自動車保険は2台目も適用される?

自動車保険は、交通事故や車両の損害に備えるための保険です。強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は車両の乗用車、軽自動車といった車両区分で1台ごとにかかる契約です。

一方、任意保険は保険料を決める要素はさまざまですが、車種や形式を指定して契約することになります。

したがって、自賠責保険も任意保険も車1台につき1保険契約が適用され、2台目には新たな契約が必要となります。

ここからは、任意保険を自動車保険として解説します。

2台目の運転頻度が低くても1日自動車保険や他車運転特約は使えない

自動車保険には1日単位で加入できる「1日自動車保険」があります。ただし、1日自動車保険は運転者本人や配偶者などの所有車では加入することができません。

また、他人の車を運転して事故を起こした時に適用される「他車運転特約」も、自分や配偶者などが所有している車には適用されません。

したがって、2台目の車は使用頻度が低くても、新たに自動車保険を契約する必要があります。

※損保ジャパンでは配偶者には内縁の相手方および同性のパートナーを含みます。以下、同様とします。

2台目の自動車保険の等級はどうなる?

1台目の自動車保険の等級が高くても、2台目の自動車保険に同じ等級が適用されるわけではありません。自動車保険は新規契約であれば、原則6等級からスタートすることになります。

ただし、多くの保険会社は「セカンドカー割引」という制度を設けています。セカンドカー割引の条件を満たせば、7等級で自動車保険を契約可能です。6等級と7等級は保険料に差がありますので、セカンドカー割引が適用できる場合は、ぜひ使うようにしましょう。

【セカンドカー割引の適用条件】
<1台目の車の適用条件>
・自動車保険の等級が11等級以上
・車の所有者が個人
・車の自動車保険の記名被保険者が個人

<2台目の車の適用条件>
・2台目の車が初めて自動車保険に加入
・保険始期日が1台目の保険契約期間中
・車両所有者が一定条件の範囲内(個人かつ1台目の車両所有者、1台目の記名被保険者、1台目の記名被保険者の配偶者、1台目の記名被保険者またはその配偶者の同居の親族)
・記名被保険者が一定条件の範囲内(個人かつ1台目の記名被保険者、1台目の記名被保険者の配偶者、1台目の記名被保険者またはその配偶者の同居の親族)

<共通する適用条件>
・用途・車種が自家用8車種(自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車、自家用小型貨物車、自家用普通貨物車[最大積載量0.5トン以下]、自家用普通貨物車[最大積載量0.5トン超2トン以下]、特種用途自動車[キャンピング車])

損保ジャパンにおける「自動車保険の新規契約での割増・割引率」は以下のようになります。

※諸条件については、各社商品により異なる場合があります。事前にご確認ください。

2台目の自動車保険は同じ会社にしたほうがいい?

1台目と2台目の自動車保険を同じ会社で加入した場合のメリットと、異なる会社で加入した場合のメリットをそれぞれ解説します。双方のメリットを検討し、ご自身に合った保険商品に加入しましょう。

1台目と同じ保険会社で契約するメリット

申請などの連絡先が1つで済む

2台目の自動車保険も同じ保険会社で契約すれば、契約更新時や万が一に事故を起こした際に、窓口は1つの保険会社で済みます。

特に事故を起こした場合など、気が動転した状態では「どの車がどの保険に加入していたか」がわからなくなることも想定されます。同じ保険会社なら、有事の際に落ち着いて対応できます。

その他の割引で割安になる場合も

セカンドカー割引以外にも、保険をまとめることで保険料が割引となる場合があります。例えば、損保ジャパンでは、保険の契約者が本人もしくは配偶者、その配偶者の同居親族を記名被保険者として2台以上の自動車を1つの保険証券で契約する場合には「ノンフリート多数割引」が適用され、保険料が台数に応じて2%~5%割引となります。

損保ジャパン「個人用自動車保険『THE クルマの保険』各種割引 - ノンフリート多数割引(3%・4%・6%割引)

別の保険会社で契約するメリット

保険料を安くできる場合がある

自動車保険の保険料は保険会社によって差があり、同様の補償内容でも保険料が異なる場合が一般的です。

セカンドカー割引は多くの保険会社で導入されています。いくつかの保険会社からセカンドカー割引を使って契約した場合の見積りを取ることで、保険料がより安い保険会社を選べます。

