見せる収納とは
雑誌や洋書のページをめくると、持ち物すべてをしまいこまずに部屋のあちこちに程よく出して、見せて収納している部屋が目にとまります。すべてをしまって整然としている部屋も気持ちいいですが、好きなものを飾って住まう人の個性を表現するのも、また楽しいものです。
今家にある持ち物は、沢山ある中から気に入って選んだものばかりのはず。自分の好きなものを目につくところに置いていると、日常生活が潤うように思いませんか。そんな、あたたかみや親しみやすさのある「見せる収納」は、一見無造作なようでいて、実はいくつかのコツがあります。
まずは、一旦しまってから
見せる収納は、一にも二にもやりすぎないことが肝心です。あれもこれもと欲ばって外に出してしまうと、かえって乱雑な印象になってしまうので、散らかって見えないためにも、くれぐれも出しすぎないように気をつけましょう。
見せる収納は料理の味つけのように、あくまでも収納の仕上げのアレンジ(=スタイリング)作業です。まずは部屋を一旦片づけて全ての持ち物を適した場所にしまって、そしてそこから見せるものを少しずつあしらっていくのが見栄えのいいインテリアへの近道です。
外に出すものは、色や素材・形状などを揃えると統一感が出て、すっきりまとまります。なかでも、本やガラス・金属素材・天然素材のカゴ・白い小物などのようにさっぱりしたテイストでそれぞれが主張しすぎないものが、見せる収納にとっては最強アイテム。似たようなアイテム同士をコーナーにいくつも重ねてつながりをもたせると失敗しにくいです。
逆に、華やかな色や大きな柄物はポイント使いには効果があるものの、にぎやかに見えやすいので、見せる収納に慣れるまでは避けたほうが無難です。
エリア別見せる収納(1) リビングルーム
リビングルームは、家族みんなが集まるところであり、お客様もお通しする場所でもあります。まさに家の中心であるリビングルームには、キャビネットの上や本棚などをはじめ、見せる収納に適した場所がいくつもあります。ここならば、ものを置く甲斐があるというもの。では、そこに何を収納すればいいのでしょうか。
たとえば、多くの方が持っていらっしゃるポット類やカップ&ソーサー、グラスなどは形状がバラバラで食器棚に入れると場所を取ってしまいますが、その反面フォルムが立体的で見栄えがするため、見せる収納にはとても適しています。同じようにかさばりがちで収納場所に困るガラス瓶や花器なども、素材を揃えてオブジェのように飾ると、収納も兼ねて一石二鳥です。
このように、しまうと場所を取るものやかたちが特殊で収納に困るものを、オブジェのように見立てて見せつつしまうのが、見せる収納の基本のテクニックです。
では逆に、リビングをすっきり見せるためにできれば隠しておきたいものとはどのようなものでしょう。それは、にぎやかな色・柄のアイテムと生活感のあるもの。日常的に目にしているとなかなか気づきにくいですが、まず雑誌で紹介されている家やホテルの部屋を想像して、そこにはないけれど家にあるものをひとつずつ外していきます。
たとえば、お子さんのおもちゃやテレビやエアコンのリモコン、毎日次々と届くDMや新聞、ティッシュペーパーの箱などの色とりどりのパッケージ類、脱いでバサっと椅子にかけた洋服など、沢山のものが当てはまるはずです。
そういったものをすべて完璧に収納するのは大変ですし、しまいこむとかえって生活しにくくなることもあるので、大まかにグループ分けしてシンプルなカゴや箱にざくざく放り込んで、その上に無地の布をふわっとかけて隠してしまいます。にぎやかな見た目のものを隠すと、それだけで部屋がさっぱりした印象になりますよ。
また、収納に時間と手間をかけずに楽に暮らしたい!という方は、何でも出しておいても大丈夫なように、買うときにデザインのキレイなものを選ぶというのも一案です。絵になるものならば、出ていても気にならない。これはいわば、逆転の発想です。手軽にできて、部屋もすっきり。簡単でキレイな見せる収納をぜひ取り入れてみてくださいね。