登山中に真っ暗になってしまった時の対処方法とは?
先日、友人と登山に行ってきました。特にトラブルもなく登山を楽しんでいたのですが、帰り道に太陽が沈んでしまい、危うく真っ暗になるところでした。ちょうど夕暮れ時に下山できたのですが、もし登山中に夜を迎えてしまい、真っ暗になった時はどのように対処すればいいのでしょうか?
まず余裕のあるプランが大事です
●余裕のあるプランは山歩きを豊かにする
真っ暗になった時の対処の前に、なぜ「特にトラブルもなく楽しんでいた」のに日暮れになってしまったのか、考えてみましょう。
お昼を食べた場所があんまり景色が良くて、ついのんびりしてしまったから? あの花、この葉っぱ…綺麗なものが多くて、見とれてばかりいたから?どちらも、とてもよくわかります。じつは私も、そんなことがよくあります。というより、時間ばかりに縛られて「はい休憩は10分だけ!」「はい出発っ!」みたいな山歩きって、なんだか味気ないですよね。
でも暗くなってしまっては、安全上やっぱり困ります。そこでちょっとぐらいのんびりしても日暮れにならないプランを、最初から立てておくことをおすすめします。
例えば関東地方の場合、いちばん暗くなるのが早い冬至の頃で、日没は16時半頃。ということは、16時には暗くなってきます。春分の日の頃の日没は18時頃、秋分の日の頃は17時半頃(秋の日没が早いのは、気のせいではありません)。それぞれその30分前には夕暮れになると考えてよいでしょう。
例えば17時には夕暮れになる時期に、17時に下山するプランを立てたら、山に居る間ずっと時間に追われっぱなしになってしまいますよね。その1~2時間前に下山する短いプランだったら、多少のんびりしてもまだ安全圏です。また遅くなる原因は「のんびり」だけじゃなくて、道を間違えて戻った、足がつって休んだ、などのアクシデントのこともありますから、それをリカバリーする意味でも、余裕のあるプランは大切です。
それに、あそこもここもと長いコースに詰め込んで急ぎ足になるより、短いコースでゆっくりと時間を過ごした方が、いろんなものが見えて心に得るものが多かったというのも、よくあることです。自然って、本当にいろんなことを教えてくれます。
●それでも暗くなってしまったら
それでも何らかのアクシデントで暗くなってしまったとしましょう。こんなとき必ず持っておきたいのがライト、できれば両手が自由になるヘッドライトです。最近はLEDを使って、軽量で電池が長持ちするものが主流で、電池込みで100gを切るものもありますから、ぜひザックの中に入れておきましょう。災害用品としても心強いですよ。予備の電池もお忘れなく。1gでも軽くしたい人は、単3、単4型のリチウム電池も市販されていて、軽くてより長持ちし、経年劣化も少ないのでおすすめです。
ライトがあれば普通のハイキング道なら行動できるはずですが、万一道を失ったと感じたときは、やたらと動き回らずに朝になるのを待ちましょう。そんなときに心強いのが、ツェルトと呼ばれるナイロン製のシェルターです。底が割れたポールのない三角テントのような形で、これを頭からすっぽり被っていれば、一晩を過ごすのに必要な体温は多くの場合維持できます。
一番軽いものは150g程度で、大きさは350ml缶くらい。非常用以外にも、雨の日の休憩やいざというときのトイレシェルターなど、使い道はいろいろありますので、保険のつもりで持っていてもいいと思います。連絡を取りたい場合には携帯電話がつながれば簡単ですが、つながらない場合でも家族などが帰ってこないのを心配して捜索願を出し、その夜のうちに捜索が始まっているかもしれません。そんなときにはホイッスルがあれば、声より遠くまで届きます。
ネイチャーガイド 橋谷晃
正しい知識とルールで、大自然を満喫しましょう!
自然を楽しむトレッキングなどを開催するスクールの代表として、初心者の皆さんと 年間100日ほど、山の自然を楽しんでいます。安全で楽しい自然との付き合い方を学 んで、大自然をエンジョイしましょう。
【URL】 | ネイチュアリング・スクール「木風舎」http://www.mokufusha.com/ |
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【メディア】 | NHK教育テレビ「チャレンジ!ホビーあなたもこれから山ガール」に講師 役としてレギュラー出演したのをはじめ、テレビ東京、J-WAVEなどテレビ・ラジオ 番組に出演多数。 |
【著書】 | 『チャレンジ!ホビーあなたもこれから山ガール』(NHK出版)、『トレッキ ングのABC』『失敗しない山道具選び』(山と渓谷社)、『ネイチャースキーに行こう』 (スキージャーナル)、など多数。 |
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