中古車を購入する際の諸費用とは?
中古車を購入する際には、車両本体価格のほかに「法定費用」と「代行費用」が発生します。
「法定費用」は法律で納付義務がある費用であり、地域によって差がでることがあります。「代行費用」は販売店によって異なります。法定費用と代行費用をあわせた「諸費用」は車両本体価格の10~20%程度といわれています。
中古車を購入する際の法定費用の内訳と金額の目安
中古車を購入する際に必ず発生する「法定費用」は、国や自治体に納める費用です。車を所有・使用するために法律で納付が義務づけられています。
項目 | 費用 |
---|---|
自動車税種別割 | 排気量により決定 |
自動車重量税 | 重量により決定 |
環境性能割 | 年式により決定 |
自賠責保険料 | 保険期間による一定額 |
リサイクル料金 | 車種により決定 |
消費税 | 法定費用以外の金額に対して10% |
①自動車税種別割
自動車税種別割は、毎年4月1日時点で自動車を所有している人に課される都道府県税で、車両の総排気量や用途(自家用・営業用)に応じて税額が定められています。
新車購入時や毎年の更新時に納付する必要がありますが、中古車を年度途中で購入した場合、購入月の翌月から年度末(3月)までの期間に対して、月割りで計算された自動車税を納付します。なお、軽自動車にかかる軽自動車税(種別割)は月割納付の制度がありません。
中古車購入月:3月~9月(自家用乗用車:排気量1,000cc以下~3,000ccまで ※令和元年10月1日以降に新車新規登録したもの)
排気量 | 年税額(3月) | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1,000cc以下 | 25,000円 | 22,900円 | 20,800円 | 18,700円 | 16,600円 | 14,500円 | 12,500円 |
1,001cc~1,500cc | 30,500円 | 27,900円 | 25,400円 | 22,800円 | 20,300円 | 17,700円 | 15,200円 |
1,501cc~2,000cc | 36,000円 | 33,000円 | 30,000円 | 27,000円 | 24,000円 | 21,000円 | 18,000円 |
2,001cc~2,500cc | 43,500円 | 39,800円 | 36,200円 | 32,600円 | 29,000円 | 25,300円 | 21,700円 |
2,501cc~3,000cc | 50,000円 | 45,800円 | 41,600円 | 37,500円 | 33,300円 | 29,100円 | 25,000円 |
中古車購入月:10月~2月(自家用乗用車:排気量1,000cc以下~3,000ccまで ※令和元年10月1日以降に新車新規登録したもの)
排気量 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
---|---|---|---|---|---|
1,000cc以下 | 10,400円 | 8,300円 | 6,200円 | 4,100円 | 2,000円 |
1,001cc~1,500cc | 12,700円 | 10,100円 | 7,600円 | 5,000円 | 2,500円 |
1,501cc~2,000cc | 15,000円 | 12,000円 | 9,000円 | 6,000円 | 3,000円 |
2,001cc~2,500cc | 18,100円 | 14,500円 | 10,800円 | 7,200円 | 3,600円 |
2,501cc~3,000cc | 20,800円 | 16,600円 | 12,500円 | 8,300円 | 4,100円 |
②自動車重量税
自動車重量税とは、車両の重さ(車両重量)に応じて課される国税です。新車購入時や車検時などに納付します。中古車を購入する場合でも、次回の車検までの期間分として、購入時にあらかじめ重量税を支払う場合がほとんどです。
自動車重量税は、車両の整備や道路の保全などに使われており「車両重量〇tまで〇円」といったように、重さごとに税額が定められています。また、車の初年度登録からの年数によって税額が変動し、13年・18年超の車は環境負荷が高いため、税額が重くなる(重課)仕組みです。
2年自家用 | |||||
---|---|---|---|---|---|
車両重量 | エコカー | エコカー (本則税率) |
エコカー外 | ||
右以外 | 13年経過 | 18年経過 | |||
0.5t以下 | 免税 | 5,000円 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
