ヘモグロビン濃度に注意
貧血(症)は、血液中のヘモグロビン濃度が正常の範囲以下に低下した状態です。血液検査によって、ヘモグロビンの濃度を測定することで診断することができます。ヘモグロビンの基準値(正常値)は男性で14~18 g/dL、女性で12~16 g/dLです。ヘモグロビンが以下に示すぐらいまで低下したときに、貧血と診断されます。
貧血の診断(ヘモグロビン濃度の単位 g/dL:グラム・パー・デシリットル) 成人男性 14 g/dL未満 成人女性 12 g/dL未満 妊娠中 11 g/dL未満 高齢者 11 g/dL未満
加齢によって体内でのヘモグロビン産生能力が低下する高齢者では、ヘモグロビン濃度が11 g/dL未満の場合を貧血の目安としています。また、妊娠中には、体液量が増加することで血液がうすくなります。貧血の診断は、ヘモグロビンの総量(絶対量)ではなく、濃度を基準にしていますので、血液のうすくなった妊婦さんの場合には、通常の基準よりもやや低い、11 g/dL未満を貧血の目安とされます。
年齢別のヘモグロビン濃度
「赤ちゃん」という名前の通り、生まれたばかりの赤ちゃんは体や顔が真っ赤です。この理由は、出生直後のヘモグロビン濃度が高いためです。人間のヘモグロビン濃度は、出生直後に高い状態を示し、その後急速に低下、再び上昇して思春期を過ぎるころには成人と同じぐらいに回復します。このころにはホルモンの影響で、ヘモグロビン濃度にも性差が表れるようになります。
成長がピークに達し、青年期を過ぎるとヘモグロビンは男女ともに低下し始め、閉経期から性差も次第になくなってきます。こうした加齢によるヘモグロビンの変化がありますから、同じ数値であったとしても貧血かそうでないかは、年齢・性別によっても異なるのです。