実はこれも防災グッズ!キャンプ道具のさまざまな使い道
防災の備えを始める際、特別な専用品をゼロから揃えようと身構える必要はありません。大切なのは、日用品やキャンプ道具の新しい活用法を知り、災害時に役立てる視点を持つことです。防災を日常の延長として捉え直せば、備えはもっと身近で実践的なものへと変わります。
防災グッズの基準って?備えることの大切さ
防災グッズというと、非常用として作られた専用品を思い浮かべがちですが、それだけを指すわけではありません。
本来は、災害時の生活を支えるための道具全般が防災グッズと考えられます。
なぜ備えが必要になるのか
災害時には、電気・水道・ガスといったライフラインが止まる可能性があります。復旧までに時間がかかることも多く、その間は行政の支援がすぐに行き届かない場合もあります。
その空白の時間を自分たちの備えで補い、生活を維持するために、防災グッズは欠かせない存在なのです。

【専門家コメント】
東日本大震災や阪神・淡路大震災によって停止したライフラインの復旧は、電気がもっとも早く、次いで水道、最後にガスでした。内閣府による首都直下地震等による東京都の被害想定をもとにしたライフラインの復旧目標日数は、電気が6日、水道が30日、ガスが55日です。これは約20年前の想定なので実際には前後する可能性があります。また、令和6年能登半島地震では、ガスがもっとも早く、水道は最後でした。
災害の規模や種類、地域によってライフラインの復旧の日数や順番は異なることを知っておきましょう。加えて「電気・水道・ガスが使えない」という生活を想像してみることも防災になります。
専門家が教える!必要な防災グッズ
防災グッズは「非常持ち出し品」と「備蓄品」に分けて備えましょう。種類を揃えるよりも「自分と家族が生きるために必要なものを厳選する」という視点で考えることが大切です。キャンプ道具はもちろん、使い慣れた日用品を多めに用意しておくだけで災害への備えになります。
■非常持ち出し品
災害直後に津波や洪水、土砂災害からすぐ避難する場合に持って行くもの。1〜2日程度を生きるために最低限必要な飲料水、トイレ用品、食料を厳選してザックに入れ、「非常持ち出し袋」として用意しましょう。重さは成人男性15kg、成人女性10kgが目安ですが、速やかに避難するためには軽量化も必要です。
■備蓄品
災害から数日経って緊急の危険が過ぎ、避難所や在宅避難での生活を送るために必要なもの。支援物資が安定して配布されるまでの7日分以上の飲料水、トイレ用品、食料に加え、安全を確保するための灯り、通信機器(モバイルバッテリーなどの充電器)、体調を整えるための暑さ・寒さ対策品などが役立ちます。
まずは最低限の生活を支える備えを整え、そのうえで不安や負担を減らすアイテムを加えていくのがおすすめです。こうした考え方を持つことで、キャンプ用品や日用品が防災に活かせる場面にも気づきやすくなります。
防災グッズによって助かること
防災グッズがもたらすのは、単なる「便利さ」だけではありません。
心身の負担を軽減し、冷静な判断を支える役割も担っています。
● 防災グッズが果たす役割
・暗闇でも灯りを確保でき、安全に行動できる
・寒さや雨から身を守り、体調不良のリスクを下げられる
・生きるために必要な飲料水や食料を確保できる
・安心して使えるトイレで健康と尊厳を守れる
・体を休められる寝具があることで、体力を回復させ不安が和らぐ
・生活の質が極端に落ちず、判断力や行動力を保ちやすい
こうした「安心感」は、非常時には想像以上に大きな意味を持ちます。

