1.車両保険とは?その必要性について

まずは車両保険が何を補償する保険なのか、そして実際にどれくらいの人が車両保険に加入しているのかをみていきましょう。

1.1.車両保険の役割と補償範囲

車両保険とは、ご契約の自動車が偶然な事故や火災・洪水などの災害、盗難などによって損害を受けた場合に、修理費や買い替え費用を補償する保険です。

車両保険には補償範囲の異なる契約タイプがあり、補償範囲が限定されるタイプほど保険料が安くなります。

例えば、損保ジャパンの個人用自動車保険『THE クルマの保険』では、車両保険の契約タイプとして、補償範囲が広い「一般条件」と、補償範囲が限定される代わりに保険料がお手頃になる「車対車・限定危険(※1)」が用意されています。

「一般条件」を選択した場合は、「車対車・限定危険」では補償されない、電柱やガードレールへの衝突、墜落・転覆といった自損事故なども補償されます。

事故例 契約タイプ
一般条件 車対車・限定危険 ※1
ご契約の自動車以外の自動車との衝突
あて逃げ
動物との衝突・接触 〇 ※2
盗難 〇 ※3 〇 ※3
火災・爆発
台風・竜巻・洪水・高潮
落書・いたずら
飛来中・落下中の他物との衝突
電柱・ガードレールに衝突
自転車との衝突・接触
墜落・転覆
地震・噴火・津波 オプション ※4 オプション ※4
故障 オプション ※5 オプション ※5
※1「⾞対⾞事故・限定危険特約」をセットした⾞両保険をいいます。
※2 人との衝突または接触によって生じた損害は補償されません。
※3「⾞両盗難対象外特約」がセットされている場合は補償されません。
※4「地震・噴⽕・津波⾞両全損時⼀時⾦特約」をセットすることにより、ご契約の⾃動⾞に損害が⽣じ所定の状態になった場合に、⼀時⾦をお⽀払いします。
※5 故障運搬時⾞両損害特約をセットすることにより、ご契約の⾃動⾞に損害が⽣じ所定の状態になった場合に、保険⾦をお⽀払いします。

1.2.車両保険の加入率

損害保険料率算出機構のデータによると、自動車保険(任意保険)の車両保険加入率は、自家用普通乗用車が64.0%、自家用小型乗用車が52.9%、軽四輪乗用車が49.5%(2024年3月末時点、自動車共済を含まない)となっています。中古車に限定したデータではありませんが、自家用乗用車の半数以上が車両保険に加入しています。

自動車の高機能化や物価上昇による修理費の高額化、集中豪雨や降雹といった自然災害の増加などによって自動車の損害リスクは年々高まっており、このリスクに備える車両保険の加入率も上昇傾向にあります。

2.車両保険への加入がおすすめな4つのケース

車両保険への加入がおすすめな4つのケースを紹介します。実際に車両保険に加入するかどうかは、車を修理して乗り続けたいのか、想定される修理費が家計にどの程度負担となるのか、車の価値(契約時の時価額)を基準として設定される車両保険金額の範囲内で修理費をカバーできるのかなどを考慮して判断しましょう。年式の古い車は修理費が高額になりやすい一方で、車両保険金額を高く設定できないケースも多く、車両保険に加入しない選択をされる方もいます。

2.1.ローンを利用して購入する場合

ローンで購入する車の場合、車両保険の必要性は高くなります。

もしローンを利用して購入した車で全損事故(修理不能または修理費がその車の時価額(市場価格)を上回る状態)を起こしてしまうと、廃車になってもローンは残ってしまいます。生活に車が欠かせない方は、ローンの返済に加えて車の買い替え費用も用意しなければなりません。買い替えにもローンを利用する場合は、「手元にない車のローン」と「新しい車のローン」という二重ローンの状態となり、家計の負担は大きくなります。

なお、中古車の場合は車両保険金額が新車価格相当額を下回り、車両保険に加入していても買い替え費用や修理費を十分にカバーしきれず、自己負担が生じるケースもあるため注意が必要です。

保険会社によっては、このようなケースに備える特約も用意されています。例えば損保ジャパンの『THE クルマの保険』で「車両全損時復旧費用特約」をセットしていれば、実際にかかる車の買い替え費用(車両本体価格+付属品+消費税)または修理費等について、復旧費用限度額(車両保険金額の2倍または車両保険金額に100万円を加えた額のいずれか低い額)を限度に保険金が支払われるため、自己負担を軽減できます(※)。

