かかりつけ医は大切なパートナー

かかりつけ医とは、健康診断や予防接種を受けたり、ちょっとした熱や下痢のような病気の時、体調を崩した時に受診するなど、お子さまの健康や発達について継続的に相談ができる身近な医師のこと。日頃から決まった先生に診てもらっていると、かかりつけの先生は「今日は顔色が悪い」など少しの変化にも気づくことができます。その日に初めて診た患者さんではこうはいきません。医師がお子さまの生活環境や病歴、健康状態などを把握していることで適切な診断や治療、アドバイスができるので、かかりつけ医を持つことは大切です。
どうやってかかりつけ医を探せばいいのかという声を耳にしますが、これは「結婚相手とどう巡り合うか」に似ている話かもしれません。。100%ウマの合う相手なんていないけれど、2人以外の組み合わせは考えられない。そんな熟年夫婦のように、長く深い信頼関係を築いていける…そんなお医者さんと巡り合えるといいですね。

赤ちゃんを抱っこする夫婦のイラスト

よいお医者さんとは何でしょうか

薬を出してくれる医師、やさしい医師などさまざまな意見があると思いますが、昔から名医は「診立(みた)てのよい医者」と呼ばれています。医師の腕の見せ所は診断にあります。患者さんの容態を多面的に把握して、いろいろな病気や病態の可能性を考え、適切な対応を施すことが肝要であり、その判断の精度が高い(診立てがいい)ことが医師にとっては重要なのです。

普段と違うと感じたら早めにかかりつけ医へ

かかりつけ医は健康の相談役として何でも気軽に聞ける相手なので、お子さまの様子が普段と違うと感じたら早めに受診しましょう。「このくらい軽い症状で診察に行ってもいいのかな」「もう少し様子を見ようかな」と迷うママ・パパがいるかもしれませんが、医師が「様子を見る」という時は、薬を使い、検査もしたうえで、薬の効果の出現を待つという場合なので、ママ・パパの言う意味とは大きく異なることを知っておきましょう。

「風邪」という病気は存在しません

冬は流行しやすい時期です。新型コロナウイルス対策で行ってきた、手洗い・うがいなどである程度の感染症は防ぐことができるので、引き続き習慣にしていきましょう。
さて、「風邪を引いたみたいなのでお薬をください」と受診される患者さんがいますが、そもそも風邪とは何でしょうか?  実は風邪という病気はなく、さまざまな病気が「風邪」と呼ばれているのです。大半はウイルスや細菌による感染症ですが、例えばリウマチや癌のような感染症ではない病気も「風邪症状」で来院する場合もあります。「風邪」と自分で決めつけていると、稀にこういう大病を見逃すことがあります。

細菌が原因の場合は、病原体を殺す抗生物質薬を使うことが大切です。ウイルスが原因の場合、ウイルスに効く薬は限られているので、原因がわかっても治療できないことが多いのです。こうした理由から、医師の役目は風邪の症状があるからといって、ただ薬を出すことではありません。お子さまを診てさまざまな可能性を考え、ベストな対応をすることが必要となります。

早期受診&早期診断が大切なポイント

医師がベストな対応をするためにも、早めの受診が原則です。午前中から熱があるのに様子を見て夜間診療に行くのはおすすめしません。なるべく診察時間内に受診できるように心がけましょう。様子が違うと感じたら早期受診、早期診断が大切なポイントです。
そして受診後は、お子さまの辛い症状が少しでもラクになるようにホームケアをしながら、安静に過ごしてください。お子さまは病気にかかりながら免疫力を高め、丈夫になっていきます。ママ・パパがどんなに気をつけていてもすべての病気を排除できるわけでありません。悪化させたり長引かせたりしないように気をつけていきましょう。

子供を診察するドクターのイラスト

感染症の2つの主な原因

ウイルス

●風邪の症状を引き起こすウイルスは200 種類以上
●単独では増えず、人などの動物の細胞の中でしか増殖できない
●ウイルスには下記の2種類がある
アルコール消毒が有効なウイルス
・新型コロナウイルス・インフルエンザ・RS ウイルス・パラインフルエンザウイルス など
アルコール消毒が効かないウイルス
・ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス・ライノウイルス など

細菌

●自己増殖ができ、例えば置きっぱなしのお肉や野菜の上でも増えることが可能
●病気を引き起こす病原菌だけではなく、私たちの役に立つ乳酸菌などもある
●治療には適正な抗生物質の使用が有効
・マイコプラズマ ・溶連菌 ・肺炎球菌 ・大腸菌 ・サルモネラ菌 など
◆ウイルスと細菌のサイズのイメージ

ウイルスと細菌のサイズのイメージ
「ウイルス」直径約0.1マイクロメートル、電子顕微鏡を使わないと見られない。
「細菌」ウイルスの約100倍、直径約1マイクロメートル~約10マイクローメートル、顕微鏡で見ることができる。
※マイクロメートル=1ミリメートルの1/1000