並列駐車の基本は4ステップ

ごく一般的なバックでの駐車を「並列駐車」と言います。並列駐車で覚えることは、次の4つのステップです。

(1) 駐車位置を決め、その前でクルマを止める
(2) 右(または左)にハンドルを切って前進する
(3) 左(または右)にハンドルを切って後退する
(4) ハンドルをまっすぐに戻して後退する

順番に詳しく解説していきます。

(1)駐車位置を決め、その前でクルマを止める

まずはクルマをとめる位置(駐車枠)を決めます。ショッピングモールなどの駐車場に止めるときは、左右に止まっているクルマの大きさや駐車位置により、広そうに見える駐車枠を選ぶといいでしょう。

駐車位置を決めるイラスト
一旦停車する位置の目安写真

「この枠に止めよう」と決めたら駐車枠側にクルマを寄せ、奥側の枠線と自分(運転席)の位置が同じぐらいになるようにして一旦停車します。ここでいい場所に止められないと、あとで何度も切り返しをするようになってしまいますから、重要です。

(2)右にハンドルを切って前進する

右にハンドルを切って前進するイラスト1

駐車場位置の前でクルマを止めたら、右にハンドルを切って、前方車両にぶつからないように前進して停車します。このとき、いっぱいまでハンドルを切って、車体と駐車枠が平行に近くなるようにすると、後退が楽になります。

右にハンドルを切って前進するイラスト2

(3)左にハンドルを切って後退する

この状態からハンドルを左側に切って後退し、駐車枠の中に入っていきます……と言うのは簡単ですが、最も難しいのがこのステップです。左側ミラーを見ながら左隣のクルマに接触しないように、それと同時に右側のミラーで右側の車両の接触しないようにしなくてはいけません。

左にハンドルを切って後退するイラスト
左サイドミラーで確認する目安写真
右サイドミラーで確認する目安写真

このとき、左側をできるだけ左隣の車両に近づけるようにハンドル操作を行うと、右後方の感覚がつかみやすくなります。右後方の様子はミラーでは把握しづらいですから、「後ろの状況がわかりづらいな」と思ったら、停車してドアを開けたりクルマを降りたりして目視で確認してください。「たぶん、大丈夫」と思ったときは大抵大丈夫ではなかったりします。

もし、このまま後退して右後方が接触するようであれば、「切り返し」をします。右にハンドルを切り、車体と駐車枠が平行に近くなるように前進しましょう。ステップ(2)で「できるだけ車体と駐車枠が平行に近くなるようにすると、後退が楽」とお伝えしたのは、切り返しの回数を減らすためでした。

(4)ハンドルをまっすぐに戻して後退する

駐車枠と車体が平行になれば、そのまままっすぐに後退を。まだ少し斜めのようであれば、ハンドルを戻しながら後退をしていきます。

ハンドルをまっすぐに戻して後退するイラスト

このときのポイントは2つ。1つは、左右のミラーを覗き込んで、駐車枠線と車体がまっすぐになっているか。もうひとつは車体と左右の枠線までの間隔が同じぐらいになっているか、です。

右サイドミラーで確認する目安写真

車体がまっすぐになっていない、もしくは駐車枠のどちらかに寄りすぎているようであれば、前進しながら調整しましょう。まっすぐ、かつ左右均等になったら、まっすぐに後退していけば完璧です。最後は、車体後部がぶつからない位置まで、あるいは車輪止めまでゆっくり後退します。

バックモニター装着車なら、モニターで間隔を見ながら後退すると安心です。バックモニターがなく、後方の感覚がつかめない場合は、一度クルマを降りて確認するといいでしょう。

理論だけでは身につかないのが運転

ここまでが並列駐車の基本テクニックです。しかし、これはあくまでもセオリー。思い通りにいかないのが、現実というものです。たとえば、狭い駐車枠しか空いていない場所もあるでしょうし、最初の位置決めがうまく行かず、何度も切り返しが必要になることもあるでしょう。そうならないためのプラス知識もご紹介しておきましょう。

たとえば、ショッピングモールなどの駐車場に止める場合。店舗入り口付近は、みんながクルマを止めるため空き枠が少なく、また通過するクルマも多くて気持ちの面で焦らされてしまうことも。

ショッピングモールなどの駐車場

こうした駐車場では、入り口から遠い場所へと行くほど空いていて、入れやすそうな場所を確保しやすく、またクルマの往来も少ないため、気持ちに余裕を持つことができます。入り口からは遠くなってしまうかもしれませんが、入り口から遠く、あるいは上階まで行ってしまうのは1つの手です。

また、駐車をする中でミラーの角度調整をするといいことも、覚えておくといいでしょう。ミラーの角度は通常、走行中に車両の後方が見えるように調整されていて、駐車枠線が見えるような角度にはなっていません。後退時には、ミラーの角度を下に向けることで、車体下部や駐車枠線が見えるようになります。

ちなみに、レンタカーかカーシェアで練習するなら、ボディが四角くコンパクトな軽自動車で始めるのがオススメ。大きなクルマでおっかなびっくり練習するよりも、車両感覚の掴みやすいクルマで練習した方が、感覚が養われます。

いずれにしても、実際に経験してみなければ身につかないのが運転です。今回、紹介した4つのステップを頭に入れて、まずはチャレンジしてみてください!

文・木谷宗義/type-e、編集:ツキナガユイカ+type-e