~1t | 10,000円 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 | |
~1.5t | 15,000円 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 | |
~2t | 20,000円 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 | |
~2.5t | 25,000円 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 | |
~3t | 30,000円 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
③環境性能割
環境性能割とは、自動車の燃費性能や排出ガス性能に応じて課税される都道府県税です。以前は「自動車取得税」がありましたが、2019年10月の消費税増税にあわせて廃止され、環境性能割に切り替わりました。
<計算式(簡易)>
環境性能割額 = 取得価額 × 環境性能割の税率(0〜3%)
環境性能割の税率
環境性能割は、中古車や新車を購入・登録する際に一度だけかかるもので、車両価格(課税標準額)に一定の税率をかけて算出されます。税率は環境性能によって異なり、非課税~3%の範囲で設定されています。
区分 | 電気自動車等※ | 2030年度基準95%達成 | 2030年度基準85%達成 | 2030年度基準80%達成 | 2030年度基準75%達成 | 左記以外又は2020年度基準未達成車 |
---|---|---|---|---|---|---|
自家用登録車 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% | 2% | 3% |
自家用軽自動車 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% |
参考:一般社団法人 日本自動車工業会「環境対応車に対する軽減」
環境性能割の残価率
残価率とは、新車登録された時点の価値を「1.0(=100%)」とした場合に、その後どれだけ価値が残っているかを示す指標です。年数が経つごとに車の価値は下がっていくため、残価率も徐々に「1.0」より低い数値になっていきます。
この残価率は、総務省による「中古車残価率表」にて定められており、一定の年数ごとに基準が設けられています。自家用乗用車の残価率は以下の通りです。
経過年数 | 残価率 |
---|---|
1年 | 0.681 |
1.5年 | 0.561 |
2年 | 0.464 |
2.5年 | 0.382 |
3年 | 0.316 |
3.5年 | 0.261 |
4年 | 0.215 |
4.5年 | 0.177 |
5年 | 0.146 |
5.5年 | 0.121 |
6年 | 0.1 |
環境性能割の計算例
環境性能割は、車両の環境性能と取得価額によって決まる税金です。税率が適用される仕組みのため、車両ごとに支払額は異なります。
中古車の取得価額は「課税標準基準額」×「(初度登録年からの経過年数に応じた)残価率」にて計算します。課税標準基準額は車種・グレードごとに定められており、新車価格の約90%が目安です。なお、取得価額が50万円以下の場合は課税されません。
ここでは、計算例を2つご紹介します(便宜上、架空の車種にて計算例を示します)。
計算例①
2025年3月に、自家用普通乗用車(車種「AB」:ガソリン車/平成30年排出ガス規制50%低減に該当、初度登録年から3年経過の中古車)を購入した場合
● 課税標準基準額:200万円
● 残価率:0.316
● 燃費性能:2030年度基準の80%を達成
● 税率:1%
<計算式>
200万円 × 0.316 × 1% = 6,320円
計算例②
2025年4月に、営業用普通自動車(車種「CD」:ガソリン車/平成30年排出ガス規制50%低減に該当、初度登録年から1年経過の中古車)を購入するケース
● 課税標準基準額:200万円
● 残価率:0.681
● 燃費性能:2030年度基準の95%を達成
● 税率:非課税
<計算式>
非課税のため、環境性能割は0円
このように、燃費性能が高い車や電動車は、税率が軽減または非課税になるケースがあります。
④自賠責保険料
自賠責保険料とは、自動車やバイクを所有・運転する際に加入が義務づけられている強制保険(自動車損害賠償責任保険)の保険料のことです。事故の被害者を救済することを目的としており、対人事故における相手方の死亡やケガに対する損害を補償します。
自賠責保険料は、原則すべての自動車・バイクに法律で加入が義務づけられており、未加入での走行は違法行為にあたります。
車種 | 36か月 | 24か月 | 12か月 |
---|---|---|---|
