台風により想定される車への被害とは?
台風が接近すると大雨や暴風、高波、高潮などの災害が発生します。こうした災害が発生すると、車に大きな被害をもたらす可能性があります。ここでは、台風の接近によって想定される車への具体的な被害を解説します。
大雨による土砂災害や車の水没
台風が接近すると、大雨や集中豪雨によって土砂災害や洪水、冠水などが発生します。
運転中に洪水や冠水に巻き込まれると、車が水没したり、車ごと川に流されたりする場合もあります。特に河川の近くや周囲より低地になっている場所、アンダーパスは洪水や冠水が発生しやすい場所であるため注意しましょう。
車が水没してしまうと、エンジンが破損する場合や、下水を含む水が車内に入ることにより雑菌が繁殖する可能性もあります。最近の車であれば、ある程度の水没に対応できるものの、マフラーから水が入り込むとエンジンの破損につながります。
また、山間部を車で走行している場合や山の近くに車を駐車している場合は、土砂災害に巻き込まれてしまう可能性もあるため注意が必要です。
暴風による横転や物の飛散
台風が接近すると、暴風による災害発生のリスクが高まります。
台風には強風域と暴風域と呼ばれる領域があり、強風域では風速15m/s以上の強風、暴風域では風速25m以上の暴風が吹いています。風速15m/sを超えると車が強風に流される感覚が大きくなり、風速20m/sを超えると車の運転が困難となり、風速35m/sを超えると走行中のトラックが横転するほどになります。
一般的に台風の勢力が強ければ強いほど暴風が吹きやすくなり、台風接近時に暴風災害が発生しやすくなるため注意が必要です。強風や暴風によって飛んできた飛散物が車に当たって、窓ガラスが割れることや車体に傷やへこみが生じる場合もあります。
高波や高潮による水没
台風による災害として、高波や高潮が挙げられます。高波災害は台風による暴風で波が海岸に押し寄せ、高波となって道路を超えることで発生します。
一方、高潮災害は台風の気圧低下によって海面上昇が起こることや、海岸に向けて暴風が吹いて海岸に海水が集まることで発生します。特に1日のうち潮位の変化が大きい大潮の時期と、台風接近時に満潮が重なるような場合に高波災害や高潮災害が発生しやすくなります。
高波や高潮が発生すると海岸の近くでは冠水が発生し、車が水没してしまう危険性があります。雨水と違って海水には塩分が含まれるため、車の金属パーツが錆びたり、エンジンや電子機器などが故障しやすくなる点にも注意が必要です。
車の台風対策とは?
台風接近時には、集中豪雨による洪水・冠水や土砂災害にとどまらず、暴風による飛散物や車の横転、高波、気圧低下による高潮などさまざまな被害を受けるリスクがあります。ここでは、台風接近時における車の台風対策について解説します。
安全な場所に車を移動させる
台風が接近した際には、車を安全な場所に移動させることが大切です。まずはハザードマップを見て、車を置いている場所が大雨や高潮による冠水・洪水の危険性が高いエリアか、土砂災害の危険区域に入っていないかをそれぞれ確認しましょう。
災害のおそれがある場合は、高台にある駐車場や屋上駐車場、立体駐車場などに駐車することが望ましいです。
安全な場所が見つからず、すでに天候が悪化している場合は、車をジャッキアップして浸水のリスクを減らす方法もあります。この方法を用いる場合は、安全のため平らなコンクリートの上で行うことがポイントです。
台風接近時はできるだけ車を運転しない
台風接近時は、できるだけ車を運転しないようにスケジュールを調整しましょう。豪雨や暴風が吹いている時に運転すると、視界不良であることに加えて、暴風によってハンドルを取られてしまう可能性があります。
また、どれだけ注意していても、他車の事故に巻き込まれてしまう恐れもあります。車で出かける用事がある場合、台風接近時は避けるよう調整しましょう。
やむを得ず車の運転をする場合は、対向車に自車の存在を示すためにライトを点灯し、両手でしっかりとハンドルを握って速度を落として運転することが大切です。
飛散物に備える
台風の暴風による飛散物に備えることも大切です。具体的には、毛布のように厚みがあって衝撃を緩和できるものをガラス部分に被せます。雨に濡れると落ちやすくなるため、ロープや紐を使って固定しておきましょう。
特にフロントガラスの交換は高額な費用がかかるため注意する必要があります。また、ボディ全体に傷がつかないための対策としてはボディカバーがおすすめです。
なお、台風との位置関係によって風向は時間と共に大きく変化するため、飛散物はどこから飛んでくるかわかりません。そのため、ボディカバーを装着する場合は、全方向からまんべんなく縛り付けておきましょう。
ガソリンを満タンにしておく
台風接近時はガソリンスタンドが混雑する場合があります。台風の接近が予想される場合は、できるだけ早い段階でガソリンを満タンにしておきましょう。なぜならば、車は移動手段としてだけでなく、一時的な避難場所としても役立つためです。
