「最近よく“エコカー”という言葉を聞くのですが、カーディーラーに行くと燃費がもの凄く優れているハイブリッド車は当然ですが、大きなミニバンもエコカー減税の対象だったりして、なんかよく理解できないのです」という声を耳にすることがあります。前政権時代に作られたエコカー減税は、自動車メーカーにとって減税や補助金は自動車が売れない時代にはとてもありがたい制度ですが、はたしてユーザーにはどんな御利益があるのでしょうか。そもそもエコカーってどんなクルマのことを言うのでしょうか。
エコカーとは?ハイブリットカーとは?
これは難しい質問です。なぜなら複雑なルールで軽自動車から大きな高級車までエコカー減税を受けることができるからです。ここでは総花的な日本流エコカーを無視して“エコカー”の本質を分かり易く説明したいと思います。さて自動車ユーザーにとって燃料の消費はCO2削減だけでなく、お財布的にも気になるところです。そこで単純に燃料消費だけを少なくするのなら、これは“省エネの発想”ですが、もしその自動車が行った仕事の中身を考慮するなら、省エネとは別の発想である“効率”という概念が必要になります。
自動車も同じで燃費だけ測るなら、低い速度を一定に走るほうが燃費はよくなります。しかし、その自動車が何をしたのかが重要です。家族6人乗って長距離を移動すると、普段は燃費が悪いミニバンも「人間を6人も移動させる」という仕事を果たすので効率は悪くありません。しかし、二人しか乗らないとエコカー減税で買ったミニバンもエコではないのです。
ここまでの話しでだいぶ理解できたと思いますが、まず大切なことは自動車がエコカーかどうかよりも、その自動車をどのように使うかが極めて重要なのです。つまり、ライフスタイルと自動車の性能が似合っているかどうかということと(正しい自動車選びができているのか)、どのように使っているのか、ということが重要なのです。
世界の常識
次ぎに世界の常識でエコカーを考えてみると、まずは燃費の良い自動車が頭に浮かびますが、排気量や重さで燃費が変わるので、そのカテゴリーの中である水準以上の燃費性能を持った自動車をエコカーと呼ぶのが一般的です。ただし、自動車を生んだヨーロッパでは自動車メーカーの平均燃費の規制が待ち受けているので、大きな自動車も小さな自動車も必死になって燃費向上に励んでいます。そして最近の傾向は戦後ずっと肥大化してきた自動車がついにダウンサイジングという考え方が主流となるようになりました。だからハイブリッド車や電気自動車でなくてもボディやエンジンの排気量を小さくすることで環境に優しいエコカーになれるのです。
しかし、それだけではすみません。というのは化石燃料の枯渇やCO2問題を考えると、もっと大胆な発想で開発されるエコカーがトレンドとなっています。その代表選手が電気自動車やハイブリッドというバッテリーを使う自動車です。エンジンを使わずにバッテリーだけで走る電気自動車は一見、究極のエコカーのように思えますが、まだガソリン自動車と同じ性能にはほど遠いのが現状です。小さなボディで街中を短距離で移動するには都合がよいですが、長距離は苦手だし、たくさんの高価なバッテリーを使うのでコスト的にも主流にはなりにくいといえます。
そこで従来からあるエンジンをさらに進化させたり、エンジンとバッテリーを組み合わせて使うハイブリッドがむしろこれからの本流となるでしょう。ハイブリッドのもっとも得意なことはブレーキを踏んだ時に運動エネルギーを電気エネルギーに換えることができることです。これを回生ブレーキと呼んでいますが、まずはすべての自動車がバッテリーの大小に関わらず、ハイブリッド化することが必須であると思います。
エコとエンジン
最後にエンジンの話しをしますと、ガソリンエンジンを小さくしてターボチャージャーという装置で空気を強制的に押し込むターボエンジンは、これからもっと普及するでしょう。さらに、ガソリンを精製するときに作られる軽油を燃料として走るディーゼルエンジンも排気ガスのクリーン化に目処がたったので、今後も重要なエンジンとなるはずです。つまり、しばらくは多様なエコカーが存在するので、自分のライフスタイルに合わせた自動車をたくさんの選択肢の中から選ぶことができるようになます。