1.車両保険とは?どんなときに補償されるの?
車両保険とは、契約車が偶然の事故や災害・盗難などによって損害を受けた場合に、修理代や買い替え費用を補償する保険です。
具体的には、次のようなケースなどで補償を受けられます。
●車同士の衝突・接触事故
交差点での出会い頭の衝突や、駐車場での接触事故などが対象です。相手の車との衝突・接触事故では、相手の保険からご自身の過失分の修理代は支払われません。しかし、車両保険があればその分をカバーできます。
●単独事故(自損事故)
電柱やガードレールへの衝突、悪天候による路外への転落など、単独事故の修理代も契約タイプによっては補償の対象です。こうした事故では、修理代はすべてご自身の負担となるため、車両保険の備えが役立ちます。
●あて逃げ
駐車場に戻ったら車に見覚えのない傷がついていた、というケースも補償の対象です。相手が特定できなければ相手の保険は使えませんが、車両保険があれば修理代に充てられます。
●盗難・いたずら・落書
車が盗難に遭った場合や、いたずらや落書によって損傷した場合も補償の対象です。
●自然災害(台風・洪水・高潮など)
台風で飛んできた物が車に当たった、大雨で車が浸水した、といった場合も補償の対象です。安全運転とは無関係に、停めているだけで損害が発生するリスクにも備えられます。
なお、地震・噴火・津波による損害は車両保険の補償対象外となるため、別途一時金が支払われる「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」のセットが必要です。
●飛来中・落下中の他物による損害
高速道路走行中の飛び石によるフロントガラスの破損なども補償されます。
車両保険の特徴は、ご自身に過失がある事故はもちろん、あて逃げや自然災害など防ぎようのない損害でも補償を受けられる点です。突発的な高額出費に備える手段として、さまざまなシーンで活用できます。
自動車保険の補償対象となる自然災害や飛来中・落下中の他物による損害については、以下の記事をご覧ください。
2.車両保険の契約タイプは2種類
車両保険には、補償範囲の異なる2つの契約タイプがあります。補償範囲が広い「一般型」と、補償範囲を限定する代わりに保険料を抑えた「エコノミー型」です。なお、これらは一般的な通称であり、正式な名称は保険会社によって異なります。
損保ジャパンでは、一般型に相当する「一般条件」と、エコノミー型に相当する「車対車事故・限定危険」の2つの契約タイプがあります。それぞれのタイプの補償範囲の違いは次のとおりです。
| 事故例 | 契約タイプ | |
|---|---|---|
| 一般条件 | 車対車・限定危険 ※1 | |
| ご契約の自動車以外の自動車との衝突 | 〇 | 〇 |
| あて逃げ | 〇 | 〇 |
| 動物との衝突・接触 | 〇 | 〇 ※2 |
| 盗難 | 〇 ※3 | 〇 ※3 |
| 火災・爆発 | 〇 | 〇 |
| 台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 |
| 落書・いたずら | 〇 | 〇 |
| 飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
| 電柱・ガードレールに衝突 | 〇 | ✕ |
| 自転車との衝突・接触 | 〇 | ✕ |
| 墜落・転覆 | 〇 | ✕ |
| 地震・噴火・津波 | オプション ※4 | オプション ※4 |
| 故障 | オプション ※5 | オプション ※5 |
※1「⾞対⾞事故・限定危険特約」をセットした⾞両保険をいいます。
※2 人との衝突または接触によって生じた損害は補償されません。
※3「⾞両盗難対象外特約」がセットされている場合は補償されません。
※4「地震・噴⽕・津波⾞両全損時⼀時⾦特約」をセットすることにより、ご契約の⾃動⾞に損害が⽣じ所定の状態になった場合に、⼀時⾦をお⽀払いします。
※5 「故障運搬時⾞両損害特約」をセットすることにより、ご契約の⾃動⾞に損害が⽣じ所定の状態になった場合に、保険⾦をお⽀払いします。
2つのタイプに共通して、あて逃げ・盗難・台風などの自然災害・飛び石によるガラス破損といった事故が補償されます。一方、電柱やガードレールへの衝突・自転車との衝突・転覆などの単独事故は、「一般条件」のみ補償対象となります。
幅広いリスクに備えたい方には一般型が向いており、「運転にはある程度自信がある」という方にはエコノミー型が選択肢のひとつとなるでしょう。補償範囲と保険料のバランスをよく確認したうえで検討するとよいでしょう。