日々の生活で防災に役立つものもある
防災のために、必ずしも新しい道具を買い足す必要はありません。
視点を変えることで、日常生活で使っているものも防災に役立ちます。
使い慣れていることの強み
例えば家庭用のカセットコンロは、ガスが止まった際の貴重な調理手段になります。普段から使い慣れている道具は、非常時でも迷わず扱える安心感があります。
【専門家コメント】
食べ慣れたレトルト食品や缶詰、お菓子を多めにストックしておくだけでも備蓄品になります。また、家庭にある食品用ラップを敷けば食器を洗う必要がなく節水になるほか、傷口の応急処置や手袋代わりにも使えます。
キャンプ用品のランタンは電気が復旧するまでの灯りになります。懐中電灯と違って四方が明るくなるうえ、置いたり吊るしたりできるのが利点です。クーラーボックスは飲料水や食品を冷やすだけでなく、椅子や簡易テーブルにもなります。
アイデア次第で身近なアイテムが災害への備えに早変わりします。防災に正解はないからこそ、家族で相談しながら家庭に合わせた備えを考えましょう。
意外と役立つキャンプ道具
キャンプ道具は、ライフラインの整っていない環境で使うことを前提に作られています。
その特性を理解すれば、災害時にも応用できる場面があります。

キャンプは、電気や水道が整っていない自然の中で、衣食住を自分で整える活動です。こういった屋外での経験は、風や寒さなど日常とは異なる条件下で道具を使う感覚を養い、防災力を高めてくれます。
ここでは、特に防災に活かしやすい道具を紹介します。
●ヘッドライト|両手が使える灯り

防災用ライトといえば懐中電灯を思い浮かべがちですが、ヘッドライトは両手が空くのが最大の利点です。移動や作業、荷物の整理など、暗い中での行動が格段に楽になります。
●マット・寝袋|体調を守るための寝具

避難生活では、睡眠環境が体調に直結します。キャンプ用マットは床からの冷えを防ぎ、体への負担を減らしてくれます。寝袋はコンパクトで、季節に応じた保温力を選べる点が特徴です。布団の代わりとして、十分に役割を果たします。
●アウトドア浄水器|飲料水を「確保する」

飲料水は、防災の中でも特に重要です。アウトドア用浄水器があれば、浴槽の残り水などを活用することができます。すぐに飲める備蓄水と組み合わせることで、安心感は大きく変わります。
● 広口ボトル|寒い夜の湯たんぽ代わり

広口ボトルは、水筒としてだけでなく、防水ケースや簡易的な湯たんぽ、照明の拡散にも使えます。1つのボトルが複数の役割を担うため、荷物を最小限にしたい防災やアウトドアで活躍します。
●ザック|簡単に物資を運搬

ザックは、両手を空けて物資を運べる点が大きなメリットです。足場が不安定な場所でも、両手が自由になることで安全を確保できます。
●テント|プライバシーを確保する

テントは災害時のストレスを軽減し、心の安定を保つために必要なキャンプ道具です。実際に、熊本地震でプライバシーの欠如が課題となった際も、多くの被災者を精神的に支えました。
使うときの注意点と活用のコツ
キャンプ道具は、防災専用品ではありません。そのため、無理に代用品として使うのではなく、あくまで緊急時の選択肢の1つとして捉えることが大切です。

注意しておきたいポイント
● 安全が確保できない状況では使用しない
● 避難行動を最優先する
● 道具の特性を理解したうえで使う
普段から使い慣れておくことが、いざというときの安心につながります。
【専門家コメント】
「災害時のための備え」としてわざわざ用意したアイテムは、購入してから押し入れや物置に入れっぱなしになりがちです。いざというときに取り出しても、使い方がわからなかったり、消費期限が過ぎていたりする可能性もあります。
使い慣れた日用品やキャンプ道具はもちろん、ライフラインに頼らないアウトドアで過ごした経験は、災害時を生き延びるためにきっと役立ちます。
まとめ
防災は特別なことではなく、日常生活の延長で考えられるものです。
キャンプ道具のように、身近な道具の特性を知り、使い方を想像しておくだけでも、災害時の助けになります。
家族や友人と情報を共有しながら、自分たちの暮らしに合った備えを考えておきたいものです。
【監修者プロフィール】
金子 志緒

愛犬との暮らしをきっかけに人と動物の共生に関心を持ち、動物関連書の編集プロダクションを経て出版社へ。災害時の家庭備蓄やペット同行避難など、暮らしと防災をつなぐ企画・編集に携わる。
現在はフリーランスのライター・編集者として、防災を軸に動物・医療分野の取材・執筆・監修を行う。
<資格>
・防災士
・愛玩動物飼養管理士1級|ペットケアアドバイザー
・スタディ・ドッグ・スクール認定ドッグトレーナー
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