自家用乗用自動車 | 23,690円 | 17,650円 | 11,500円 |
軽自動車 | 23,520円 | 17,540円 | 11,440円 |
※沖縄県、離島などの一部地域については、上記保険料例と異なります。
⑤リサイクル料金
リサイクル料金とは、使用済み自動車を適切に処理・再資源化するために支払う費用のことです。「自動車リサイクル法」に基づいて設定されたもので、新車登録時または中古車購入時に、車両ごとに定められた料金をあらかじめ支払う仕組みになっています。
中古車の場合でも、リサイクル料金が未預託(未払い)であれば購入時に支払う必要があり、すでに預託済みであれば「預託金相当額」を車両価格とは別に販売店へ支払う形になります。
車種 | 装備類 | 金額相場 |
---|---|---|
軽・小型乗用車(コンパクトカー) | エアバッグ類4個、エアコン有り | 7千円~1万6千円程度 |
普通乗用車 | エアバッグ類4個、エアコン有り | 1万円~1万8千円程度 |
中・大型トラック | エアバッグ類2個、エアコン有り | 1万円~1万6千円程度 |
大型バス | エアバッグ類2個、エアコン有り | 4万円~6万5千円程度 |
⑥消費税
消費税は日用品から高額商品まで、あらゆる商品・サービスの購入時に課される税金です。もちろん、中古車の購入においても例外ではなく消費税がかかります。
中古車の場合は車両本体価格のほか、カーナビやETCといったオプション費用、登録代行費用などの手数料にも消費税(10%)が適用されます。一方で、自動車税や自賠責保険料などの法定費用については消費税は課税されません。
中古車を購入する際の代行費用の内訳と金額の目安
中古車を購入するときには、販売店が各種手続きを代行するための費用として「代行費用」が発生するのが一般的です。代行費用は、名義変更や車庫証明の取得、納車などの業務を代行してもらう際に発生するもので、販売店ごとに金額や内訳が異なるのが特徴です。
ここでは、中古車購入時にかかる主な代行費用の種類と、それぞれのおおよその金額目安についてわかりやすく解説します。
項目 | 費用 |
---|---|
車両登録代行費用 | 20,000~50,000円程度 |
車庫証明代行費用 | 10,000~20,000円程度 |
納車費用 | 販売店による(自分で車を取りにいけばかからない) |
洗車・クリーニング費用 | 数万円(車両本体価格に含まれている場合もある) |
①車両登録代行費用
車両登録代行費用は、中古車を購入した際に必要な名義変更や登録手続きを、販売店が代行する際に発生する費用です。
手続きは陸運局で行う必要があり、平日の対応や書類作成など手間がかかるため、多くの人が販売店に依頼しています。費用の目安は20,000円〜50,000円程度です。
②車庫証明代行費用
車庫証明代行費用とは、車を保管するスペースが確保されていることを証明する「車庫証明」の取得を、販売店が代行する際にかかる費用です。
手続きは主に警察署で行い、書類提出や現地調査が必要となるため、依頼する人が多くなっています。代行費用の目安は10,000円〜20,000円ほどです。
③納車費用
納車費用は、購入した中古車を自宅や指定の場所まで配送してもらう場合にかかる輸送費用です。
販売店で直接車を受け取る場合は不要ですが、遠方への配送や時間指定などがある場合には追加費用が発生します。
④洗車・クリーニング費用
洗車・クリーニング費用は、納車前に車を内外装ともにキレイに整備するための費用です。
ボディの洗車や車内清掃、消臭・除菌処理などが含まれており、店舗によっては「納車整備費用」として提示される場合もあります。費用の目安は数万円程度で、作業内容の充実度によって価格に幅があります。
なお、車両本体価格に含まれている場合もあります。
中古車購入時の諸費用を安く抑える方法
中古車を購入する際に「車両本体価格は安いのに、諸費用が高くて予算オーバー」というケースは少なくありません。そんなときは、ちょっとした工夫で諸費用を安く抑えることが可能です。
ここでは、費用を抑えるために意識したい3つのポイントを解説します。
手続きを自分で行い、代行費用を抑える
車庫証明や車両登録といった各種手続きは、販売店に依頼すると代行費用が発生します。費用を節約したい場合は、自分でこれらの手続きを行うことで出費を抑えられます。
ただし、販売店と事前に進め方を相談し、手続きのスケジュールをしっかり管理するなど、各所との調整が欠かせません。
申請は平日・昼間の受付となるため、有給休暇の取得や家族の協力が必要な場合もあります。準備が遅れると納車が延びる場合もあるため、段取りと連絡のタイミングが非常に重要です。
車検期限が長い車を選ぶ
中古車には、まだ車検が残っているものと、すでに車検切れで再取得が必要なものがあります。諸費用をなるべく抑えたい方は、車検の残り期間が長い車を選ぶことをおすすめします。
