脱臼した時の応急処置とは?
子どもがキャッチボールをしていた際に、肩を痛めたようで、泣いて帰ってきました。もしかしたら脱臼しているかもしれません。脱臼した際の治し方を教えてください。
脱臼を整復しようとしてはいけません。
■脱臼とは
脱臼とは関節に力が加わり、骨がはずれ骨の正常な位置を維持できていない状態です。スポーツや遊びの中で起きる、骨折、脱臼、ねんざは複合して起きることが多く、また肘関節の脱臼(肘内障)と錯覚されるケースもあります。
しかし、脱臼により靱帯や血管を損傷することがあるので、自己判断しないで早く医師に診てもらいましょう。脱臼は、患部に「くぼみ」ができます。
脱臼(捻挫、骨折、打撲、突指、肉離れなど)の治し方には「RICE処置」を覚えておくと安心です。
■RICE処置とは
【 R(Rest / 安静) 】
脱臼を整復しようとしてはいけません。本人が痛がらない状態で脱臼部分を押さえたまま病院へ行きましょう。
【 I(Ice / 冷却) 】
脱臼部分が腫れたり熱を持っている場合は脱臼部分を冷やす。
【 C(Compression / 圧迫) 】
脱臼部分が肩ならば、痛がらない状態で首から三角巾を吊し、片方の手で脱臼部分をサポートするように手をそえる。
【 E(Elevation / 上げる) 】
脱臼部分が痛くない程度に、指先を心臓よりも高い位置にもっていき固定する。
脱臼部分だけでなく、顔色や指先の血色にも注意を払いながら直ぐに病院へ連れて行きましょう。
■肘内障とは
肘内障とは急に手を引っ張ったときなどに、肘の細い靱帯がずれて、肘が抜けたように腕がだらりとなります。手のひらを後ろに向けた状態で、肘を曲げることができなくなります。肘内障部分に痛みが伴いますので、なるべく早く整形外科か接骨院を受診してください。
脱臼とは違い肘関節の骨と骨をつないでいる輪状の靱帯がずれた状態で、肘内障は筋肉や靱帯が発達する7歳以降にはほとんど見られなくなりますが、クセになりたびたび繰り返すようなら、整形外科で治し方を教えてもらっておくといいでしょう。
1. 子どもと向かい合い、手のひらを上に向けた状態で片方の手で肘関節を支える。
2. もう一方の手で手首を軽く持つ。
3. そっと引っ張りながら子どもの手の平が上向けになるよう半回転させる。
4. 肘関節の内側にコリッとした手ごたえが感じられ元に戻る。
5.これで痛みが消えないなら、接骨院(整骨院)か整形外科を受診しましょう。
しばらく安静にするためにも、軽く包帯を巻くのもよいでしょう。
■応急手当ての目的
今回は、誰でも簡単に身につけられる脱臼・肘内障の応急手当てをご紹介いたしました。応急手当(ファーストエイド)とは、怪我や急病のときそれ以上「悪化させない」ように「苦痛を軽減」し、なるべく早く医師の手当てを受けさせることを目的としています。
ファーストエイド・インストラクター 鹿口恵子
突然のケガなどに、誰でもできる応急処置をご案内します。
突然のケガや急病の時に、「それ以上悪化させない」、また「苦痛を軽減」するために応急処置をご紹介していきます。日ごろから応急処置の方法を知っておくことで、突然の事故でも正しい対応が可能になります。
【資格】 | 財団法人日本交通安全普及協会チャイルドシート認定指導員。 東京都消防庁認定 応急手当普及員。 モータースポーツ・ライフセービング機構「ドライバー&子供の応急手当」インストラクター。 NPOキッズデザイン協議会会員。日本交通医学工学研究会会員。 |
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