1.人身傷害保険とは?

人身傷害保険とは、契約自動車に搭乗中の方(運転者自身や車に同乗していたご家族・ご友人)が、自動車事故でケガをしたり、亡くなったり、後遺障害を負ったりした場合に補償を受けられる保険です。

特徴として、事故の責任割合(過失割合)に関係なく、保険金額を上限に約款の基準に基づき算出された「実際の損害額」が支払われる点が挙げられます。ここでいう「実際の損害額」とは、治療費をはじめ、ケガで働けなくなった期間の収入(休業損害)や、精神的な苦痛に対する慰謝料などの総額です。 例えば、次のようなケースでケガをした場合はいずれも人身傷害で補償の対象となります。

  • もらい事故(相手の過失100%)
    例:信号待ちで後ろから追突された
  • 双方過失の事故(自分にも過失がある)
    例:出合い頭の衝突で、自分30%:相手70%の過失が認定された
  • 単独事故(自分の過失100%)
    例:ハンドル操作を誤り、電柱に衝突した

なお、相手がいる事故で、すでに相手から賠償金を受け取っている場合は、「損害額」から「相手からの賠償額」を引いた差額が人身傷害保険から支払われます。結果として、ご自身の過失分も含めた損害額を受け取ることができます。

ただし、無免許運転や酒気を帯びた状態での運転、故意または重大な過失による事故、地震・噴火・津波による損害などでは、運転者ご自身のケガなどについては保険金が支払われません。人身傷害保険は、基本的に多くの事故に対応しますが、ルールを守った運転が大前提であることを覚えておきましょう。

2.搭乗者傷害保険との違い

人身傷害保険とよく比較される保険に「搭乗者傷害保険」があります。どちらも「自動車事故でご自身や同乗者がケガをした場合」に支払われる点では共通しています。しかし、人身傷害保険は、保険金額を上限に実際の損害額が支払われるのに対して、搭乗者傷害保険は、 定められた条件に基づいて「一時金」で支払われます。
※本記事では「搭乗者傷害保険」と呼称して解説しますが、搭乗者の補償を人身傷害保険でカバーするケースや、基本補償への上乗せとしての「搭乗者傷害特約」として設けるケースなど、保険会社によって取り扱いが異なります。

  • 人身傷害保険
    治療費や休業損害、精神的損害などが補償の対象となり、ご自身の過失分も含めて支払われます。過失割合に関係なく、損害額をカバーできるため、事故による経済的な負担を幅広く補償する役割を担います。
    ※損害額は、約款に定める損害額算定基準に従い算出されます。
  • 搭乗者傷害保険
    実際の治療費がいくらかかったかに関わらず、契約内容に基づいた金額(一時金など)が支払われるのが特徴です。損害額の確定を待たずにスピーディーに支払われるため、事故直後の当面の出費を支える役割を果たします。
    ※特約として提供している保険会社もあります。

このように、人身傷害保険と搭乗者傷害保険とでは、保険金の支払われ方と役割が違います。万が一の備えとして、それぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。

3.人身傷害保険に加入するメリットは?

人身傷害保険に加入するメリットについて解説します。

3.1.自分の過失に関係なく保険金額を上限に損害額を受け取れる

人身傷害保険に加入する大きなメリットは、ご自身の過失割合(事故の責任割合)に関わらず、保険金額を上限に「実際の損害額」を受け取れることです。
人身傷害保険に加入していた場合と加入していなかった場合の補償の違いを具体的な数字で見てみましょう。

例えば、治療費などの損害額が合計100万円で、過失割合が「自分30%:相手70%」だったとします。

  • 人身傷害保険に加入していなかった場合
    相手の保険からは、相手の責任分である7割(70万円)が支払われます。残りの3割(30万円)は、自身の「過失分」として自己負担になります。
  • 人身傷害保険に加入していた場合
    ご自身の過失が何割あっても、治療費などの損害額(100万円)は、保険金額を上限に自身の人身傷害保険から支払われます。

このように、人身傷害保険では、過失割合に関係なく補償を受けられる点が大きな強みです。

3.2.相手との示談交渉を待たずに保険金が支払われる

事故による治療費や休業損害は、通常であれば相手との「示談」が成立し、過失割合が確定してから支払われます。しかし、お互いの主張が食い違うなどして交渉が長引くと、解決まで数か月、場合によっては1年以上かかることも珍しくありません。

そのような状況でも、人身傷害保険に加入していれば、相手との示談交渉の結果を待たずに、ご自身の保険会社から保険金を受け取れます。

相手もしくは相手の保険会社から本来もらうべき治療費や休業損害分も含めて、ご自身の保険会社が先行してお支払いします。なお、このとき支払われた保険金のうち、本来は相手の方が負担すべき金額(相手の方の過失分)については、あとから保険会社がお客さまに代わって相手の保険会社へ請求します。

示談が長引いても「いつお金が入るのか」と不安にならずにすむのは、精神面でも大きなメリットといえます。

3.3.補償される範囲が広い

補償の対象となる方の範囲が広いこともメリットの一つです。運転しているご本人だけでなく、その車に同乗していたご家族やご友人がケガをした場合も補償の対象です。

さらに、特約などをセットすることで、対象となる事故の範囲を広げることも可能です。

例えば、損保ジャパンの個人用自動車保険『THE クルマの保険』では、 ⼈⾝傷害交通乗⽤具事故特約をセットすれば、契約している車に乗っているときだけでなく、「バスや電車など他の交通乗用具に乗っているときの事故」や、「歩行中に自転車と衝突した事故」なども補償対象にできます。