車検が切れている車両を購入する場合、納車前に車検を通す必要があるため、自賠責保険や重量税などの法定費用が追加でかかります。購入時点で車検期限が多く残っていれば、初期費用を大きく抑えることが可能です。
法定費用を抑えられる車にする
自動車税や重量税などの法定費用は、車の排気量・重量・年式などによって大きく変わります。費用を節約したいなら、法定費用が比較的かからない車種を選ぶことがポイントです。
たとえば、軽自動車は車両重量が軽く、排気量も少ないため、法定費用が比較的安く設定されています。また、コンパクトカーなどの小排気量車も、普通車より税負担が少なめです。
中古車購入時の諸費用を確認する際のポイント
中古車購入時にかかる諸費用は、決して安くない出費です。知らずに余計な費用を支払うことがないように注意が必要です。そこで、諸費用を確認する際の5つのポイントを事前に押さえておきましょう。
見積書は必ず「諸費用の内訳」まで確認する
見積書に記載されている「諸費用」には、必要最低限の費用だけでなく、販売店が設定した手数料やオプション費用が含まれていることがあります。
「諸費用一式」とだけ記載されている場合は特に注意が必要です。販売店側にどのような項目が含まれているのかを確認し、見積書内に明細を記載してもらうようにしましょう。
必要のない代行サービスは断る
車庫証明取得や登録手続きなどの代行サービスは便利ですが、自分で手続きを進めることで数万円を節約できる場合もあります。
「知識のある人」「時間があり、手続き方法を調べられる人」「手間を惜しまない人」は、自分で手続きを行える範囲を把握し、不要な代行は断るようにしましょう。その分、費用を抑えられます。
車両本体価格だけで比較しない
たとえ車両本体価格が安くても、諸費用が高く設定されている場合は、総額で割高になることがあります。
他の販売店や同じ車種の別車両と比較する際には、必ず「支払総額」で比較するようにしましょう。大切なポイントですので、遠慮せずに確認してください。
車検・リサイクル料金の有無を確認する
中古車によっては、車検が切れているものや、リサイクル料金が未預託のものもあります。
こうした費用は諸費用として追加されることになります。
「車検の残り期間の有無」や「リサイクル料金が含まれているか」など、購入を検討する車両の状況を必ず事前に確認しましょう。
「不要なオプション」が含まれていないかチェックする
販売業者の中には、見積りに特段希望していないドライブレコーダーやコーティング施工などのオプション費用が含まれている場合があります。
あなたのカーライフを思い浮かべながら、必要なものを一つひとつ見極めましょう。不要なオプションを削除することで、無駄な支出を防げます。
中古車購入時の費用に関するよくあるQ&A
中古車を購入する際に、費用に関連してよく寄せられる相談を3つご紹介します。中古車を納得して購入するために、必ずご確認ください。
諸費用はすべて販売価格に含まれているの?
中古車の広告で表示されている「車両本体価格」には、税金・登録手数料・保険料などの諸費用が含まれていないのが一般的です。
支払総額は、車両価格+諸費用+オプション費用などを合計した金額となります。中古車を購入する前には、必ず見積書で確認しましょう。
自分で手続きをすると、どれくらい費用が安くなるの?
たとえば、車庫証明や名義変更の代行費用はそれぞれ1〜3万円程度かかる場合が多いです。もし可能であれば、手続きを自ら行うことで、合計で3〜5万円ほど費用を抑えられる場合もあるでしょう。
ただし、手続きは原則平日のみです。そのため、事前のスケジュール調整が必要です。
中古車の諸費用は値引き交渉ができる?
税金や保険料などの法定費用は、その名のとおり法律で定められているため値引きできません。ただし、登録代行費用やオプション費用は交渉次第で減額できる場合があります。
また、不要なオプションは「いらないので外してください」と明確に伝えることで、対応してもらえる場合もあります。不要なオプションが含まれている場合は、遠慮せずに交渉しましょう。
まとめ
中古車の購入時には、車両本体価格のほかに数十万円程度の諸費用がかかるのが一般的です。こうした費用は、内容を正しく理解しておかないと無駄な出費となる可能性もあります。
自分で手続きを行う、車検が残っている車を選ぶ、法定費用が安い車種を選ぶなど、工夫を重ねることで費用を抑えることは可能です。中古車の購入前にはしっかりと見積書の内訳を確認し、納得のいく中古車選びをしましょう。
※本コラムでご案内した商品に関する内容は概要を説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
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