なお、ほとんどの保険会社では1台目に加入した保険がほかの会社であっても、条件を満たすことにより、2台目にセカンドカー割引を適用することができます。

用途にあった保険を選択できる

セカンドカーの所有目的はさまざまです。日々の買い物など近距離の運転が中心であれば、走行距離を少なくして契約することで保険料が安くなります。

一方、遠距離のドライブにも車を使いたい場合には、ロードサービスが手厚い保険に加入すれば万が一の際にも安心です。用途に合わせて、最適な補償内容の保険会社を選びましょう。

2台分の自動車保険料を安くする方法

自動車保険を2台分契約すると、保険料が高くなります。一方で保険会社の変更や契約内容の見直しを図ることで、保険料を安くできる可能性があります。

保険料を節約したい場合には、これからご紹介する方法を試してみましょう。

1台目の保険等級をセカンドカーに適用する

自動車保険は、運転者などの条件や車種により保険料が変わります。新たに2台目の車を購入し、セカンドカー割引が適用できる場合、1台目の保険等級を2台目に適用する(車両入替といいます)ことで全体の保険料が安くなる可能性があります。

ここでは、車両入替する場合としない場合を比較した例で解説します。

例:18歳の同居の子どもが新たに運転免許を取得。子どもが運転する車として、2台目の小型車を購入。車両入替を行わず、2台目の小型車を保険の対象として新たに保険契約をおこなう場合、年齢条件は子どもの年齢を考慮して設定するため、年齢を問わない補償(全年齢補償)を選択する必要があり、7等級(セカンドカー割引)であっても保険料は一般的に高くなります。

▼2台の加入保険(車両入替しない場合)
等級 保険の対象 運転者年齢条件
保険契約1 20等級 小型車1 35歳以上限定
保険契約2 7等級 小型車2 年齢問わず

そこで保険契約1の保険の対象を小型車2に変更し、もともとの小型車1を新たに7等級で保険に加入(保険契約2)します。

▼2台の加入保険(車両入替する場合)
等級 保険の対象 運転者年齢条件
保険契約1 20等級 小型車2 年齢問わず
保険契約2 7等級 小型車1 35歳以上限定

小型車2は運転者の年齢を問わない補償であっても割引率が高い20等級が適用されるため、車両入替しない場合に比べて保険料が安くなります。一方で、小型車1は等級は7等級と大きく下がるものの、年齢条件の設定などで保険料を抑える設計ができるため、2台トータルの保険料で考えると車両入替しない場合に比べて保険料を節約できる可能性があります。

なお、この方法はあくまで2台目の新規購入時(セカンドカー割引が適用される際)に可能です。すでに契約済みの自動車について、等級を交換するようなことはできません。セカンドカー割引の対象になるか不安な方は、事前に保険会社や保険代理店などでご確認ください。

補償内容の重複がないかチェックする

損害保険は災害や事故で人体や財産に損害を受けた場合に、その損害額を補償します。自動車保険は損害保険の一つです。複数の保険に加入しても、実際の補償金額は被った損害額(実損分)までにしかなりません。

自動車保険では基本補償に加えて、特約をセットできることが一般的です。もし2台目の自動車保険を契約する際に、1台目の自動車保険と重複した補償内容がある場合、特約をセットしないことで保険料を引き下げられます。

重複が考えられる主な特約を以下にまとめました(損保ジャパンの場合)。

名称 内容
人身傷害交通乗用具事故特約 他の自動車に搭乗中の事故、自動車以外の交通乗用具に搭乗中の事故、歩行中の自転車との衝突事故などの交通乗用具自己を補償。
※記名被保険者および家族が対象
弁護士費用特約
(日常生活・自動車事故型)
(自動車事故限定型)
【被害事故弁護士費用保険金】
日常生活における偶然な事故により被保険者がケガをした場合、損害賠償請求をするための弁護士費用や弁護士などへの法律相談・書類作成費用を支払い

【刑事弁護⼠費⽤保険⾦】
運転中の事故などにより、被保険者が他⼈にケガなどをさせた場合、刑事事件の対応を⾏なうために⽀出された弁護⼠費⽤や、弁護⼠などへの法律相談費⽤などを保険⾦として⽀払い
※自動車事故限定型は、自動車起因の被害事故に関する損害賠償請求のみ対象となります
ファミリーバイク特約 被保険者および家族に対し、原動機付自転車を使用中の事故を補償
個人賠償責任特約 被保険者および家族に対し、日常生活での偶然の事故を補償
※いずれの特約も、記名被保険者により被保険者の範囲が異なる場合があります。特約の内容や条件についての詳細は各保険会社や保険代理店にご確認ください。