3.車両保険の加入率や必要とされる理由
車両保険は任意の保険ですが、実際には多くの方が加入しています。ここでは、車両保険の加入率と、多くの方に必要とされる理由を紹介します。
3.1.車両保険の加入率
損害保険料率算出機構のデータによると、自動車保険(任意保険)の車両保険加入率は、自家用普通乗用車が64.0%、自家用小型乗用車が52.9%、軽四輪乗用車が49.5%となっています(2024年3月末時点、自動車共済を含まない)。車種によって差はありますが、自家用乗用車の半数以上が車両保険に加入しています。
これほど多くの方が加入している背景には、車両保険ならではの必要性があります。どのような理由から必要とされているのか、見ていきましょう。
3.2.必要とされる理由①:相手が無保険・あて逃げなどのリスクを防ぐため
車には自賠責保険への加入が義務付けられていますが、自賠責保険は相手への賠償のみを補償するため、ご自身の車の修理代は補償されません。また、事故の相手が必ずしも任意保険に加入しているとは限りません。無保険で支払い能力がない場合や、あて逃げで相手が特定できない場合、車両保険に加入していなければ修理代はすべてご自身の負担となります。車両保険があれば、無保険の事故でもあて逃げでも、修理代をカバーできる場合があります。
3.3.必要とされる理由②:修理費が高騰しているため
近年は部品代や工賃の上昇により、車の修理費は以前に比べて高くなっています。さらに、最近の車には自動ブレーキや衝突被害軽減システムに使われるカメラやセンサーがバンパーやフロントガラスに搭載されています。そのため、一見小さな傷や損傷でも、センサーの調整作業が必要となり、修理費が想定以上にかかることがあります。
実際に修理に出してみると予想を上回る金額になることも珍しくありません。車両保険があれば、こうした予測しにくい出費への備えになります。
3.4.必要とされる理由③:自然災害や盗難などの不可抗力に備えるため
台風やゲリラ豪雨、車両盗難などは、どれだけ安全運転を心がけていても防げません。
こうした不可抗力のリスクは、ご自身の注意や努力だけではカバーできないため、車両保険で補うと安心でしょう。
3.5.必要とされる理由④:ローンの二重払いを避けるため
ローン返済中に車が全損になった場合、車はなくなってもローンの支払いは続きます。生活に車が欠かせない方であれば、残ったローンを返済しながら新しい車を用意しなければならず、場合によっては二重のローン負担が生じることになります。
車両保険があれば、受け取った保険金をローン返済の負担軽減や次の車の購入資金に充てられ、家計へのダメージを抑えられます。ローン返済中の方にとって、車両保険は万が一の際の重要な備えといえるでしょう。
4.車両保険がいらないと言われる理由は?
「もらい事故の際には相手の保険から補償される」「車両保険は保険料が高い」「小さな事故の場合は車両保険を使わない」など、車両保険を不要とする意見があります。まずは、それぞれの意見について背景を解説します。
4.1.相手が加入している保険から保険金が支払われるため
相手に過失がある交通事故の場合、相手方が加入する保険会社から、相手方の過失割合分の自分の車の修理費用が支払われます。そのため、車両保険の加入は不要という意見があるようです。
しかし、自分にも過失がある場合は、過失分の修理費用は、相手方の自動車保険から保険金が支払われません。もし車両保険に加入していれば、過失分の修理費用に自らが加入する車両保険を使うことができます。
また、相手が無保険の場合は保険会社による示談交渉ができず、賠償金の支払いを約束しても実際には支払われなかったり、連絡が取れなくなったりするリスクもあります。相手の保険に頼れるとは限らないため、ご自身の車両保険で備えておくことが重要です。
4.2.保険料が高くなるため
任意で加入した自動車保険に車両保険をセットすると、保険料が高くなります。そのため、車両保険は不要という意見もあります。
車両保険は、自分の車が損傷した場合の修理費用を補償する保険です。一般条件では、相手のいない単独事故や台風や洪水、落雷などの自然災害、車の盗難やいたずらによる損害まで、幅広い補償範囲を設定できます。
その分、保険料は高くなりますが、万が一のときに頼りになる点に心強さを感じるでしょう。
4.3.軽微な事故では使わない場合があるため
