財布を別にして生活費を出し合う方法とは?

共働きの場合、基本的に財布は別にしたいと考える人も多いでしょう。その場合、生活にかかるお金は各自が出し合う必要があります。生活費を出し合う方法のメリットやデメリットは、次のような点です。

1. 生活費を出し合うメリット

夫婦の収入に応じて生活費の負担割合を決めると、不公平感が少なくなります。夫婦の収入が同程度の場合にはおすすめの方法です。生活費を出し合う場合、自分の手元に残ったお金を自由に使えるのもメリットでしょう。

2. 生活費を出し合うデメリット

貯金を本人任せにすると、貯金額に差ができてしまうことがあります。毎月の家計でカバーできない大きな出費を各自の貯金から出す場合、貯金がある側が多く出さなければならなくなり、不公平感が生じてしまいます。

また、生活費を出し合う方法は、どちらかの収入に変化があったときに対処しにくいことがあります。例えば、転職などで収入が一時的に途絶えた場合や、育休中や時短勤務で収入が減った場合には、他方がカバーしたり、負担の割合を見直したりしなければなりません。

生活費の負担額の決め方

生活費を出し合うときには、不公平感のないようにしたいものです。生活費の負担額をどのように決めたらいいのかについて考えてみましょう。

1. そもそも生活費はどれくらい?

結婚してまだ間もないなら、そもそも生活費としてどれくらいの額が適切なのかもわからないでしょう。総務省の「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」(2023年)によると、夫婦共働き世帯のうち核家族世帯の1カ月あたりの消費支出の平均は33万6,659円でした。世帯構成別にみると、次のとおりです。

【共働き世帯の消費支出】
世帯構成 1カ月あたりの消費支出
夫婦のみ 32万2,566円
夫婦と未婚の子ども1人 35万6,748円
夫婦と未婚の子ども2人 32万9,001円
核家族全体の平均 33万6,659円

夫婦と未婚の子ども1人の世帯では多めになっていますが、子どもが増えると必ずしも生活費が増えるというわけではありません。子どもができると、夫婦だけのときと比べて、節約して暮らすようにもなるでしょう。子ども2人くらいまでは、生活費の額は大きく変わらないと言えます。

2. 収入に応じて負担割合を決める

2人以上の世帯では、生活費として34万円程度はかかるため、収入が同程度なら、生活費を折半するのが公平です。1人あたりの負担は17万円程度になるでしょう。

夫婦の収入の差が大きい場合には、毎月の手取り収入に応じて負担割合を決めておきましょう。例えば、夫の手取りが月28万円、妻の手取りが月24万円とすると、夫が月18万円、妻が月16万円を負担すると公平になります。

なお、毎月の手取りはあまり変わらなくても、ボーナスの額に大きな差があるようなケースもあるでしょう。ボーナスから一定割合を生活費に回すというルールにすれば、不公平感はなくなります。

毎月の生活費については、専用口座を作っておくと管理しやすいでしょう。各自給料が出たときに、生活費専用口座に自分の担当額を入金します。生活に必要なお金は、生活費専用口座から出すことになります。

3. 収入が減った場合のことも考えておく

共働きで一方の収入がなくなったり、大きく減ったりした場合、他方の収入だけでは生活費をカバーできないこともあります。仮に生活費を賄えるだけの収入があったとしても、急に負担額が増えると戸惑ってしまうものです。

育休や時短勤務によって、事前に収入が減ることが想定される場合、生活費をどうするかは夫婦でよく話し合っておきましょう。転職を考えている場合には、自分だけで勝手に決めず、パートナーにも相談することが大事です。生活防衛資金としてある程度の額を貯蓄しておくと、収入の減少にも備えられます。

急な解雇の場合は雇用保険(失業保険)、病気やケガで仕事を休み収入が減った場合には、健康保険の傷病手当金で保障が受けられます。こうした社会保険制度についても知っておくと不安が軽減するでしょう。

財布が別々の夫婦は貯金も出し合う

財布が別々の場合、貯金を個人任せにすると実は貯まっていなかったということも起こり得ます。夫婦の貯蓄専用口座を作り、貯金する分も夫婦で出し合うようにしましょう。夫婦の貯金をするには、主に以下のような方法があります。

