自動車運転のレベル4とは何?
自動運転の「レベル4」とは、特定の条件下でシステムが完全に運転を担い、人間の介入なしに車両を制御できるレベルのことを指します。レベル4は完全自動運転に近い状態であり、一定の環境や状況(特定の道路、天候、エリアなど)においてはドライバーが不要です。ただし、条件外の環境ではシステムが動作せず、人間が運転を行う必要があるといわれています。
なお、自動運転技術の発展を促進するために、政府もロードマップを策定しています。2020年(令和2年)7月に発表されたIT総合戦略本部「官民ITS構想・ロードマップ2020」や、国土交通省「自動運転車の定義及び政府目標」では、自動運転の5段階のレベル分けが定められているため、ぜひ参考にしてください。
レベル | 概要 | 運転主体 |
---|---|---|
運転者が一部又は全ての動的運転タスクを実行 | ||
レベル0 | 運転者が全ての動的運転タスクを実行 | 運転者 |
レベル1 | システムが縦方向又は横方向のいずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行 | 運転者 |
レベル2 | システムが縦方向及び横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行 | 運転者 |
自動運転システムが(作動時は)全ての動的運転タスクを実行 | ||
レベル3 | ● システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行 ● 作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答 |
システム(ただし、必要時には人間が対応) |
レベル4 | システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行 | システム(特定エリアでは完全自動運転) |
レベル5 | システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行 | システム |
このように、レベル4では特定の条件下で運転が完全に自動化され、ドライバーの介入が不要となります。現在、日本国内では自動運転レベル4を適用した公共交通機関の実証実験が進められており、今後の実用化が期待されています。
自動運転レベル4相当は遠隔で監視を行う?
自動運転レベル4相当のシステムでは、車両の運転はシステムが全て行いますが、遠隔での監視が行われるケースが多いです。特に、日本国内では国土交通省の指針に基づき、安全確保のために遠隔監視システムの導入が推奨されています。
遠隔監視とは、自動運転車両の状態をリアルタイムで確認し、必要に応じてオペレーターが対応する仕組みのことを指します。例えば、異常時の対応(センサーの故障や車両のトラブルなど)、交通状況の把握(事故や渋滞などによる緊急回避)、乗客の安全確保(乗車トラブルや緊急時のサポート)といった役割があります。
日本国内では、2023年に自動運転レベル4のバスの運行が一部地域で開始されました。このバスは、遠隔監視室によって常時モニタリングされ、万が一の際にはオペレーターがリモートで制御できる仕組みが整っています。
自動運転レベル4の車はどのような走行をする?
自動運転レベル4の車は、特定の条件下においてドライバーの操作を必要とせずに自律的に走行できるシステムを備えています。このレベルでは、決められたエリアや状況であれば、運転に関するすべての動作を自動運転システムが行い、ドライバーが運転に関与する必要がありません。
ただし、レベル5の完全自動運転とは異なり、システムが対応できる範囲には制限があり、特定の環境下のみで機能する点が特徴です。
ドライバーの運転操作を自動運転システムが行う
レベル4の自動運転では、本来ドライバーが行う運転操作をすべてシステムが担います。
アクセルやブレーキの制御、ハンドル操作、車線変更、さらには交通信号や標識の認識まで、自動運転システムがリアルタイムで判断しながら車両を制御します。そのため、ドライバーは走行中にハンドルを握る必要がなく、車内で他の活動を行うことが可能になります。
ただし、走行できる領域が限定されているため、その範囲を超える場合には、システムがドライバーに運転の引き継ぎを求めることがあります。
自車の位置・周辺の交通状況を取得する
自動運転レベル4の車は、車両の正確な位置や周囲の交通状況をリアルタイムで把握しながら走行します。GPSや高精度マップ、各種センサーやカメラを活用し、現在の道路状況や周囲の車両、歩行者の動きなどを検知します。
また、V2X(車車間通信・路車間通信)技術を活用することで、信号情報や道路の混雑状況、事故情報などを取得し、安全かつスムーズな走行を実現。車両は周囲の状況を的確に判断しながら、自律的に最適な走行ルートを選択することができます。
自動運転レベル4の車は高速道路を走行できる?
