弁護士による日常トラブル対応相談「安心」「安全」「健康」のちから【日常トラブル編 】
~コロナ禍の今知るべきこと~
新型コロナウイルスの流行により、私たちの生活や行動も大きく変わってきています。
新たなトラブルに直面した時に、 私たちはどうやって対処していけば良いか、弁護士の松本哲哉先生にお話を伺いました。
監修:山﨑法律事務所 松本哲哉弁護士
CASE 1:「コロナいじめ」「自粛ポリス」のトラブル
Q.
身内が新型コロナに感染すると、住所や電話番号を特定され、インターネット上で勝手に開示されるという事件が起こっています。このような事件に巻き込まれた場合、どのように対処すればよいでしょうか。
また、感染が公表された病院に通っていた等、感染していないケースも教えてください。
A.弁護士の見解は、感染の有無にかかわらず、プライバシー等の侵害と認められれば、 住所や電話番号を削除でき、また、個人情報を開示した人物を 特定する方法があるので、特定されれば損害請求が可能である。
- 個人が特定できるようにして住所や電話番号をインターネット上に投稿することは、
実際に感染していたか否かにかかわらず違法である場合が多いといえます。 - 住所や電話番号の違法な書込みに対しては、
①書込みの削除、
②書き込んだ発信者の情報の入手、
③発信者への損害賠償請求や名誉回復措置
を求めることができます。
CASE 2: オンライン・動画授業の月謝
Q.
子どもが塾に通っていますが、オンライン授業に切り替わっています。
通常の月謝を払うことに納得がいきません。支払う必要があるのでしょうか。
A.弁護士の見解は、
動画配信やオンライン授業に同意したのであれば支払う必要がある。
ただし減額の余地がある。
- 新型コロナの影響で対面授業や教室が開催できず、代わりにオンライン授業を行っているといった話が良く聞かれます。
- もし教室が休校になる等、提供されなかった場合、当然月謝を支払う必要はありません。
- 今回のように、オンラインでの提供等、授業のやり方を変えたものの、締結した契約内容と同等とみなせる場合は、月謝を支払う必要があります。
ただし、その場で質問ができないなど、提供内容が減少していると認められる場合は、減額の余地があるといえます。 - いずれにせよ、提供側は利用者に対して事前に案内や意思確認をおこなったうえで、提供方法を変更する必要があります。これに同意している場合は、規定通り支払う必要があります。
CASE 3: 職場での咳エチケット
Q.
私の職場では、みんなマスクを着けて出社していますが、ある同僚が「自分は大丈夫」と、何度もお願いしていますが一向にマスクをつけてくれる様子がありません。
何とかマスクをつけていただくことはできないでしょうか。
A.弁護士の見解は、
会社からマスクを着用して業務を行うように業務命令を出してもらうべき。
- コロナ禍においては、 咳エチケットやソーシャルディスタンスといった周囲への配慮が求められるようになると思われます。
- 今回のご相談のケースでは、同僚が感染しているのかも分かりませんし、そもそも個人からの申し出では、同僚に対してマスクを着用するように強制することは困難です。
- 会社には職場環境に配慮すべき義務があることから、業務命令により解決することが妥当と考えられます。新型コロナ感染を防ぐため、マスクの着用を業務としてもらうのです。
会社が業務命令を出したにもかかわらず、同僚が業務命令に従わなければ、会社は同僚に対して何らかの処分を講じることが可能です。