貧血はどうしてダメなの?
貧血は女性に多くみられる病気の1つです。貧血は体に悪いということは何となくわかるような気もしますが、もし放っておくとどうなるのかを考えたことはありますか?その理由をわかりやすくご説明したいと思います。
血液に含まれる細胞の1つに赤血球というものがあります。赤血球の中には、ヘモグロビンと呼ばれるタンパク質が含まれており、呼吸によって体内に取り込まれた酸素は、ヘモグロビンと結びついて全身へと運搬されます。貧血とは、このヘモグロビンが不足した状態です。貧血になると酸素を全身へと運ぶ能力が低下してしまうため、それを補うためには心臓は普段よりもたくさんの血液を送り出さなければなりません。
つまり、貧血になると、そのぶん心臓の負担が増えてしまいます。このまま放置してしまうと、いずれは心臓の働きにも無理が生じて機能が低下し、最後には心不全に至ってしまう恐れがあります。貧血はよくある病気ですが、命に関わる重大な病気なのです。
貧血になるとどうなるの?
貧血になると、全身へ運ぶ酸素の量が低下してしまうことは前述の通りです。このため、体は全身に運ばれる酸素の量を少しでも増やそうとするので、呼吸の数が増えることで息切れを感じたり、心臓の拍動の数が増えることで動悸(どうき)を感じたりします。貧血がひどい時には、歩くのもつらいぐらいフラフラすることもあります。
また、鉄分が欠乏するタイプの貧血では、異食症(いしょくしょう)といって、普段はあまり食べないものを好んで食べるような症状がみられることもあります。例えば、大人では氷をガリガリとかじることが多くなった(氷食症)、小麦粉をそのまま口に入れてしまう、といったことです。
ただし、慢性的にじわじわと貧血が進行してきた場合には、ご本人の自覚症状がまったく何もない、ということがあります。ヘモグロビンが健康な人の半分以下になっていたのに、普通の生活をしていたという患者さんもいらっしゃいました。重大な病気がかくれていることもありますから、油断はできません。