専門家による貧血コラム

貧血の知識と対策(2) -貧血の診断方法-

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ヘモグロビン濃度に注意

貧血(症)は、血液中のヘモグロビン濃度が正常の範囲以下に低下した状態です。血液検査によって、ヘモグロビンの濃度を測定することで診断することができます。ヘモグロビンの基準値(正常値)は男性で14~18 g/dL、女性で12~16 g/dLです。ヘモグロビンが以下に示すぐらいまで低下したときに、貧血と診断されます。

貧血の診断(ヘモグロビン濃度の単位 g/dL:グラム・パー・デシリットル)
成人男性 14 g/dL未満
成人女性 12 g/dL未満
妊娠中  11 g/dL未満
高齢者  11 g/dL未満

加齢によって体内でのヘモグロビン産生能力が低下する高齢者では、ヘモグロビン濃度が11 g/dL未満の場合を貧血の目安としています。また、妊娠中には、体液量が増加することで血液がうすくなります。貧血の診断は、ヘモグロビンの総量(絶対量)ではなく、濃度を基準にしていますので、血液のうすくなった妊婦さんの場合には、通常の基準よりもやや低い、11 g/dL未満を貧血の目安とされます。

年齢別のヘモグロビン濃度

「赤ちゃん」という名前の通り、生まれたばかりの赤ちゃんは体や顔が真っ赤です。この理由は、出生直後のヘモグロビン濃度が高いためです。人間のヘモグロビン濃度は、出生直後に高い状態を示し、その後急速に低下、再び上昇して思春期を過ぎるころには成人と同じぐらいに回復します。このころにはホルモンの影響で、ヘモグロビン濃度にも性差が表れるようになります。

成長がピークに達し、青年期を過ぎるとヘモグロビンは男女ともに低下し始め、閉経期から性差も次第になくなってきます。こうした加齢によるヘモグロビンの変化がありますから、同じ数値であったとしても貧血かそうでないかは、年齢・性別によっても異なるのです。

貧血専門家一覧

※上記の専門家コラムに関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。

コラムニスト 吉國友和 (秋穂クリニック)

筆者の写真

貧血の知識や症状をわかりやすく解説します。

内科の他にも呼吸器疾患やアレルギー疾患、ダイエット外来まで幅広い分野を手がけてきました。医学知識を一般の方でもわかりやすく解説できるよう心がけています。貧血は誰にでも起こりうる病気、いざという時に備えて基礎から学びましょう。

【所属】 秋穂クリニック、周南病院、山口県鴻城高等学校衛生看護科(非常勤講師)http://www.geocities.jp/shirokujira0621/
【資格】 医師、感染症制御医(ICD)
【メディア】 「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京)、「おもいっきりイイ!! テレビ」(日テレ)の他、ラジオ番組への出演も多数。「オレンジページ」「すてきな奥さん」(主婦と生活社)など多数。

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