1.レッカー車とは?

レッカー車は、交通事故や故障などによって自力で走行できなくなった車を、安全な場所や修理工場まで搬送するための特殊な車両です。事故・故障などの走行トラブルにあった際に、多くの場合自動車保険にセットされているロードサービスや、JAFなどの専門業者を通じて手配します。

2.どんなトラブルに対応できる?レッカー車の種類と特徴

レッカー車は、自力走行ができなくなった車両の牽引や搬送だけでなく、落輪からの救出といった路上トラブルの応急処置まで幅広く対応できます。

一般的に手配されるのは、走行不能車の前輪や後輪を牽引装置に固定し、引っ張って搬送するタイプ(レッカータイプ)のレッカー車です。四輪駆動車や車両大破などで車輪が回らない状態の車を搬送する場合は、車を載せて運ぶタイプ(車積載タイプ)の車両になることもあります。

なお、レッカー車には「小型」「中型」「大型」の3つのサイズがあり、牽引する車両のサイズや用途に応じて使い分けられます。軽自動車や普通乗用車の搬送には「小型レッカー車」、大型乗用車の搬送には「中型レッカー車」が用いられるのが一般的です。

レッカー車のサイズ 対応する主な車両
小型レッカー車 軽自動車、普通乗用車など
中型レッカー車 大型乗用車、中型トラックなど
大型レッカー車 トラック、バスなど

自分自身でレッカー車の種類を選んで手配するわけではないですが、自分の車がトラブルにみまわれた際に、どのようにして搬送されるか、予備知識として知っておくといいでしょう。

3.レッカー車が必要になる主なケース

ここで、もう少し具体的に、レッカー車が必要になる主なケースを見ていきましょう。

3.1.交通事故によって車が破損したとき

交通事故によって車体やエンジンが破損した場合は、レッカー搬送してもらう必要があります。

外見上動かせそうに思えても、オイル漏れや足回りの歪みなどがあると、自走することで状態を悪化させてしまい危険です。また、走行中に路上にオイルや車体の破片を散乱させる可能性もあります。二次被害の防止や、道路交通法の規定遵守の観点からも、車を無理に動かさず、速やかにプロへ依頼しましょう。

3.2.バッテリー上がりやパンクなど突然の故障が起きたとき

バッテリー上がりや電欠(EVの駆動用バッテリー切れ)、タイヤのパンク、バーストなど、突然の車両トラブルが発生し、応急処置ができない場合にもレッカー車が出動します。

例えば、タイヤがパンクやバーストを起こし、パンク修理キットで直せない、スペアタイヤがないというケースが該当します。

また、電気自動車(EV)で、駆動用バッテリーの残量が少なくなり自走で充電スポットまでたどり着けそうにない、完全に電欠状態となったなどの場合は、最寄りの充電スポットまでレッカー搬送してくれます。

3.3.脱輪・落輪や雪道・泥道でスタックしたとき

側溝へ脱輪した、雪道・泥道でスタックして抜け出せなくなったなどの場合は、車の引上げ・脱出作業のためにクレーン付きのレッカー車などが使われます。

脱輪の程度やスタックの状況によっては自力で脱出できる場合もありますが、無理にアクセルを踏んでしまうと、車体下部やタイヤを傷めたりすることもあります。クレーンなどによる「引上げ」という専門的な技術に頼りましょう。

4.レッカー車を手配する方法と当日の流れ

実際にレッカー車が必要となるような事態に陥った場合は、一般的には「加入している自動車保険」または「JAF(日本自動車連盟)」に連絡して手配します。どちらの場合も、できるだけ迅速にレッカー車に来てもらうために、事故・故障の状況や停車位置、現場の状況などの情報をわかりやすく伝えることが大切です。それぞれ、手配の流れを紹介します。

4.1.自動車保険で手配する場合

まずは加入している自動車保険(任意保険)に「ロードサービス」がセットされているか確認しましょう。ロードサービスの利用は契約対象車である必要があります。

セットされていることが確認できれば、保険会社のロードサービス窓口に連絡しましょう。保険会社によっては、電話のほかにもLINE公式アカウントや公式サイトから連絡できるところもあります。

4.2.JAF(日本自動車連盟)で手配する場合

JAF(日本自動車連盟)は、原則として会員制のロードサービスですが、会員でない人も有料で利用できます。また、会員・非会員問わず、友人の車やレンタカーの使用中もしくは同乗中であってもサービスを受けられます。

レッカー車を手配したいときは、電話、公式サイト、JAFスマートフォンアプリ(アプリ)、FAXのいずれかから連絡しましょう。アプリを利用すると、GPSで現在地を特定できる上、画面で質問に答えていくだけでレッカー車を要請できるため便利です。

5.レッカー車を利用した場合の費用目安

レッカー車を利用した場合の費用のかかり方や金額目安は自動車保険とJAFの場合で異なります。

5.1.自動車保険の場合

自動車保険にセットされているロードサービスを利用する場合、多くの場合はレッカー車の費用が「無料(自己負担ゼロ)」になります。

ただし、無料となるためには、一般的に事前に保険会社のロードサービス窓口に連絡が必要です。
※サービス内容や費用は保険会社によって異なります。必ず事前にご確認ください。

5.2.JAF(日本自動車連盟)の場合

JAF会員であれば、多くのロードサービスを原則無料で利用できます。レッカー搬送の場合は、20キロメートルまで無料、20キロメートルを超える場合は1キロメートルにつき830円です。

