発熱

子どもは年齢が低いほど平熱が高いです。37.5℃以上が発熱であり、37.5℃未満は微熱でなく正常なのです。また37.5℃以上がすべて心配な熱でなく、39℃以上は気にしてください。
表1が注意すべき熱です。最も恐ろしいずいまく炎はワクチンでの予防をお願いします。たとえ熱があっても、ぐったりせず、少しずつの飲食が可能ならば慌てる病気は少ないです。
一方、熱がなくても、食欲や活気がない、異常な不機嫌は要注意です。

表1.注意が必要な発熱

けいれん(ひきつけ)

ほとんどが「熱性けいれん」です。子どもの7~10%が経験し、まれなものではありません。38℃以上の発熱に伴って、生後6ヵ月~60ヵ月までの児に起こり、数分以内で止まります。「冷静に!」は難しいでしょうが、「命に別状なし!」を思い出してもらえればと思います。やがて意識がもどり、泣きだしますので何もしないで結構です。舌を噛むことはありませんので、口の中に指や箸を入れたりするとかえって危険です。大声で呼んだり体をゆすったりせずに、横向きに寝かせてください。そうすれば、吐いたとしても吐物がのどにつまりません。
非常にまれですが、ずいまく炎、てんかんなどもありますので、けいれんが止まったら電話で医療相談してください。けいれんが10分以上続くようなら、救急車を呼んでください。

熱がある子供と母親のイラスト

せき・鼻みず

「かぜ」か「アレルギー性」のものが考えられます。せきが連続性で止まらない、顔色が青い(チアノーゼ=酸素不足)、息苦しがるなどの場合は早めに受診ください。また、声がかれ(嗄声 させい)、犬が吠える様なせき、ゼイゼイ(吸気性喘鳴 きゅうきせいぜんめい)などはクループが疑われ、息が苦しくなる場合がありますので受診ください。
乳幼児の鼻汁に抗ヒスタミン薬服用は、悪影響であることがわかっています。けいれんを誘発したり、意識がもうろうとなることがあります。薬より鼻水吸い器(ぜひ常備ください)で吸ってあげてください。

腹痛

救急車で受診するほどの激しい腹痛の3人に1人がなんと「便秘」なのです。浣腸で硬いコロコロ便が出た後は、ニコニコ顔で帰っていきます。便が出ていない日、出ていないのが続いている場合は自宅でまずは浣腸をお願いします。家庭で第一に常備する薬が「浣腸」なのです。浣腸しても腹痛が続く、出てきた便に血がある時は受診ください。

嘔吐・下痢

感染性胃腸炎(お腹にくるカゼ)が考えられます。ほとんどウイルス性で、家族内で広がるノロウイルス、乳幼児が中心のロタウイルス(白色便も。ワクチン有)、アデノウイルスが代表です。吐物・下痢の処理はマスク・手袋着用で、特にノロは感染力が強いので家族、職場、地域で流行しやすい。感染予防の基本の手洗いを十分に!
嘔吐は、ほとんど2~3時間、長くても半日で止まる事が多いので、まず様子を見ても良いでしょう。それ以上長く続く場合は胃腸の病気以外のずいまく炎や低血糖症などの病気も考えなければいけませんので受診ください。
下痢はお腹の腐敗物や毒素などの有害なものを出す反応ですので、下痢止めで止めずに出してしまいましょう。服用するにしても整腸剤で良いです。
嘔吐で胃液、下痢で腸液などの体液を失いますので、経口補水液(OS-1)を少しずつ繰り返し飲ませて、飲めるようならば点滴なしで自宅回復が可能です。

発疹(ぶつぶつ)

救急が必要なものは、食べ物によるアレルギー反応としてのじんましんです。同時に息苦しがる時は、食物アレルギーの強い反応が心配されますので早急に受診ください。夏は汗疹、冬は乾燥性湿疹、かゆみがひどいと虫刺されやアトピー性皮膚炎などが考えられます。熱をともなう場合は受診してください。