避難中にケガをしてしまった時の対処方法とは?
先日、集中豪雨があり、避難中に親戚がケガをしてしまったそうです。その時は幸い軽傷で、応急処置で何とか対応できたそうですが、もし、避難中にケガを負ってしまった場合はどのように対処すればいいのでしょうか。
周囲の安全を確保するまで避難をし、落ち着いてから応急手当を。
災害からの避難中にケガをしてしまった場合、すぐに応急手当をするのではなくまず周囲の安全を確保します。津波、火災、土砂崩れなどから走って移動をしているような場合は、応急手当よりもまず危険な場所から移動することの方が先決です。周囲が安全になったら速やかに応急手当を施してください。
■応急手当の目的
応急手当は治療ではありません。ケガ人を病院へ連れて行くか、救急隊に引き継ぐまで個人や家庭のレベルで行える手当をすることが目的です。この際最も重要なのはケガ人の生命を救う救命活動です。複数のケガを負ってしまった場合は、とにかく命に関わるような部分から順に手当を施します。
一方命に関わるようなケガをしていなかった場合は、症状を悪化させないための手当か、ケガ人(とりわけ子ども)の苦痛を軽減するような手当を行うことが目的となります。この場合は手当の主要だけでなく、「大丈夫、たいしたことないよ!」というような励ましの声を掛けることが重要です。
■応急手当の注意
医師や救急隊にケガ人を引き継ぐ際には、状況を詳しく伝える必要があります。そのためケガをした際の状況や、手当をする前の傷の様子、そして施した処置の内容をきちんと覚えておき、正確に伝えられるようにしておきます。
手当をする際には、ケガ人も手当をする側もどのような病気を持っているかわかりませんから、血液などには素手で触らないように注意してください。また応急手当を行った場合はしっかり手を洗い、人工呼吸を施した場合はうがいも忘れずにおこなってください。
■応急手当の方法
●切り傷・擦り傷
傷口を清潔な水で洗い流して、ガーゼや絆創膏で傷口をふさぎます。
●出血
ガーゼや布を当てて包帯やテープで軽く圧迫し、患部を心臓よりも高い位置に固定します。包帯がない場合はラップなどでも代用できますが、蒸れないように注意してください。
●火傷
水や氷でできる限り冷やします。火傷の面積が広い場合は命に関わるため、冷やしながらできるだけ早く医師に診せられるようにしてください。なお火傷の範囲が広い際に無理に服を脱がそうとすると悪化させる場合があるため、服の上から水をかけるなどして冷やしてください。
●打撲
患部を水や氷で冷やすことで、腫れや痛みを軽減させることができます。また強い打撲の場合はケガ人をできるだけ楽な姿勢にしてあげた上で、なるべく動かさないようにします。
●脱臼・骨折
ケガ人を動かさないようにして、包帯や三角巾、なければタオルやラップを使って固定します。
■災害時のケガを避けるために
災害から避難する際の移動は平時と異なり危険物が多くありますので、できるだけ周囲の安全を確保しながら移動をすることが重要です。特に次のような点を意識してください。
・頑丈な靴を履いて足下を確保する。
・釘やガラスを踏み抜かないように足下に注意して歩く。
・長袖、長ズボン、軍手、マスクなどを着用して肌を露出させない。
・ヘルメットや防災ずきん、なければ帽子をかぶり頭部を保護する。
・夜間の移動はしないか明かりを確保して移動する。
・荷物は背負い、明かりを確保する際は懐中電灯ではなくヘッドライトを利用するなどして両手を確保するようにする。
備え・防災アドバイザー 高荷智也
身近な危機に対応できる、暮らしの備え・防災をお伝えします。
「備え・防災は日本のライフスタイル。」世界有数の災害大国日本において、私たちの身近に潜むリスクに対処するためには、生活の中に備え・防災を取り込む必要があります。個人と家庭の視点で、暮らしの備えをご案内します。
【URL】 | http://sonaeru.jp/ |
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【経歴】 | 2007年に本業のかたわらで始めた防災ブログが反響を呼び、2011年より防災をテーマとしたセミナー・執筆・メディア出演を開始。2015年に、屋号をソナエルワークスと定め、以来インターネットメディアや講演会などを中心に活躍中。1982年、静岡県生まれ。 |
【メディア】 | テレビ、新聞、雑誌など出演多数、生活者視点の分かりやすい防災アドバイスに定評がある。著書に「中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド(2015年)」、他。 |
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