このように、ご自身やご家族のライフスタイルに合わせて、自動車事故以外のリスクにも備えられる柔軟性も、人身傷害保険のメリットのひとつです。

4.人身傷害保険の補償内容と保険金額の目安

人身傷害保険の契約タイプによる補償の違いや、保険金額の目安について解説します。

4.1.契約タイプによって補償の範囲は変わる

人身傷害保険の補償範囲は、契約タイプによって大きく異なります。主に、契約している自動車に「搭乗中のみ」を補償するプランと、歩行中など「車外での事故」も補償するプランがあります。

損保ジャパンの個人用自動車保険『THE クルマの保険』の人身傷害保険を例に、それぞれの違いを見てみましょう。

ご契約タイプ 補償の対象
契約した自動車に乗っている方 ご自身およびご家族の方
契約自動車に
搭乗中の事故
他の交通乗用具に
搭乗中の事故
歩⾏中の交通乗用具
との事故
基本補償 × ×
⼈⾝傷害交通乗⽤具
事故特約セット

※他⾞運転特約により補償の対象となる場合があります。ただし、「他の交通乗⽤具」が⾃家⽤8⾞種の⾃動⾞で、運転中の場合にかぎります。

損保ジャパンの人身傷害保険の基本補償は、原則として契約した自動車に搭乗中の事故のみを補償するタイプです。基本補償では、他の車に搭乗中や車に乗っていないときの事故は原則として補償の対象外となります。

ただし、契約自動車以外の車(自家用8車種に限る)を運転中の事故については、「他車運転特約」により補償の対象となる場合があります。他車運転特約とは、レンタカーや友人知人から借りた車などを運転中に事故を起こした際に、自分の保険で補償を受けられる特約で、損保ジャパンでは、この「他車運転特約」は自動セットされます。

基本補償に「人身傷害交通乗用具事故特約」をセットすることで、契約自動車に搭乗中以外の事故も補償範囲の対象に含まれます。

具体的には、次のようなケースも補償の対象です。

  • 契約車以外の自動車や、他の交通乗用具に搭乗中の事故
    例:友人の車や自転車に乗っているとき、電車での移動中など
  • 歩行中の交通乗用具との事故
    例:ご家族が歩行中に自転車とぶつかった事故など

また、「人身傷害交通乗用具事故特約」は、ご自身だけでなくそのご家族も補償の対象となります。ご家族の範囲は、配偶者※、同居のご親族、別居の未婚のお子さまが該当します。

例えば、親元を離れて一人暮らしをしている子ども(別居の未婚の子)が、自転車で通学中に車と接触してケガをした場合なども、この特約で補償の対象となります。

ご自身やご家族の歩行中や自転車などでの事故にも備えたい場合は、人身傷害交通乗用具事故特約をセットすることでカバーできます。

※損保ジャパンでは配偶者には内縁の相手方および同性のパートナーを含みます。

4.2.保険金額(補償額)の目安はどれくらい?

人身傷害保険の保険金額は、一般的に3,000万円から無制限まで選択肢が用意されています。

どの金額を選べばよいか悩む場合は、ご自身の年齢や年収、家族構成を基準に判断しましょう。

例えば、家計を支える中心的な存在で、これから教育費などがかかるお子さまがいらっしゃる場合は、万が一の際に必要となる金額も高くなる傾向にあります。

また、あわせて確認したいのが「生命保険」の加入状況です。

死亡や高度後遺障害の際は生命保険からも給付金が出る可能性があるため、そちらで十分カバーできているなら人身傷害保険は3,000万円に抑える、といった調整も可能です。

逆に、生命保険が手薄であれば「無制限」を選ぶなど、加入している保険全体でバランスを見て決定することをおすすめします。

5.人身傷害保険に関するQ&A

人身傷害保険に関係する質問について解説していきます。

5.1.人身傷害保険を使うと等級は下がる?

人身傷害保険のみの使用であれば、「ノーカウント事故」として扱われ、翌年の等級は下がりません。

ただし、人身傷害保険だけでなく、自分の車の修理のために「車両保険」を使ったり、相手への補償のために「対人賠償責任保険」や「対物賠償責任保険」を使ったりした場合などは、それぞれ等級が下がります。
このように事故で保険を使った場合は、その内容に応じて等級への影響が決まります。

等級制度の詳しい仕組みについては、こちらの記事も参考にしてください。

5.2.交通事故時の治療に健康保険は使える?

「交通事故時の治療には健康保険が使えない」と誤解されることがありますが、交通事故の際でも原則として健康保険は使えます。なお、相手がいる事故などで健康保険を利用する場合は、加入している健康保険組合などへ「第三者行為による傷病届」の提出が必要になります。

健康保険を使うことで、治療費などの経済的負担を軽減できる可能性があります。これにより、人身傷害保険の金額に上限(3,000万円など)を設定している場合でも、治療費が占める金額を減らせるため、限度額の枠内で、慰謝料などの補償をより手厚く受けやすくなります。

6.まとめ

人身傷害保険は、過失割合に関係なく、保険金額を上限に約款の基準に基づき算出された実際の損害額に応じて保険金が支払われる保険です。治療費や休業損害などの損害をご自身の過失分も含めて補償し、相手との示談交渉の完了を待たずに保険金を受け取れる点が大きな強みです。

補償範囲は、契約自動車の搭乗中のみとするか、特約をセットして歩行中や自転車に搭乗中など、契約自動車に搭乗中以外の事故まで広げるかを選択できます。また、保険金額は高額損害に備えた「無制限」などの設定も可能です。

ご自身とご家族を守るために、今の契約内容がライフスタイルに合っているか、この機会にぜひ確認してみてください。

※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年1月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。

SJ25-57079(2026.02.12)
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