そもそも自動車保険とは
「自動車保険」はその名のとおり、自動車事故などによって生じた被害や損害を補償するための制度です。加入している保険に応じて、運転者や同乗者のケガだけでなく、事故相手のケガや物的損害なども補償されます。
2023年度の交通事故件数は30万7,930件で、うち死亡事故は2,618件、重傷事故件数は2万6,288件にものぼります*。万が一事故を起こして被害者が死亡もしくは大きな後遺障害が残った場合、数千万から数億円単位の賠償金が課せられる可能性もあり、そうなると個人の資産だけでは到底支払えません。いくら安全運転を心がけていても、予期せぬ事故は誰にでも起こり得ます。安心のカーライフを送るためにも、自動車保険には必ず加入しておきましょう。
*出典:公益社団法人交通事故総合分析センター
自動車保険は2つに分けられる
相手への補償 | 自分への補償 | |||
---|---|---|---|---|
死亡・ケガ | 車・物 | 死亡・ケガ (自分・同乗者) |
車・物 | |
自賠責保険 (強制保険) |
○ | × | × | × |
自動車保険 (任意保険) |
○ | ○ | ○ | ○ |
自動車保険には、「自賠責保険(強制保険)」と「自動車保険(任意保険)」の大きく2種類があります。それぞれの補償内容や範囲を解説します。
1.自賠責保険(強制保険)
自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済」で、強制保険とも呼ばれるものです。交通事故を起こした加害者側の損害賠償能力の確保や被害者救済などを目的とした制度で、被害の程度に応じて下記の支払限度額が設定されています。
死亡による損害 | 最高3,000万円 |
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後遺障害による損害 | 最高4,000〜75万円(後遺障害等級による) |
傷害による損害 | 最高120万円 |
神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合 | 常時介護:4,000万円(第1級)、随時介護:3,000万円(第2級) |
上記以外の後遺障害 | 3,000万円(第1級)~75万円(第14級) |
強制の名のとおり、自賠責保険への加入は法律で定められており、すべての自動車(原動機付自転車、電動キックボードを含む)は未加入の状態では運転ができません。万が一無保険のまま運転した際は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金ならびに、免許停止処分を受ける違反点数6点の処分がなされます。
自賠責保険への加入手続きは、自動車の販売店や各損害保険会社などで行えます。自動車損害賠償責任保険基準料率が定められており、保険料は車種と契約年月に応じて一定です。
2.自動車保険(任意保険)
“車の保険”と聞いてイメージされるものが、損害保険会社によって提供されている「自動車保険(任意保険)」です。自賠責保険との大きな違いは、強制ではなく任意加入であることです。被害者救済を主な目的とする自賠責保険とは異なり、補償範囲は運転者や同乗者の人的被害、相手の車や物に対する損害補償などにも広がります。契約内容に応じて補償の限度額は異なりますが、自賠責保険よりも高い金額を設定することができます。
任意保険であるため加入していなくとも罰則は科せられませんが、“自賠責保険で足りない部分を任意保険でカバーする”のが一般的です。実際に損害保険料率算出機構の2022年度の統計によると、約75%が任意保険に加入しており、共済を含めると約89%の加入率となっています。
つまり、相手のケガや死亡の補償に限定されている自賠責保険と異なり、自動車保険では双方の人的被害ならびに物的損害までがカバーされます。車を運転するうえでの多様なリスクに備えるために、自動車保険は存在しているのです。
自動車保険(任意保険)の補償内容
自動車保険(任意保険)の補償内容はさまざまで、相手側の人的被害を補償する「対人賠償保険」、相手の車や物の物的損害を補償する「対物賠償保険」、自分や同乗者の被害を補償する「人身傷害保険」、自分の車の被害や盗難などを補償する「車両保険」など、目的の異なる補償が組み合わさっています。
補償対象 | ||
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人 | 自動車・物 | |
相手に対する補償 |
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自分および搭乗者に 対する補償 |
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ひとくちに自動車保険といっても、補償内容や保険金の支払限度額などは保険会社や商品によってさまざまです。「個⼈賠償責任特約」や「ドライブレコーダー特約」など、損害保険会社独自のオプションも用意されています。安心できる保険に加入するためにも、あらかじめ複数の保険会社をしっかり比較検討しましょう。
自動車保険の申し込み方法
自動車保険の加入方法は、インターネットや電話を通じて個人が直接、損害保険会社と契約する「ダイレクト型」と、保険代理店を介して加入する「代理店型」の2つに分類されます。それぞれの特性を理解したうえで、自分に合った方法を選択しましょう。
1.ダイレクト型
「ダイレクト型」はネット型・通販型とも呼ばれるもので、WEBや電話経由で加入手続きを行います。最大のメリットは、代理店型よりも保険料が安くなる傾向にあることです。そのため、保険料を抑えたい方に適しています。ただし、保険金額やオプションの有無など補償内容を自ら調べて決める必要があります。
2.代理店型
「代理店型」のメリットは、保険に詳しいスタッフに直接相談しながら商品や補償内容を決められることです。疑問点を確認することができるため、初めて保険を選ぶ人にとってはとくに安心感が大きいでしょう。一方で、保険料はダイレクト型より高くなる傾向があります。
自動車保険加入時は、保険会社独自の特約や割引制度もチェックしよう
自動車保険(任意保険)では、保険会社や商品によって補償内容やオプション特約が異なります。初めて車を購入したときこそ、自動車保険についてしっかり調べるベストタイミング。各保険会社や補償内容をじっくり比較したうえで、納得できる保険に加入しましょう。