※車両保険をセットした契約で、車両保険金額(ご契約期間が1年を超える場合は、初年度の車両保険金額)が新車価格相当額の50%未満の金額である場合にセットできる特約です。

2.2.貯金で修理費や買い替え費用を賄うのが難しい場合

事故や災害などで車が損害を受けたときに、貯金で修理費や買い替え費用(再取得費用)を賄うのが難しい場合は、車両保険で備えておくのが安心です。

車の修理にかかる費用は、車種や修理内容などによりますが、バンパーやフロントガラスの交換などで数万円〜数十万円、フレーム修正が必要になれば数十万円、なかには100万円以上かかるケースも少なくありません。

数十万円の修理費をすぐに支払えるかを考え、不安を感じるなら、車両保険への加入を検討しましょう。それが家計を守ることにつながるかもしれません。

2.3.運転に自信がない場合

運転に自信がない場合や運転に慣れていない場合も、車両保険への加入を検討したほうがよいでしょう。

免許を取得して間もない方や、操作感の異なる新しい車に乗り換えた方などは、操作に慣れず車をぶつけたりこすったりするリスクが高くなります。このような方は、電柱や壁への衝突といった自損事故のリスクにも備えられる、「一般条件」の車両保険に加入しておくと安心です。

2.4.災害や盗難のリスクが高い場合

お住まいの地域や使っている駐車場の災害リスクが高い場合、あるいは盗難のリスクの高い車を所有している場合は、車両保険に加入して備えておくと安心です。

車両保険では、契約タイプによって台風・洪水といった自然災害による損害や盗難による損害も補償されます。土地が低く浸水しやすいなど、災害リスクの高い地域にお住まいの方、あるいは高級車や人気の車種など、盗難リスクの高い車を所有している方は、これらのリスクに備えられる車両保険への加入を検討するとよいでしょう。

なお、地震・噴火・津波を原因とする損害は、一般的な車両保険では補償の対象外となります。しかし、例えば損保ジャパンの『THE クルマの保険』では、オプションとして「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」をセットすることで、これらの災害に備えることができます。

3.車両保険への加入見送りを検討してもよいケース

車両保険に加入したほうがよいのか、判断のポイントとなるのは「車の価値」と「費用対効果」です。

車両保険の保険金額(支払われる保険金の上限額)は、契約時におけるご契約自動車の市場販売価格相当額(時価額)をもとに定められる「協定保険価額」を上限に設定されます。そのため、年式の古い車ほど設定できる保険金額は低くなっていきます。

車両保険に年間数万円の保険料を支払っても、いざというときに受けられる補償の上限が十数万円程度であれば、費用対効果が高いとはいえません。ある程度の貯蓄があり、車の修理費や買い替え費用を自費で賄えるのであれば、毎月の保険料を節約してその分を貯蓄に回し、手持ちの資金で備えるというのも合理的な判断といえます。

4.「5年落ち」や「10年落ち」の中古車に車両保険は必要?

車両保険に加入するかどうかは多くの方が悩むポイントでしょう。特に中古車は設定可能な保険金額の上限が低くなり、修理費が保険金額を上回って損害をカバーしきれないケースが生じやすいことから、判断に迷いやすいといえます。ここでは、車の年式による車両保険の必要性の違いについて解説します。

4.1. 5年落ちの中古車の場合

5年落ちの中古車の場合、車種や使用状況にもよりますが、市場価値(時価額≒協定保険価額)が新車価格の50%程度となる車も多くあります。この場合、事故時の修理費をカバーする意味でも車両保険に加入しておくのが安心です。特に、ローンがまだ残っている場合や人気車種で時価額の高い車の場合は、車両保険の必要性が高いといえます。

4.2. 10年落ちの中古車の場合

初度登録から10年を超える車は、市場価値(時価額≒協定保険価額)が大きく下がり、設定できる車両保険の保険金額も低くなります。

設定できる保険金額が低くなると、修理費が保険金額(車の時価額)を上回る「経済的全損」が生じやすくなります。通常の車両保険では、時価額を超える部分の修理費は補償されません。そのため、10年落ちの車では、大きな事故で修理費が高額になったときは廃車にして買い替えると割り切って考えることも必要になってきます。

4.3.修理をして乗り続けたいときは?

