転倒を防ぐ家具の設置方法とは?
先日、地震の際に家具が転倒してしまいました。幸い誰もおらず家族にケガは無かったのですが、転倒を防ぐ家具の設置方法について教えてください。また、転倒防止用品なども教えてください。
壁への直接固定が理想だが、難しい場合は複数の手段を併用する。
大地震から自分と家族の命を守るためには、まず建物を地震で潰さないことと、そして家具が転倒したり重量物が移動することで危険が及ばないようにしておくこと、そして火災や津波などの二次災害から避難する準備を整えておくことが重要です。ここでは家具を固定するポイントについてご紹介します。
■背の高い家具の固定
クローゼット、タンス、食器棚、冷蔵庫などの背の高い家具は地震の揺れで倒れやすく、大けがの原因になったり通路をふさいでしまうことがあるため、きちんと固定をしておく必要があります。最も有効な固定方法はL字金具などで直接壁にネジ止めすることですが、難しい場合は固定ジェルや突っ張り棒などを併用すると効果が高まります。
●L字金具について
家具の上部と壁をL字の金物と木ねじで直接固定して転倒を防ぎます。家具の転倒防止対策としては最も効果が高く、持ち家の場合はこの方法が最適です。ただし、木ねじが壁と家具の桟に届いていなければ効果が無いため、壁のボードの厚みを考慮して木ねじの長さを決めることと、桟の位置を見つけて固定をする必要があります。
●突っ張り棒について
L字金具が使えない場合は突っ張り棒で固定をします。家具と天井が垂直になるようにセットして、突っ張ることで家具を固定します。取り付けが簡単で家具や壁に傷がつかないため扱いやすいのですが、吊り天井や素材がもろい天井の場合は、大きな揺れが来ると突き破ってしまう恐れがあるため注意が必要です。この場合は天井と突っ張り棒の間に板を挟んで接する面積を増やすと強度が増します。
●その他の方法について
突っ張り棒と同じ効果が得られる、高さ調整式の収納ユニットを家具と天井の間に入れる方法があります。また家具の上にゴムシートなどの滑り止めを敷いてから衣装ケースなどを家具の上に置き、上部を新聞紙などで埋めるという方法でも同じような効果が得られます。いずれも家具と天井の隙間をなくすことがポイントです。また家具に物を入れる際、重たい本や液体など、重量物を下に入れて重心を下げることでも転倒の防止になります。
●背の高い家具を固定する際の注意
上下に積み重ねて使うタイプの家具は、上部の家具だけを固定しても下部の家具がずれてしまうと転倒してしまうため、重ねた家具の上下をきちんと連結しておくことが重要です。また開き戸タイプの家具は中身が飛び出してきて危険ですので、揺れで扉が開かないように留め具をつけたり、中に滑り止めのシートを敷いておくことも有効です。さらにガラス扉の場合は飛散防止フィルムを貼っておくとよいでしょう。
■その他の家具の固定
テレビ、電子レンジ、オーブンなどの重量物は、大地震の際に転倒するだけでなく”飛ぶ”ことがあり大変危険ですから、きちんと固定しておく必要があります。この際には、家電と家具の間に敷くジェルマットや、テレビの裏面を壁と固定するワイヤー金具などを用いると良いでしょう。
備え・防災アドバイザー 高荷智也
身近な危機に対応できる、暮らしの備え・防災をお伝えします。
「備え・防災は日本のライフスタイル。」世界有数の災害大国日本において、私たちの身近に潜むリスクに対処するためには、生活の中に備え・防災を取り込む必要があります。個人と家庭の視点で、暮らしの備えをご案内します。
【URL】 | http://sonaeru.jp/ |
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【経歴】 | 2007年に本業のかたわらで始めた防災ブログが反響を呼び、2011年より防災をテーマとしたセミナー・執筆・メディア出演を開始。2015年に、屋号をソナエルワークスと定め、以来インターネットメディアや講演会などを中心に活躍中。1982年、静岡県生まれ。 |
【メディア】 | テレビ、新聞、雑誌など出演多数、生活者視点の分かりやすい防災アドバイスに定評がある。著書に「中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015年)」、他。 |
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