家族間で等級を引き継ぐことで保険料の総額を抑えられるでしょう。

保険会社によって引き継ぎ条件や適用できる割引率が異なるケースがあるため、自分の家族が自動車保険への加入を検討している際は前もって詳しい内容を確認しておくことをおすすめします。


※このコラムでご案内した内容は概要を説明したものです。詳細につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問い合わせください。なお、補償の内容・取扱い・特約名称等は、引受保険会社により異なります。詳細は各引受保険会社までお問い合わせください。

SJ23-05190(2023.7.26)

サクっと見積り
サクっと見積り