軽い接触事故によるこすり傷など、修理費用があまりかからない小さな事故の場合に「車両保険は使わないのでいらない」という意見もあります。
小さな事故の場合も、車両保険を使用することができます。ただし、使用後は等級が下がるため、翌年以降の保険料が高くなります。結果的に、支払われた保険金よりも翌年以降に増える保険料の方が高くなる場合も想定できます。
しかし、たとえ小さな事故といっても、修理内容によって費用が高くなる場合もあります。その点も踏まえて検討しましょう。
4.4.修理費用が全額補償されない場合があるため
事故の状況や契約の内容により、車両保険に加入していても修理費用の全額が補償されない場合もあります。
また、時間の経過とともに車両の価値が減少することから、車両保険の保険金額は年々設定できる金額が減少していきます。そのため、年式の古い車では、設定する車両保険の保険金額よりも、事故による修理代金が上回る可能性があります。
5.車両保険の保険料はどのように決まるのか
車両保険の保険料は、いくつかの要素の組み合わせで算出されます。
5.1.車両保険金額
車両保険金額とは、車両保険で支払われる保険金の支払限度額のことです。偶然の事故が起きた場合、補償されるのは車両保険金額までの範囲内となります。この額は車両保険を契約する際、ご契約の自動車の市場販売価格相当額をもとに決められます。
同じ車種であっても、年式が古くなるほど市場価値は下がるため、設定できる車両保険金額も毎年低くなっていく傾向があります。また、設定金額が高いほど万が一の際の補償は手厚くなりますが、その分保険料も高くなります。
車両保険の金額については、以下の記事をご覧ください。
5.2.型式別料率クラス
型式別料率クラスとは、車の型式ごとに、過去の事故データなどをもとに算出したリスクの高さを1〜17(軽自動車は1〜7)のクラスで表した仕組みです。「対人賠償」「対物賠償」「傷害」「車両」の4つの項目で算出されます。
損害保険料率算出機構が年に一度見直しを行っており、クラスの数字が大きいほどリスクが高いと判断され、保険料も高くなります。
例えば、同じ300万円の車両保険金額を設定する場合でも、型式別料率クラスが高い車は、低い車より保険料が高くなります。
一般的に、事故リスクや修理費が高い傾向にある車種は料率クラスが高くなりやすく、逆に安全装備が充実した車種は低くなる傾向があります。
5.3.自己負担額(免責金額)
保険料を左右する要素のひとつが、事故の際にご自身が負担する金額をあらかじめ設定する「自己負担額(免責金額)」です。
契約時に初回の事故は自己負担なし、2回目以降の事故は10万円を自己負担する「0万円-10万円」や常に10万円を自己負担する「10万-10万」などの選択ができ、自己負担額を高く設定するほど保険料は安くなります。
例えば、自己負担額を5万円に設定した場合、損害額が30万円であれば受け取れる保険金は25万円です。差額の5万円はご自身の負担となりますが、その分保険料は安くなります。
小さな傷は自費で直し、高額な損害のときだけ保険を頼ると考えているなら、自己負担額を高めに設定することで月々の保険料を抑えながら万が一への備えを確保できます。
5.4.ノンフリート等級
ノンフリート等級とは、1〜20の等級によって保険料の割引・割増率を決める仕組みです。等級は過去の事故歴が反映され、数字が大きいほど保険料が安くなります。
1年契約を継続する場合、1年間無事故であれば翌年度に等級が1つ上がります。一方、事故で保険を使うと、事故1件につき3等級(または1等級)下がり、その分割引率が低下して保険料が高くなります。
つまり、ノンフリート等級も車両保険の保険料を左右する要素のひとつです。このように、車両保険の保険料は、車両保険金額・型式別料率クラス・自己負担額・ノンフリート等級など複数の要素の組み合わせで決まります。
6.車両保険の加入がおすすめな人
次に該当する人は、車両保険の加入がおすすめです。
6.1.新車を購入した人
車両保険金額は各保険会社の基準で決まりますが、新車は保険金額が高く設定される傾向があります。そのため修理代が高額になっても、車両保険だけでカバーできる可能性があります。
6.2.ローンが残っている人
車をローンで購入した後に事故で全損になると、ローンだけが残ってしまいます。車両保険に加入していれば、保険金額で残債をカバーできるためこうしたリスクも軽減できるでしょう。
6.3.運転に自信がない人
