共働き夫婦は生活費をどう負担している?
共働き夫婦の家計タイプ | 割合 | |
---|---|---|
一体型 | 夫婦全体の収入を共同財産とし、支出をすべて支払う | 39.3% |
拠出型 | 夫婦で生活費を出し合い、残った収入は各自で管理 | 25.0% |
扶養型 | 片方が生活費をすべて支払い、一方は個別管理 | 14.1% |
支出分担型 | 項目別に支出を分担し、残った収入は各自で管理 | 14.4% |
清算型 | 生活費を公平に支払い、残った収入は各自で管理 | 6.4% |
出典:株式会社スマートバンク「世代別の夫婦の家計管理(共働き夫婦の家計タイプ)に関する調査」
株式会社スマートバンクの調査によると、共働き夫婦の多くは「夫婦全体の収入を共同財産とし、支出をすべて支払う」一体型を採用していることがわかります。多くの夫婦が共同での家計管理を理想としていることから、2人で家計を管理しやすいように収入と支出を公平に負担しているようです。
ここからは下記2つのケースを例として、家計管理の方法を解説していきます。
- 夫が生活費、妻が貯蓄を担当しているケース
- 共通口座を作成して生活費をやりくりするケース
1. 夫が生活費、妻が貯蓄を担当しているケース
夫婦いずれかの収入が多い場合は、収入の割合に応じて生活費と貯蓄の担当を決めるとよいでしょう。その際は、それぞれの口座を利用することで送金の手間が省けます。家賃や水道光熱費、食費などを夫の口座で支払い、妻が貯蓄を担当すれば、生活費を公平に負担できます。
ただしお互いの「貯蓄額」を把握しづらい点には注意しましょう。教育資金や住宅購入資金が必要になったときに、目標額に達していないと焦ることにならいように、目標とする金額が決まっている場合は毎月の準備額を逆算して、少しずつ貯蓄を進めるようにしましょう。
2. 共通口座を作成して生活費をやりくりするケース
教育資金や住宅購入資金をしっかりと準備したい場合は、共通口座の利用をおすすめします。共通口座で生活費を支払うようにすれば、支出の内容を見える化できるからです。家賃や水道光熱費、保険料などの固定費を共通口座から引き落とすことにより、生活費をやりくりしやすくなるでしょう。
また、生活費の支払いだけでなく、貯蓄用に共通口座を作成する方法も有効です。現在の貯蓄額が把握しやすくなるため、モチベーションを保ちつつ夫婦でお金を貯めやすくなります。
共働き夫婦の家計管理には共通口座がおすすめ
家計管理が難しい共働き夫婦には、共通口座の利用をおすすめします。共通口座を活用することにより、生活費の内訳や貯蓄額の状況を夫婦で共有しやすくなるからです。また、現在家計に余裕がある場合は、教育資金や住宅購入資金を貯めやすい時期でもあります。目的に合った共通口座を作成して、少しずつお金を準備していきましょう。
共通口座を活用して家計を管理する流れ
ここからは、共通口座を活用して家計を管理する流れを解説します。
- 共通口座を決める
- 将来必要なお金は先によけておく
- 生活費の予算を決めて共通口座へ入金する
- 月末などで生活費について話し合う
1. 共通口座を決める
夫または妻の口座のうち、どちらを共通口座として利用するか決めましょう。生活費の支払いを目的とする場合は生活費の負担が大きい方、貯蓄を目的とする場合は家計管理が得意な方の口座など、2人で話し合って決めることをおすすめします。また、貯蓄を目的とする場合は、新規口座の作成を検討しましょう。既存口座と分けて利用することにより、貯蓄額の状況を把握しやすくなります。
2. 将来必要なお金は先によけておく
教育資金や住宅購入資金などの目標額が決まっている場合は、必要額を逆算して毎月貯蓄用口座へ入金するようにしましょう。事前に貯蓄額をよけておくことにより、将来必要なお金を準備しやすくなります。
また、教育資金など、時間をかけて準備できる資金については投資での準備も検討するとよいでしょう。NISA制度の対象となる投資信託などで資産を運用することにより、一定の投資額(最大で年間360万円)により生じた運用益が非課税となります。
なお貯蓄額の目安は、手取り収入のうち15〜20%といわれており、総務省統計局の調査※によると、年収1,000万円の世帯では毎月約43万円を貯蓄しています。
