ネオクラシックの買い方・選び方
ネオクラシックというとカッコよく聞こえますが、現実的には20~30年が経過している古い中古車です。クルマ選びもメンテナンスも、そして日々の乗り方にも、気を付けるべきことがたくさんあります。
例えば、購入時。一般的に中古車購入のポイントとして、内外装の状態や走行距離、メンテナンス履歴(記録簿)が挙げられます。しかし、20~30年が経過したネオクラシックの場合、長い月日の間にさまざまな整備や修理、補修が行われてきているものです。
見た目がキレイでも、「見た目だけがキレイで、調子の悪いクルマ」もあれば、「見た目は年季が入っていても、整備がバッチリで不安なく走れるクルマ」もあります。パっと見の印象だけで判断できないのが、ネオクラシックです。また、一般的に走行距離は少ない方がいいとされますが、これもネオクラシックには一概に当てはまりません。
低走行(走行距離が短い)なのは、何年も放置され、整備が行き届いていないクルマである可能性があります。反対に、20万kmを超える多走行車でも、しっかりと整備をして日頃から走らせている“現役のクルマ”かもしれません。
年間4,000kmペースでしか走っていないクルマであっても、30年経てば12万kmです。多走行車であることは、必ずしもネガティブな要素とならないことは、覚えておくといいでしょう。
整備の記録簿をチェックするときは、「いつの整備か」を確認しましょう。「タイミングベルト交換」とあっても、それが15年も前の交換であれば、もはや安心材料とはなりません。
もっとも大切なのは、古いクルマの取り扱い実績のある信頼のおけるショップで購入すること。一般的な中古車以上に、懸念材料の多いクルマですから、販売や整備の実績があり、評判のいいお店で買うことは大切です。
オークションサイトや古いクルマの実績があまりなさそうなお店で、欲しいクルマを見つけた場合は、整備ができるショップを探して「このクルマを買いたいけど、どうでしょうか?」と、事前に購入後の整備を相談してみるのもいいでしょう。
懸念となるのは「部品」の調達
ここまでが購入の話。皆さんが心配するのは、購入よりもむしろ購入後の維持の方かもしれません。実際問題、古いクルマの維持に関しては「車種による」という面が大きくあります。
ネオクラシックや旧車として人気の高い車種であれば、メーカーも補修用部品のストックを多く持っている可能性がありますし、中古部品の流通も期待できます。最近では、メーカーが部品の再販を行う例も増えてきています。
また、整備ノウハウについても、実績を多く持つショップがあったりオーナーズクラブで情報交換がなされていたりするものです。特に、当時から人気車種であったスポーツカーなどは、ノウハウや部品の不安が比較的少ないといえるでしょう。
でも、どんな人気車種であっても、すべての部品が手に入るかというとそうとは言えません。
自動車メーカーでは、そのクルマの生産終了後も補修用部品として部品をストックしていますが、それでも20年を超えるクルマの部品があるかというと微妙なところ。幸運にも在庫があればいいですが、ないものも多いのが現実です。
消耗品は比較的手に入りやすいものの、外装や内装の樹脂部品などは入手困難なものだと想定しておいた方がいいでしょう。「ブレーキの部品は手に入るけど、テールレンズ(テールランプカバー)が手に入らない」といったこともよくあります。
そうなれば、オークションサイトなどで中古品を探すことになりますが、必ずしもいい状態のものが出てくるとは限りませんし、希少性から価格が高く設定されている場合もあります。ネオクラシックに乗りたいならば、整備環境や部品状況をショップに聞いたり、オーナー同士のコミュニティに参加するなどして、よく調べておくことが大切です。
“ちょい乗り”を避ければ日常使いも
実際、ネオクラシックを手に入れたら? 丁寧な扱いをするのは当然として、その他に気にするべきは、乗る頻度や環境でしょう。
いわゆる“ちょい乗り”ばかりだとクルマに負担をかけますし、酷暑や極寒の中も避けたいもの。特に、真夏の渋滞はオーバーヒートの心配だけでなく、高温により部品の劣化も促進させてしまいます。
とはいえ、クルマは定期的に走らせてあげたほうが、調子はよくなります。大事にしすぎて乗らないよりも、定期的に動かして調子を維持したいものです。
運転するときは、「走りに変化はないか」「異音はしないか」など、調子を気にすることも大切。もし、「いつもと違うな」「なんか変だな」と思ったら、早めに点検してもらいましょう。もちろん、点検や車検といったメンテナンスは、信頼のおけるショップで。ただし、コンピューター関連など、一部ディーラーでしか作業できない箇所がある場合もあります。
ネオクラシックの“面白さ”は深い
1990年代は、ユーザーニーズの多様化から実にさまざまなクルマが生まれ、また衝突安全性能や環境性能への要求の高まりから技術も進化した時代です。平成レトロや「子どもの頃の思い出」という側面だけでなく、時代背景に目を向けてみると、さらに当時のクルマの面白さが浮かび上がってくるでしょう。
古いクルマにはさまざまな不安がつきまとうものですが、少しでも不安を減らして、ネオクラシックライフを楽しんでみてくださいね!
編集:田村恵美(PASSERBY GRAFFICS)+type-e
文:木谷宗義/type-e、