運転に自信がなく、単独事故や相手方のいる事故に遭うかもしれないと不安に感じている人は、車両保険に加入しておくことをおすすめします。車両保険に加入することで、少なくとも事故を起こしたときの経済的な不安は軽減されるでしょう。
6.4.急な支出があると困る人
自動車事故は自分が十分気をつけていても起こる可能性があります。日々の保険料負担は抑えたいと思うかもしれませんが、万が一の事故で多額の修理代が発生した場合、貯蓄から急な出費を捻出するのは大きな痛手となります。しかし車両保険に加入しておけば、万が一の事故で多額の修理代が発生しても、そのうちの一部または全部をカバーできます。
7.車両保険に加入する際のポイントや注意点
車両保険に加入する際の注意点についても確認しておきましょう。
7.1.修理期間中の移動手段を検討しておく
車両保険に加入する際に見落としがちな点が、修理期間中の移動手段です。事故で車を修理に出すと、部品の取り寄せなどで数週間から1か月近くかかることもあります。
修理工場の代車が空いていない場合はレンタカーを自費で手配することになりますが、修理が長引けば代車費用がかさみ、想定外の出費となることがあります。
毎日の通勤や家族の送迎など、車が欠かせない移動手段になっている方は、代車費用特約(レンタカー特約)のセットを検討するとよいでしょう。なお、特約の名称は保険会社によって異なります。
7.2.保険料が上がる可能性がある
車両保険に加入すると、加入しない場合と比べて保険料が上がります。また「エコノミー型」よりも「一般条件」の方が補償範囲が広い分、保険料はさらに上がります。
7.3.支払限度額(車両保険金額)は毎年下がる傾向がある
一般的に車の年式が古くなるほど価値が下がるため、車両保険金額も毎年下がる傾向があります。車両保険金額とは、事故時にその車に対して支払われる車両保険の支払限度額のことです。
車両保険金額は保険会社ごとに定めた基準に基づいて決まりますが、実際の市場価格と差異が生じる場合があります。
「200万円で購入した車なので、車両保険金額も200万円になっているだろう。」というような思い込みは危険です。自動車保険を更新する前に、車両保険金額を確認しましょう。
なお、車両保険金額の不足分を補う方法として、「車両新価特約」や「車両全損時復旧費用特約」をセットする選択肢もあります。
7.4.故障した場合の修理費用は補償されない場合がある
一般的に「エンジンから急に煙が出た」「ヘッドライトが突然点灯しなくなった」などの故障の修理費は、車両保険では補償されません。しかし保険会社によっては、故障の修理費を補償の対象に含めるオプションを用意している場合があります。
7.5.一部の自然災害は特約でカバーする必要がある
車両保険は災害で自身の車が損害を受けたときも補償対象となりますが、地震・噴火・津波が原因の損害は、一般条件の車両保険でも補償されません。地震・噴火・津波による契約自動車の損害については、別途、オプションでカバーする必要があります。
7.6.中古車を購入する場合も加入の検討は必要
中古車を購入する場合にも、車両保険への加入を検討する価値があります。
事故に遭った場合、損傷の場所にもよりますが、車の部品の値上げなどにより修理費用が高額になることが想定されます。その点をカバーできる車両保険の存在は心強いものです。
また、自然災害や盗難といった突発的なトラブルにも備えられます。
一方で、車の年式が古くなることで車の時価額(市場価値)が下がり、車両保険で設定できる保険金額も下がる傾向にあります。中古車を購入する際には設定可能な車両保険金額を事前に確認したうえで、車両保険の加入を検討しましょう。
8.まとめ
車両保険は、事故や自然災害、盗難といった幅広いリスクから自分の車を守るための補償です。補償範囲の広い一般型と、保険料を抑えたい方向けのエコノミー型の2つのタイプがあり、ご自身の使用状況やリスクに合わせて選ぶことが大切です。
修理費の高騰や自然災害の増加など、車を取り巻くリスクは年々高まっています。特に、新車を購入した方やローンが残っている方、運転に不安がある方、万が一の出費への備えが足りない方にとっては、車両保険は心強い備えとなるでしょう。
※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年7月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
SJI26-57030(2026.06.24)
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