最近は自動車の燃費性能がクルマ選びの重要な要素になってきています。でも、どんなに優れたエコカーを買ってもその使い方が間違っていればCO2削減には効果が半減してしまいます。そこで今回はクルマの性能に深く関係するタイヤに注目しながら、安全で環境に優しいタイヤとはどんなものなのか勉強しましょう。
空気圧とエコ
私は常日頃から自動車に使われるタイヤは「安全と環境が大事」と述べてきています。雨の日に交通事故が多いのは視界が悪くなるからだけではなく、クルマの走行性能を支えているタイヤの性能が低下することも原因です。すり減ったタイヤや空気が充分に入っていないタイヤはなおさら性能が低下しやすいのです。
まずタイヤにとって重要なのは空気圧です。空気圧のおかげで重いクルマの重量を支えることができるし、高速道路でも安心してスピードを出せるわけです。しかし、空気は自然と抜ける特性を持っているので、一月に一度は空気圧をチェックする必要があります。もし、空気が減るとタイヤは偏摩耗の原因となったり、本来の性能が発揮できません。
さて、タイヤには必ずそのクルマに見合った適正(指定)空気圧が自動車メーカーによって指定されています。ドアの内側や給油口の蓋に記載されていると思いますのでいちど確認してみてください。空気圧が低いとタイヤの転がり抵抗が増加しクルマの燃費が悪化します。転がり抵抗は一般的に空気圧が0.1kg/cm2程度下がると約2%悪化すると言われています(2.0kg/cm2を中心値として)。従って、0.5kg/cm2でなんと10%も転がり抵抗が悪化します。ちなみに転がり抵抗と燃費の関係は一般的に大体1/7程度と言われています。つまり、空気を正しく入れておくだけで安全と環境に優しいカーライフを送ることができるのです。
ところで、空気圧は厄介なもので、走りだすと温度で空気圧は簡単に10~20%上昇します。したがっていつチェックするのかという疑問が生じます。基本は冷えている時に、約10%多めに空気を入れるといいでしょう。数年前にアメリカではタイヤの空気圧不足でSUVが横転する事故が相次いだことを受けてアメリカ政府は新車にタイヤの空気圧計を装備することを義務化してます。日本も近いうちにタイヤの空気圧計を装備することが義務化されそうですが、欧州ではCO2削減の有効な手段として空気圧計の義務化が注目されています。
エコタイヤ
さらに最近はエコタイヤという商品に人気があります。転がり抵抗が少なくタイヤを履き替えるだけで数%も燃費が向上するというのがうたい文句です。しかし、転がり抵抗の少ないエコタイヤは雨のグリップ力が心配です。転がり抵抗とウェットグリップは二律背反しやすい関係にあるからです。そこで、日本のタイヤ業界は自主的に「低燃費とウェットの安全性」に関するエコタイヤの情報公開を始めました。新商品のタイヤにラベルを表示することで、ユーザーにエコ性能とウェット性能を示すことで、それぞれのユーザーニーズに合わせてエコタイヤを選らんでもらうことが目的です。実際ある新商品のタイヤにはこんなラベルが表示されているのです。
「転がり抵抗係数グレード:AAA」「ウェットグリップ性能:C」 「転がり抵抗係数グレード:AA」「ウェットグリップ性能:D」
ラベル表示で自分の好みのタイヤを手に入れたら、一月に一回は空気圧やタイヤの溝をチェックすることで安全で環境に優しいタイヤの使い方が実践できるのです。