運転者の条件などを見直す

新たに購入した2台目の車は、1台目の車と使い方が異なる場合が考えられます。自動車保険に加入する際には、2台目の車の使用目的や実態に合わせて適切な契約内容にしましょう。

自動車保険はご自身や家族の状況を考慮し、各種商品の特徴や特約の有無を検討することで保険料を抑えることが可能です。

例えば、運転者は「本人限定」「本人・配偶者限定」「何歳以上補償」などの条件をセットできます。条件をセットせず「運転者限定なし」「全年齢補償」とした場合は保険料が高くなります。

また、使用目的や想定される年間走行距離により保険料が変動する場合もあります。2台目の使用実態を申告することで、適切な保険設計になります。

自動車保険は特約内容や条件をしっかりと理解したうえで、検討することをおすすめします。

複数の保険会社を比較する

カーディーラーなどで加入を勧められる自動車保険は、代理店契約を結んでいる保険会社の商品が中心です。保険代理店を利用するメリットは、丁寧な説明やアドバイスを直接受けられ、最適な保険プランを提案してもらえる点です。自動車保険の知識が少ない方にとって、心強い存在となるでしょう。

一方、インターネットを通じて、契約者と保険会社が直接契約するダイレクト型の自動車保険は各種費用や手数料を抑えており、保険料は比較的割安になる場合があります。一括見積りサービスなどを通じて各社の保険料を簡単に比較できるなど、高い利便性がメリットです。

あなたがお持ちのニーズに合わせて比較し、どの保険会社の商品が自分に適しているか検討しましょう。

2台目の自動車保険に関するよくあるQ&A

2台目の自動車保険を契約する際に、よくある質問についてお答えします。ここでは3つのテーマを取り上げて解説しますので、事前によく理解したうえで保険契約を検討しましょう。

2台目の自動車保険は別会社でも問題ないですか?

問題ありません。1台目と2台目で加入する保険会社が異なっている場合も、所定の条件に該当する場合はセカンドカー割引が適用されます。

2台目の車の自動車保険を契約する際には、1台目の車の保険等級を確認するなど、2台目の車にセカンドカー割引が適用できるか条件を事前に確認しておきましょう。

異なる保険会社の自動車保険に加入した場合、窓口は分かれます。万が一事故が発生した時には、落ち着いて加入する保険会社に連絡しましょう。

車の保険は2台目から安くなりますか?

自動車保険の新規加入時は、通常6等級からスタートします。セカンドカー割引が適用された場合は2台目の等級が7等級からスタートするため、割引率が大きくなり保険料が安くなります。

ただし、セカンドカー割引の適用には1台目の保険等級が11等級以上などの各種条件があるため、事前に確認しておきましょう。

また、自動車保険の保険料は等級以外にも、運転者の範囲や車種、補償内容などによって変化するため、セカンドカー割引が適用されても保険料がそれほど安くならない場合もあります。

事故有係数適用期間中ですが、セカンドカー割引を使えますか?

保険契約の期間中に等級が下がる事故で保険を使った場合、次回契約更新時は、等級が下がり、無事故に比べて割引率の低い事故有係数が一定期間適用されます。

損保ジャパンでは、セカンドカー割引の適用可否において、事故有係数が適用されているかどうかは問われませんが、1台目の保険契約の始期日時点の等級が11等級以上であることが適用条件となっています。

等級のほかにも、1台目の保険とセカンドカーの保険の用途車種や記名被保険者、車両所有者の関係性が適用条件になっています。検討する場合は、事前に保険会社や保険代理店に相談しましょう。

まとめ

自動車保険は、1台につき1契約を結ぶ必要があります。ご自身や配偶者などが所有する車は1台目の他車運転特約や1日自動車保険が使えないので気をつけましょう。

セカンドカー割引は、条件を満たしていれば7等級で自動車保険に加入できるので、1台目の新規契約時に比べて高い割引率から始めることができます。
また、1台目と異なる保険会社の自動車保険に加入する場合も、条件に該当する場合は割引が適用されます。

さらに保険料を安くしたい場合には1台目の保険契約と車両入替を検討するなど、2台分の保険料総額を考慮して検討すると良いでしょう。


※本コラムでご案内した商品に関する内容は概要を説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。

SJ25-51014(2025.05.30)
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