そもそもカーシェアとは? ―レンタカーとの違い―

カーシェアは、「Car:クルマ」を「Share:共有する」サービスのこと。日本でのカーシェアは、カーシェア会社が各所のステーションに設置したクルマを、スマホアプリやPCから予約し、利用するのが一般的な仕組みです。カーシェア会社の会員になることで、予約や利用ができるようになります。

スマホでチェックする女性

レンタカーとの違いは、店舗での手続きが不要なこと。予約・利用開始・利用終了など、すべての手続きをスマホアプリで行えます。そのため、店舗の営業時間に左右されず、24時間いつでも出発・返却できるのがメリットです。

また、店舗運営のコストがかからないため、レンタカーよりも安い料金で利用できるのが一般的。料金については、のちほど詳しく説明します。

デメリットは、レンタカーが利用ごとに洗車や給油が行われるのに対し、カーシェアは都度の洗車や給油が行われないこと。洗車やメンテナンスは定期的に行われるものの、利用ごとではないため、前の利用者の使用状況によってはクルマが汚れていることもあります。

助手席側から見た軽自動車の車内

また、給油も利用者自身で行う必要があるため(燃料が半分以下になったら給油するなど、会社によりルールがある)、常に満タン出発ができるわけではありません。このあたりが、シェア(=共有)ならではのデメリットといえるでしょう。

カーシェアの料金は? ―短時間から使える料金体系―

レンタカーでは、「6時間まで」「12時間まで」「24時間まで」といった利用時間ごとの料金体系が一般的で、「6時間まで」が最小の料金プランである場合、1時間の利用でも6時間分の料金がかかる場合もあります。カーシェアでは、会社により10分単位、あるいは15分単位の料金体系となっていますから、短時間での利用にも向いています。

たとえば、カーシェアA社なら10分150円~、B社なら15分220円~といった具合です。もちろん、利用する車種(車のクラス)によって、料金は異なります。

電卓と腕時計

また、大手カーシェア会社の多くは、6時間以内の距離料金を不要としていますし、保険料も時間料金に含まれますから、A社で30分利用したとすると、かかる料金はわずか450円です。

10分(15分)単位の料金では、長時間利用だと高くなりますが、各社とも「6時間」「12時間」「24時間」「夜間」といった料金プランも用意しており、長時間利用にも対応しています。

なお、保険料は時間料金に含まれますが、事故などで車両に修理が必要な場合、レンタカーと同様にノンオペレーションチャージ(NOC:休業補償)が発生します。また、これもレンタカーと同様に、万が一のときのNOCを補償するサービスに加入することも可能です。

どんな人に向いている? ―カーシェア活用術―

では、カーシェアが向いている人は、どんな人でしょうか?もっともカーシェア向きなのは、都市部に住んでいで「クルマの利用頻度が低い人」、または「短時間しかクルマを使わない人」だといえます。

料金のところでお伝えしたように、短時間・低料金で使えるのがカーシェアの特徴です。たとえば、週に一度、約3時間の買い物に利用した場合の1カ月の利用料を考えてみましょう。

車に荷物を載せる家族

前述のA社の料金(10分150円)なら、3時間で2,700円。月4回利用したとすると、1万800円です。毎週使ったとしても、駐車場代にも満たない金額でクルマを使うことができるというわけです。

週に4回、30分の送迎に使うケースも考えてみましょう。10分150円なら30分で450円、往復で900円。週に4回使ったとすると、1カ月の利用料金は、1万4,400円となります。短時間利用なら、こんなに頻繁に使ってもまだ駐車場代より安い金額で済むのです。

また、カーシェアは用途に応じて、クルマを選ぶこともできます。普段はコンパクトカー、「今週末は友達とお出かけだ!」というときにはSUVやミニバンを、といった使い方ができます。

車でキャンプに出掛けて用意するグループ

もうひとつ、あまり意識されていないのが、同じカーシェア会社のクルマなら「どのステーションのクルマも利用できる」ということ。大手のカーシェア会社であれば、駅前に住宅街に……とさまざまな場所にステーションがあり、その設置エリアは全国にわたります。だから、「ターミナル駅で友人と待ち合わせて、そこからカーシェアを」「旅先や出張先でクルマを使いたい」といった使い方もできるのです。

デメリットはあるの? ―「ならでは」の不便さもある―

先に、洗車や給油の点でデメリットがあるとお伝えしましたが、そのほかにもいくつか注意すべきことがあります。

まず、保険。レンタカーでは、運転免許を持っている人ならば、レンタカー店舗で出発時に手続きをした契約者でなくても保険は適用されます。しかし、カーシェアで保険の対象となるのは、「運転者のみ」。同乗者が運転する場合、その人も会員になっていて、さらに利用者が追加の運転者登録をしなくてはいけません。

車のハンドルを握る女性

また、利用者が増えてきた今、「週末に空いているクルマがない」ということも増えてきました。また、利用する予定のクルマが事故や返却遅延で使えなくなる、といったリスクもあります。

「気に入っていたクルマが別の車種に変わってしまった」「近くのステーションが廃止になってしまった」という事態も、まれに発生するものです。

また、レンタカーでは店舗でチャイルドシートの貸出をしてくれますが、カーシェアでは設置車両が限られている、あるいはそもそもチャイルドシートの貸出がなく、自分で用意しなくてはならない場合もあるので、子どものいる人にとっては不便だといえるでしょう。

メリット・デメリットを知って上手に使おう

便利さと安さという大きなメリットを持つカーシェア。しかし、「クルマをシェアする」という性質上、不便さやデメリットもあり、こうした点では「いつでも必ず使える」マイカーの便利さには及びません。

とはいえ、駐車場代が高額でクルマを所有するハードルが高い都市部では、「クルマのある生活」を手軽に体験することができる魅力的な存在です。自分のクルマを買うかどうかを検討する前に、カーシェアを試してみるのもアリ。「クルマのある生活」のひとつの選択肢として、カーシェアは今、旬な存在といえるでしょう。


※掲載している情報は2023年6月時点のものです。カーシェアの料金やサービス内容は変更になる可能性がありますので、事前に各カーシェア会社にご確認ください。


文・木谷宗義/type-e、編集:type-e