車に愛着があるなど、修理費が時価額を超えても修理して乗り続けたい場合の注意点は、車の価格自体は安くなっても、修理費は安くならないという点です。

修理工や整備士の作業工賃・板金塗装代などは、新車でも中古車でも変わらず、部品代は生産終了などで型式が古い車のほうが高くつくこともあります。古い車(安い車)だからといって安く修理できるわけではないのです。そのため、事故にあっても修理して乗り続けたいと考えるのであれば、車両保険に加入し、修理費が時価額を超えても一定額まで補償される「車両全損時復旧費用特約」(※)をセットして備えることも選択肢になるでしょう。

※損保ジャパンの『THE クルマの保険』を例にした特約名です。

5.中古車の車両保険の保険料を抑える選び方やポイント

車両保険には加入したいけれど保険料は抑えたいという方のために、車両保険の賢い選び方を紹介します。

5.1.補償範囲を限定する「限定型」を選ぶ

「一般型※」は補償範囲が広い分、保険料は高めです。一方で「限定型※」は、電柱やガードレールへの衝突といった自損事故などが補償されない代わりに、お手頃な保険料で加入できます。

※一般型、限定型など、車両保険の契約タイプの名称や補償範囲は、保険会社によって異なります。

「大きな事故だけに備えたい」、「運転にはある程度自信がある」という方などは、限定型を選択肢として検討するとよいでしょう。

5.2.自己負担額(免責金額)を高めに設定する

「修理費が少額であれば自費で賄い、修理費が高額になったときだけ保険を使う」という考えであれば、事故時の自己負担額(免責金額)を高めに設定することで保険料を抑えられます。

支払われる保険金の額=損害額(修理費)−自己負担額(免責金額)
(※損害額が車両保険金額を超えない場合)

なお、車の損害額が車両保険金額を超えた(全損になった)場合は自己負担額(免責金額)が差し引かれず、車両保険金額の全額が保険金として支払われます。

年式の古い車は車両保険金額が低くなるため、修理費が車両保険金額を上回って全損扱いとなるケースが増えます。全損時には自己負担額がいくらに設定されていても保険金の額は変わりません。その点では、車両保険金額が低くなりがちな中古車が有利な方法といえます。

ただし、車両保険を使用せざるを得ないケースでは、自己負担額の支払いに加えて「継続後の保険料アップ」も発生することになります。
「自己負担額と継続後の保険料アップ」と「固定費(保険料)」のどちらを重視するか、自分の経済状況に合わせてバランスを考えることが大切です。

6.中古車の車両保険はどのタイミングで加入すればよい?

中古車を購入して車両保険に加入するのであれば、納車日から補償を受けられるようにしておく必要があります。

6.1.車両保険の加入手続きは納車前に完了させる

車両保険(自動車保険)の加入手続きは、納車前に完了させておきましょう。納車したその帰り道に事故にあうリスクもゼロではありません。納車前でも車検証の情報があれば、車両保険(自動車保険)の加入手続きは可能です。納車日を補償開始日に設定して、納車前に加入手続きを済ませておきましょう。

6.2.契約途中でも車両保険は追加・変更が可能

すでに自動車保険に加入している場合、車の買い替え(車両入替)のタイミングに限らず、契約期間(保険期間)の途中であっても車両保険の追加や補償内容の変更ができます。

自動車保険の契約時には車両保険に加入していなかったものの、やはり心配だから加入したいと思った場合は、保険会社または代理店に連絡して車両保険の加入手続きを行いましょう。契約期間の途中で車両保険を追加する場合には、追加保険料の支払いが必要です。等級(割引率)に変更はありませんが、補償が手厚くなるため保険料はアップします。追加保険料がいくらになるかは、保険会社または代理店に依頼して見積りをしてもらうことが可能です。

7.まとめ

車両保険の必要性が高いのは、ローンが残っている場合や貯金で車の修理費・買い替え費用を賄うのが難しい場合、運転に自信がない場合、災害リスクが高い場合などです。このようなケースに当てはまるなら、車両保険への加入を検討するとよいでしょう。車両保険に加入する際は、補償範囲や自己負担額を調整して保険料を抑えることもできます。

なお、車の状態や価値によっては、車両保険の費用対効果が低くなるケースがあり、特に中古車の場合は注意が必要です。

最終的に車両保険に加入するかどうかは、車の価値と費用対効果、ご自身の経済状況や考えなどを踏まえて判断してください。判断に迷うときは、保険会社や代理店に連絡して相談すると良いでしょう。

※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年7月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。

SJI26-57010(2026.04.27)
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