3. 生活費の予算を決めて共通口座へ入金する
生活費の支払いに共通口座を活用する際は、生活費をあらかじめ入金しておきましょう。家賃や水道光熱費、食費など、これまでの生活費をもとにした予算を入金しておけば、支出を最低限に抑えることができます。
ただし、予算を決める際は無理のない範囲で設定しましょう。食費を削りすぎたり水道光熱費の節約を意識しすぎたりすると、生活にストレスが生じてしまうからです。家計改善を行いたい場合は、家族カードや家計簿アプリと併用する方法もおすすめです。
なお、総務省統計局の調査※をもとにした生活費の平均額は以下の通りです。
年収1,000万円世帯の生活費 | |
---|---|
食料 | 75,606円 |
住居 | 19,383円 |
光熱・水道 | 19,426円 |
家具・家事用品 | 9,324円 |
被服及び履物 | 11,626円 |
保健医療 | 12,423円 |
交通・通信 | 45,178円 |
教育 | 15,467円 |
教養娯楽 | 27,187円 |
その他消費支出 | 49,654円 |
合計 | 285,275円 |
住居費の平均額については持ち家の方もいることから、低めに算出されているようです。
※出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査(二人以上の世帯:勤労者世帯)」
4. 月末などで生活費について話し合う
月末などの時間を設けて話し合うようにすれば、計画の達成状況を確認しやすくなります。「現在の予算で足りそうか」「順調に貯蓄できているか」などを2人で確認することにより、家計の改善点が見つかることでしょう。家計状況について話し合う際は、共通口座の明細や家計簿アプリなども活用したいところです。
共通口座を作成する際のポイント
共通口座を作成する際は、以下のようなポイントに注目しましょう。
- 定額自動入金サービスがあること
- 入出金手数料が無料なこと
- デビットカードやプリペイドカードが発行できること
1.定額自動入金サービスがあること
共通口座を選ぶ際は、定額自動入金サービスの有無を確認しましょう。生活費の支払いや貯蓄を目的として口座を活用する場合は、毎月の送金が必要です。送金の度に手数料がかかったり、自身で送金する手間が生じたりすると管理が面倒になってしまい、共通口座を使わなくなってしまう可能性があるからです。
その点、定額自動入金サービスがあれば、自分たちで設定した額を手数料無料で毎月自動送金してくれるため、生活費の支払いや貯蓄を仕組み化できるようになります。
2. 入出金手数料が無料なこと
現金での支払いが多い方は、入出金手数料の無料回数に注目しましょう。共通口座を利用する場合は毎月口座からお金を引き出したり預けたりするため、毎月の入出金手数料が負担になる場合があるからです。
最寄りに銀行の支店がある場合はメガバンクで、コンビニATMなどを利用する機会が多い場合はネット銀行で口座を開設するとよいでしょう。メガバンクでは同行ATMなどの入出金手数料が優遇され、ネット銀行ではコンビニATMなどでの入出金手数料が一定回数無料に設定されています。
3. デビットカードやプリペイドカードが発行できること
食費や日用品購入費などの支出を把握したい方には、デビットカードやプリペイドカードの利用をおすすめします。デビットカードとは利用額が口座から即時引き落とされるもので、プリペイドカードは利用のために事前入金が必要なものです。
共通口座を選ぶ際は、デビットカードやプリペイドカードが発行できる銀行を選ぶことで、現金と近い感覚で生活費を支払えるようになります。またVISAやMastercardといった国際ブランドのカードを選べば、多くの店舗で利用できます。
共通口座を活用して家計を見直そう
教育資金や住宅購入資金など、これからお金が必要な場合は夫婦で話し合う時間が大切です。現在の収入や生活費の状況、必要な貯蓄額を共有しておかなければ、一向に準備が進められません。しかし、共通口座を作成すれば、毎月の生活費や貯蓄額を共有しやすくなります。まずは共通口座について話し合い、毎月の入金額を決めてみてはいかがでしょうか。
※記載されている情報は2024年9月時点のものです。