1. 貯蓄専用口座に各自入金する方法

それぞれの給料から貯金に回す額を決めておき、貯蓄専用口座に各自が毎月入金する方法です。給料に対して同じ割合になるよう貯金額を決めておくと、不公平感はなくなります。

2. 生活費専用口座から振替する方法

夫婦の生活費の専用口座を作っている場合には、各自が毎月の貯蓄額も合わせて生活費専用口座に入金する方法もあります。貯蓄に回す分は、生活費専用口座から貯蓄専用口座に自動振替するよう設定しておくのがおすすめです。生活費専用口座に残ったお金についても、年1回などタイミングを決めて、貯蓄専用口座に振替すると良いでしょう。

ライフイベント実現のための貯金はどれくらい必要?

ライフイベント実現のための貯金はどれくらい必要?

結婚すると、住宅購入や子どもの教育資金など、まとまったお金が必要になる場面があります。老後の生活費も用意しておかなければならないので、将来のために毎月少しずつ貯蓄しておくことは不可欠です。貯蓄がいくら必要かは、ライフプランによって変わってきます。

まずは夫婦でライフプランを話し合い、貯蓄の目標額を決めましょう。毎月どれくらいを貯金に回せば良いのか目安がつきます。

1. マイホーム購入資金

マイホームは住宅ローンで購入する夫婦が多いでしょう。住宅ローンでは、住宅購入代金の全額を借りられるわけではありません。住宅ローンの融資率(物件価格に対する借入額の割合)は70~80%程度になることが多くなっています。融資率が90%を超えると、金利が上がるなど不利な条件になることもあります。

住宅購入時には、物件価格以外の諸費用もかかります。この場合の諸費用とは、税金や登記費用、住宅ローンの保証料や融資手数料、引っ越し費用などです。諸費用は住宅ローンに含めることができないため、貯金しておく必要があります。諸費用としては、物件価格の1割程度をみておく必要があります。

マイホーム購入を考えているなら、頭金や諸費用に充てるために、少なくとも物件価格の20%から30%は貯蓄しておきましょう。例えば、予算5,000万円でマンション購入を考えている場合、頭金などとして1,500万円は用意しておきたいものです。どのような物件を購入したいか、いつ購入するかを夫婦で話し合い、資金計画を立てておくことが大切です。

2. 子どもの教育資金

子どもの教育費としていくら必要かということは、進学ルートによって変わってきます。高校まで公立であれば、学校でかかる費用については毎月の家計からも捻出できるでしょう。ただし、塾や習い事の費用が高くなってしまうことはあります。

私立に通わせる場合には、授業料や施設費の負担が大きいため、貯金がないと難しくなってしまいます。高校は授業料無償化になっている自治体も多いですが、共働き夫婦の場合だと所得制限にかかってしまう可能性もあります。

特に、計画的な準備が必要なのが大学進学費用です。大学に通わせる場合、国公立でも年間50万円以上、私立では年間で100万円以上かかります。これとは別に入学金も必要です。自宅外から通わせる場合には、生活費や住居費など、さらにお金がかかるでしょう。子どもの教育資金は、子どもが生まれたときから積み立てを開始するのがおすすめです。

3. 老後資金

老後資金はすぐに使うわけではないので、優先順位は低くなります。老後に必要な額は、年金や退職金の額によっても変わります。共働き夫婦の場合、老後資金は各自で積み立てしておくのがおすすめです。老後資金の準備を開始するなら、iDeCoを活用すると、効率的な運用ができるでしょう。

まとめ

都市部に住む共働き夫婦が生活費を出し合う場合、手元に残ったお金は自由に使えるメリットがあります。しかしながら、確実に貯金ができるよう、各自が貯金も出し合うか、生活費専用口座から貯金できるように決めておきましょう。

お金については、金額を公平にすれば不満が出なくなるわけではありません。お金の管理をスムーズにするためには、夫婦で家計について話し合う機会を作ることがいちばん大切です。月1回など、話し合いのタイミングを決めて、家計改善に努めましょう。