キャンプマスターに聞くテント&タープを「ひとりで美しく」張るコツ|トンネル型
ママが子ども相手に大忙しのときなど、ひとりでもテントやタープを立てられる設営術は身に付けておきたいもの。数えきれないほどのテントとタープを設営してきたキャンプの達人・牛田浩一さんが、設営術の極意を伝授します!
トンネル型
POINT1:ポールは片側から順に通してペグダウン
ポールを幕体中央から通すと、その次のポールを通すときに幕体が干渉してじゃまになります。そのため、前後どちらからか順にポールを通し、順番に幕体ごと寝かせていけば、ひとりでもスムーズに設営が可能です。
POINT2:ガイライン張りをさぼらずに風対策
トンネル型は、サイドウォールの面積が大きいのも特徴。「そのぶん、風の力を強く受けるので、両サイドにガイライン(張り綱)を張ってください」
設営時は無風でもそのあと風が出ることもあり、必須の作業になります。
POINT3:インナーテントは付けたままOKの型も
フライの外側にポールを通すアウターフレームなので、モデルによっては設営・撤収時にインナーテントを付けっぱなしでOK のテントもあります。降雨の際、インナーテントの設営時に濡れないのもトンネル型のよさです。
POINT4:ひさし部分の丸め方にもコツあり
ひさしを丸めるときは最初に中央へ畳んでおくと、丸め終わったあとにロールした箇所から生地があふれにくくなります。「途中までは手前側に丸め、最後だけ奥側に巻き返すことで、ロール部分に雨がたまらなくなります」
スムーズな設営は立ち上げるまでが勝負!
家族キャンプでは、子どもがぐずってママの手伝いを望めず「設営はパパお願い!」なんてケースも。ひとり設営の際、まず大切になるのは幕体のサイズ・形状を把握すること。「非自立型はペグダウンが先になるので、立ち上げたあとに場所を移動させづらいんです」と牛田さん。サイト区画のどこに立てるか幕を広げてイメージしたら、いざ設営を開始。ひとり設営に風は天敵なので風のない場所を選びたいし、どうしても風を受ける場合は風上からペグを打ち、幕体が飛ばないようにします。
また、ひとり設営は立ち上げるまでが勝負です。とくに非自立型の場合、各ポールの角度・設営手順の妙で、一瞬でも自立してくるかがキーとなります。「事前にペグを刺す位置にペグを置いておけば、設営スピードも上がります。強度の高いペグなどでしっかりとガイラインを張るのも風に強く張るコツです」
まずは設営の基本
安全な場所選び
広い空間に木が一本立っているような場所に設営すると雷が落ちる危険性もあるので避けます。また、地面を見て水がたまっているような場所は水はけが悪いので、その周辺での設営はやめたほうがいいでしょう。
石と枝を取り除く
ひとり設営の際は、気が焦ってすぐに幕体を広げがちですが、まずは地面を確認しましょう。前のキャンパーの薪の残りや、小石などがあるとボトムに穴を空けてしまう可能性もあります。なにより寝心地が悪くなってしまいます。
ペグ打ちは角度がキモ
ペグは、ガイラインに対して90度ほど、地面に対して45〜60度ほどの角度で打つと抜けづらいです。また軽量なアルミペグは曲がりやすいので、ハンマーはペグに対して真っすぐ打ちましょう。
ペグ抜きにペグを活用
打ち込んだペグが全然抜けないのは“撤収時あるある”。その際は、ペグの輪の部分に違うペグを通して両手を使って抜くか、ハンマーでペグを横から叩いて刺さっている穴を広げると抜きやすくなります。
設営の手順
①フライシートを広げる
区画内のどこに張るか計算し、フライを広げます。その際、下に付いているスタンディングテープ(幕が横に広がらないよう形を保つテープ)が絡まっていないか確認しましょう。
②スリーブにポールを通す
ポールを押すように通していきます。最近はポールの色とスリーブの差し込み口の色を揃え、どこにどのポールを通せばよいか、わかりやすくしているモデルも多いです。
③片側をペグダウンし、もう一方から広げる
トンネル型のひとり設営のキモ。片側をペグダウンしたあと、重なっていた各ポールと幕を、蛇腹を広げるように広げます。もう一方をペグダウンするとテントが自立します。
④ガイラインを張る
テントが自立したら、今度は両サイドのループにガイラインを張り、ペグダウンします。両サイドからうまくテンションをかければ、しわの少ない美しい張り姿に!
⑤インナーテントを接続
フライのフックにインナーを吊るす手順は、奥から手前へ。手前から吊るすと奥のフックに手が届かなくなります。この時点で蚊が幕内にいることもあるので虫よけ対策を!
⑥キャノピーを立ち上げる
気分や天候に応じて、ひさしをアレンジします。ポールは、最初少し内側に傾けておくと手を離しても倒れにくくなります。ペグダウン後、ポールの角度を再調整しましょう。
教えてくれたのは
牛田浩一さん
幼いころからアウトドアに親しみ、アウトドア・キャンプ用品の輸入販売会社を経て、アウトドアのなんでも屋として独立。あらゆるギア&アクティビティを知り尽くす業界の重鎮的存在。
文◎鈴木健太
写真◎宮田幸司
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