自動運転レベル4の車は、特定の条件下で完全にシステムが運転を担うことができるため、高速道路での走行も技術的には可能です。ただし、現在の自動運転技術では、レベル4の車両がどのような環境でも高速道路を走行できるわけではなく、走行可能なエリアや条件が決められています。
例えば、特定の自動運転専用レーンや、特定の敷地内・送迎ルートなどが対象となります。一方で、天候や道路状況によっては自動運転の継続が困難になる場合もあり、その際にはドライバーに運転の引き継ぎを求めることがあります。
自動運転レベル4の車が走行している際にドライバーに求められること
自動運転レベル4の車両が走行している場合、基本的にはシステムが運転を担うため、ドライバーは運転操作をする必要がありません。
しかし、すべての環境で常に完璧な自動運転が保証されるわけではなく、場合によってはシステムの指示に従い運転の引き継ぎを求められることがあります。そのため、ドライバーは完全に気を抜くのではなく、状況に応じて対応できるよう準備しておくことが求められます。
また、一般のドライバーにとっても、自動運転レベル4の車両と同じ道路を走行する際には、通常の運転と変わらず安全運転を心がけることが重要です。自動運転車であっても、急な割り込みや不規則な運転により、システムが適切に対応できないリスクが生じる可能性があります。
そのため、自動運転車が近くにいる場合でも特別な対応をする必要はなく、通常通りの安全運転を行うことが求められます。
自動運転レベル4に対する世界各国のメーカーの取り組みについて
世界各国の自動車メーカーは、自動運転レベル4の実現に向けてさまざまな取り組みを進めています。以下で、国内・国外メーカーの取り組みを紹介します。
国内メーカーの取り組み事例
トヨタは2024年に、自動運転レベル4のサービスを開始すると発表しました。特定の条件下で人が運転に関わることなく走行できる技術を活用したもので、運転手が不要な「ロボタクシー事業」を想定しています。
まずは、東京・お台場に建設中の次世代アリーナ周辺で運行を開始し、当面は無償。その後、2025年以降に有償化し、都心部まで運行範囲を拡大する予定です。実現すれば、国内で初めて一般車両を使用した公道での自動運転移動サービスとなります。
一方で、日産自動車は、レベル4の自動運転実現に向けた実証実験を横浜市・みなとみらい地区で開始。運転席に人がいない状態でもハンドルが自動で動き、車両が発進する様子が公開されました。
車両には14台のカメラと9つのレーダーが搭載されており、歩行者や周囲の車両を検知。独自開発のAIを活用し、安全な走行を目指しています。現在の実験では、遠隔操作を可能にするレベル2での走行を行い、収集したデータを360度モニタリングしながら検証を進めています。
国外メーカーの取り組み事例
2024年8月8日、メルセデス・ベンツは、中国の自動運転企業WeRideと協力し、北京の市街地や高速道路でレベル4の自動運転試験を行う許可を取得したと発表しました。この試験は、個人向けの車両にレベル4の自動運転技術を搭載するための技術研究の一環として実施されます。
一方で、テスラは、自動運転タクシー専用車両「Cyber cab(サイバーキャブ)」を発表。ハンドルやアクセルペダルがない作りで、2026年の生産開始を目指すとし、注目を集めています。テスラの自動運転技術はカメラとAIのみのシンプルな構造が特徴で、高額なセンサーを使うライバル企業と比べ費用を抑えたいと考えているのだとか。
「Cyber cab」は2人乗りと20人乗りの2タイプが発表されました。テスラの共同創業者兼CEOであるイーロン・マスクによれば、「個人が自家用車として購入し、タクシー営業で利益を得ることも可能」とのこと。価格は1台あたり約450万円を下回るとのことです。
まとめ
自動運転技術は日々進化を続けており、各メーカーがレベル3・レベル4の実用化に向けて積極的に取り組んでいます。すでに一部の高級車にはレベル3の機能が搭載され、限定的ながらもハンズオフ運転が可能となっています。
また、タクシーサービスや商用車の分野では、特定の地域でレベル4の試験運用が進められ、実用化が現実味を帯びてきました。今後、技術の向上と法整備の進展により、自動運転車が一般的な移動手段として普及する日も近いかもしれません。
※本記事に掲載のメーカー名・商品名は、情報提供を目的としたものであり、特定企業を推奨・優遇する意図はございません。
執筆者プロフィール
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