いざというときのために準備したいファーストエイド|親子キャンプ編
キャンプ場で走り回って遊ぶ子どもたち。いくら注意をしていても、ケガや体調不良はなかなか防げないもの。いざというときにも慌てずにすむ、お役立ちグッズと対処方法をご紹介します。
教えてくれたのは……
長谷部雅一さん
アウトドアプロデューサー。イベント主催などを行なう「ビーコン」代表取締役。インタープリテーションを中心にファーストエイド講習やモノ作り、イラスト制作などマルチに活躍。
基本のファーストエイド22選
1. 収納バッグ
だれが見ても救急セットだと分かるバッグやケースに入れましょう。こちらは十字マーク入りで一目瞭然。
2. ポイズンリムーバー
虫に刺されたときや咬まれたときに傷口から毒を吸い取り症状の悪化を軽減する道具です。キャンプではおもにブヨに使用します。
3. 水(ペットボトル)
キャンプ場では水場から離れていることもあります。傷口や目にゴミが入った場合も、清潔な水ですぐに洗い流せるので便利。
4. 穴開きキャップ
ペットボトルキャップに画鋲やキリで穴を1カ所開けておき、ペットボトルに装着すれば傷口を洗い流しやすくなります。
5. メモとペン
症状がひどい場合は救急に引き継ぐために状況の変化を逐一メモ。簡単なメモだけでも治療の判断材料になります。
6. かゆみ止め
虫刺され・かゆみ対策用の塗り薬。写真は蚊や毛虫、ムカデに効くタイプ。幼児は大人用が使えない場合があるので注意が必要です。
7. アルコールスプレー
感染症対策として手指の消毒用に。アルコールを設置しているキャンプ場もありますが携帯しておきましょう。
8. 体温計
子どもが急に発熱することも考えられます。また、体調チェックにも活用できます。
9. マスク
キャンプ場では汚れることも多いので、予備を準備しましょう。花粉などのアレルギー対策としてもあると安心です。
10. 手ぬぐい
手ぬぐいを濡らして絞って振り回せば、気化熱でひんやりするので、患部の冷却に。発熱時にはおでこにのせて使いましょう。
11. 包帯
ガーゼパッドの固定用に使用します。伸縮包帯は、テープがなくても巻くだけでくっつくものもあり、ずれにくいので扱いが楽です。
12. 防水フィルム
ガーゼパッドで傷口を覆ったあとにぺたりと貼るだけでOK。水やバイ菌から傷口を守り、水に濡れても大丈夫です。
13. ガーゼパッド
バンドエイドでは補えない広い面積のすり傷に便利です。患部のサイズに合わせて切り、包帯などで固定しましょう。
14. 絆創膏
傷の大きさで使い分けられるようサイズは大小を用意しましょう。痛みを和らげ傷を早く治す湿潤療法タイプもあると◎。
15. エマージェンシーブランケット
薄手の防寒用シート。急な発熱で寒気がするときに体を包めば、高い保温力で体温が逃げるのを防いでくれます。
16. エチケット袋
慣れない環境で急に胃腸の調子が崩れ嘔吐してしまうことも。トイレまで離れている場合にあると安心です。
17. ジッパー付きビニール袋
血液が付着したティッシュを入れたり、水や氷を入れて即席アイスパックにできたりと、なにかと役に立ちます。
18. 綿棒
耳の中に虫が入ったときに取り除いてきれいにしたり、細かいところの消毒用に使えたりするので数本用意しておきましょう。
19. ピンセット
転んで傷口に砂や小石が入った際に使用します。小枝が刺さった場合も簡単に取り除けそうなら排出しましょう。
20. 化膿止め
傷ややけどを負ったときに。ただし、傷が深すぎる場合やひどいやけどの場合は使用せずに病院へ。
21. 常備薬
ちょっとした体調不良に対応できるよう、風邪薬や下痢止め、頭痛薬など、普段飲んでいる薬は必ず持参しましょう。
22. ゴム手袋
処置者、傷病者双方の感染防止のために使用します。ぴったりと手にフィットする手袋で処置を行なうのが鉄則。
子どものケガには慌てない!骨折やねんざは迷わず管理棟へ
キャンプ場での子どものケガや体調不良は必ず起こります。それに備えて、ファーストエイドキットの準備は万全にしたいものです。それでも大きなケガをした際は、自分だけでなんとかしようとしないことが大切と長谷部さんは話します。
「今回ご紹介したキットは、あくまで症状が軽いケースに対応したものです。骨折やねんざなど対応できないケガの場合は、管理棟のスタッフに近くにある病院を紹介してもらいましょう。熱中症に関しては、意識がもうろうとし始めていたら迷わず救急車を呼びましょう」
熱中症はケガと違って注意していれば防げます。こまめに水分と塩分、糖分を補給しつつ、水遊びで体を冷やすなども予防に効果的とのこと。
また、子どもがケガをした際に気をつけたいポイントがあります。
「子どもがケガをしたときは親も焦るので、怒ってしまうパパ・ママがいますが、じつは一番やってはいけないことなんです。たとえ小さなすり傷でも、子どもにとってはいち大事。そこで怒って追い打ちをかけることで、パニック状態になってしまいます。そうすると、いつどこでケガをしたのか説明できなかったり、暴れて処置がスムーズにできなかったりすることも。子どもがケガを報告してきたら、まずはにこっと笑って、子どもを落ち着かせましょう」
ファミリーキャンプの場合、いっしょに遊びにいった友人家族の子どもがケガをすることも考えられます。「すぐさま処置をしてあげたくなりますが、アレルギーなどをもっている場合があります。必ず親に『この薬塗ってもいい?』などと確認をしてから行なってください」
「ファーストエイドキットは使ったら補充し、しばらく使っていない場合は、使用期限が過ぎていないか、年に一回は確認してください」と長谷部さん。いざというときに使えないことのないよう、準備は万全に。
覚えておきたいテクニック
すり傷・切り傷
傷口に砂や石が残らないよう、穴開きキャップを装着したペットボトルの水圧で、細かな汚れを洗い流しましょう。トゲや細い枝が刺さっている場合は、消毒をしたピンセットで取り除きます。太くて抜くのが不安な場合は、抜かずに救助を呼ぶ判断を。
虫刺され
ポイズンリムーバーは、おもにブヨなどに刺された際に使います。刺された患部に当ててピストンを押し下げることで毒を吸い出してくれます。刺された直後、毒が体内に吸収される前に使うのがポイント。添付の説明書に従って使用しましょう。
熱中症
手ぬぐいを水で濡らし絞って振り回すと、気化熱の作用ですばやく冷えます。太い血管が通っている、わきの下や首のうしろ、太ももの付け根に当てて集中的に冷やしましょう。着ている服をそのまま濡らしてしまうのも、気化熱で冷えるので効果的です。
軽度のやけど
やけどは放置すると面積が広がるため、できるだけ早く冷やすことが症状を悪化させないために大切なポイントです。クーラーボックスに入っている水や氷をジッパー付きビニール袋に入れて、痛みや赤みが落ち着くまで冷やしましょう。
写真◎後藤武久
文◎古川晶子
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