災害発生時、車は避難場所としても利用でき、さらに冷房の使用もできるため、台風の蒸し暑い空気からも逃れることができます。また、シガーソケットや車載充電器を用いてスマホやタブレットなどの充電も可能です。
台風で避難する際の注意点
津波のようにやむを得ない場合を除き、災害で避難する際は車を使用しないのが原則です。これは渋滞や事故、緊急車両の妨げになることや、台風接近時には水害に巻きこまれるリスクがあるためです。
徒歩で避難する場合はケガをしないように夏場でも長袖と長ズボン、足元は履き慣れたスニーカーを着用します。長靴は中に水が入ると重たくなって足が動かしにくくなるため、避難時には避けた方がよいでしょう。
また、冠水している場所は避けることが重要です。足元を確認しにくいため転倒したり、そのまま川に流されたりする可能性もあります。
特に、アンダーパス(周辺の地面よりも低くなっている場所)や川沿いの道路、水田、水路の近くは冠水が発生しやすいため、これらの場所を避けて避難するのが望ましいです。
台風で車が水没してしまった場合の対処法
台風によって冠水が発生し車が水没した場合は、すぐに車を止めてエンジンを停止させます。
なお、水没した車を稼働させることは火災や故障の原因にもなるため、水が引いてもエンジンを稼働させないように注意しましょう。車から降りた後は、足元や水深に気をつけながら来た方向に歩いて戻ります。
もし車内に水が浸入して水圧でドアが開かない場合は、まずは窓が開くかどうかを試します。窓が開かない場合は、緊急脱出用ハンマーを使用して窓ガラスを割って脱出します。
また、車内外の水圧差が小さくなるとドアが開けやすくなります。緊急脱出用ハンマーがない場合は、水圧差が小さくなるタイミングを狙って脱出のタイミングを見計らいましょう。
台風で車が水没した場合、修理に保険は使える?
台風によって水没した車を修理する際に、車両保険に加入していれば保険が適用されることが一般的です。
なお、車は水没してしまうと、見た目は問題がなくても電気系統が壊れて修理ができず、全損になる場合もあります。
車両保険は任意の保険であるため、加入していない場合は補償を受けることができません。この場合は自身で修理費用を全額支払う必要があるため、不安に感じる場合は車両保険に加入しておくとよいでしょう。
台風接近時の車に関するよくあるQ&A
ここでは、台風接近時の車に関する疑問についてQ&A形式でご紹介します。台風接近時に慌てないためにも事前にチェックしておきましょう。
台風接近時、車はどこに停めますか?
台風接近時は高台にある駐車場や頑丈な建物の軒下など、豪雨による冠水や土砂災害、暴風、高波の影響を受けにくい場所に車を停めましょう。低地やくぼ地、海岸、川岸付近は冠水が起こりやすいため、車を停める場所には適しません。
車を停めたら無理な運転は避け、天候が回復するまで車内で安全を確保しましょう。運転しなければならない状況でも、危険を感じた時は命を守るためにも一時避難することが重要です。
台風接近時に風の影響を受けやすい場所はどこですか?
橋の上や周辺に障害物がない開けた場所、高所などは風の影響を受けやすいです。
地上から高い位置を通る高速道路は風の影響を特に受けやすく、台風接近時に運転をすると横転の可能性が高まります。中でも防音壁の切れ目やトンネル出口、山間部の狭いところは風が集中して通りやすく、強まりやすいため注意が必要です。
また、横風が吹いている場合は横転のリスクが特に高まるため、車の進行方向に対し、どの方向から風が吹いてくるかも天気予報でチェックしておきましょう。
台風接近時に車に携行しておいた方がいいものはありますか?
台風接近時には飲料水、食料、懐中電灯、脱出用ハンマーなどを携行しておきましょう。
飲料水や食料は車で立ち往生した際、救援物資を受けられないときに役立ちます。また、自宅に防災グッズを置いておくスペースがない場合に、車に携行しておくのもよいでしょう。懐中電灯は夜間に徒歩で移動することになった場合や周辺を確認する際などに必要です。
脱出用ハンマーは車が水没したときに脱出する際に必須となります。運転席に座ったままでもすぐに取り出せる場所に設置しておきましょう。
まとめ
台風の接近がわかった時点で、早めに水害や土砂災害のリスクが低い場所に車を移動させておくことが大切です。台風接近時の車の運転は危険を伴うため、予定がある場合はスケジュールを早めに調整しておく必要もあります。
また、水害によって車が水没してしまうと多額の修理費がかかり、場合によっては廃車となる可能性もあります。台風によって車が故障した場合は車両保険が適用されるため、もしもの場合に備えて車両保険に加入しておくと安心です。
※本コラムでご案内した商品に関する内容は概要を説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
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