非会員の場合は、場所・時間帯・距離によって変わります。例えば、昼間の一般道路(駐車場・自宅を含む)でレッカー車を利用した場合の費用は下表のとおりです。

【昼間(8時~20時)】一般道路(駐車場・自宅を含む)で故障車けん引した場合のレッカー費用 
基本料金 15,700円
作業料金 12,000円(レッカー車で4輪吊上げの作業料+6,000円)
けん引料 1キロメートルにつき830円
合計 27,700円(+6,000円)+けん引料
備考 横転・転覆など事故の状況によっては別途作業料が発生する場合あり
出典:JAF「ロードサービスの料金を調べる

なお、現場でJAFに入会しても当日の作業は非会員価格になるため注意しましょう。また、会員になるためには、入会金(2,000円)+年会費(4,000円)が必要です。(※上記はすべて2026年6月時点の情報です。最新情報はJAFの公式サイトをご確認ください。)

6.レッカーサービスに関する注意点

レッカー車を依頼する際には注意すべき点もいくつかあります。サービス利用を申し込む前に、これらの注意点を確認しておきましょう。

6.1.車検が切れている車は利用ができない

車検(および自賠責保険)が切れている場合、一般的なロードサービスでは、規約に基づき対応を断られてしまいます。

搬送してもらう必要がある場合は、市区町村役場で臨時運行の許可証および仮ナンバーを取得する、または専門の運送業者などで回送運行許可を取得してもらう、あるいは積載車で搬送してもらうなどの対応をする必要があります。※

※e-Gov 法令検索「道路運送車両法 第34条(臨時運行の許可)

6.2.車内の貴重品や必要な荷物は持ち出す

搬送してもらう前に、車内にある現金、カード類、貴金属などの貴重品や重要書類、自宅や車の鍵などは必ず持ち出しておきましょう。振動による破損や、万が一の紛失トラブルを避けるためです。

レッカー車が先に目的地へ出発し、自分の移動が後になるような場合は、後から車内のものを取り出せずに困ることもあります。とくに、自宅の鍵などはすぐに必要になるため注意が必要です。

6.3.原則としてレッカー車への同乗はできない

レッカー車は貨物自動車であり、旅客を運送する許可を持ちません。そのため、万が一の事故時の補償や安全管理の観点および実質的なタクシー行為とみなされるリスクを回避する観点から、多くのロードサービス規約において、原則としてレッカー車への同乗を禁止しています。

ただし、高速道路上や公共交通機関が一切ない僻地、極寒地など、その場に顧客を残すと人命や安全に著しい危険が及び、緊急避難が必要と判断される場合に限り、最寄りの安全な場所(高速道路のインターチェンジ出口や最寄り駅・バス停等)までの一時的な避難同乗が認められることがあります。

その場合でも、トラブル現場または緊急避難先から車の搬送先までの移動は、自分自身でタクシーや公共交通機関などを利用する必要があります。

6.4.搬送先の修理工場などをあらかじめ決めておく

レッカー車が到着するまでに、どこに搬送してもらうかを決めておく必要があります。行きつけのディーラーや整備・修理工場がある場合は、その連絡先と住所を確認しておきましょう。

とくにない場合は、保険会社が紹介してくれる「提携工場」を利用することも可能です。例えば旅行先など土地勘のない場所でのトラブルでは、保険会社の案内を待つのがスムーズなことも多いでしょう。

7.安心できるレッカーサービスの選び方

突然、車が走行不能になると慌ててしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて、どのレッカーサービス業者を利用するか検討しましょう。業者によってサービス内容や料金が異なるため、トラブル発生時から事後の移動・対応まで安心できるサービス業者に要請することが大切です。その際に、確認しておきたいポイントを3つ紹介します。

7.1.料金形態・対応範囲

契約している保険やJAFのレッカーサービスの範囲、利用した場合の料金を確認しましょう。

チェックすべき項目は、「無料搬送の距離(何キロメートルまでか)」「(夜間や休日の場合)追加料金はかかるか」「脱輪引上げ・スタック脱出は無料範囲か」などです。

民間のロードサービス業者に直接依頼する場合は、要請前に料金形態をしっかり確認し、納得した上で要請することが非常に大切です。

7.2.対応エリア・対応時間

対応してくれるエリアと時間の確認も大切です。エリアは地域(都道府県)だけでなく、高速道路上や高速道路のサービスエリア、山間部など、具体的な場所での対応を確認しましょう。

トラブルは時期・時間を選びません。「24時間365日対応」「全国どこでも駆けつけてくれる」ネットワークの広さを基準に選定しましょう。

なお、状況によってはレッカー車の要請から到着までに1時間以上かかるケースもあります。オペレーターに「到着予想時間」を確認し、安全な場所で待機することが大切です。

7.3.アフターケア・サポート体制

車の搬送が終わった後の「人の移動」や「宿泊」に対するサポートの有無も確認しましょう。

自動車保険によっては、特約としてかなり手厚いアフターケアを提供しているものもあります。トラブルの発生直後から帰宅・引き取りまで、対応と費用の両面からトータルでサポートしてくれるサービスを選ぶと安心です。

8.まとめ

交通事故や故障などで自力走行ができなくなった場合、指定のディーラーや修理工場までレッカー車で搬送してもらえます。レッカー車の要請は、多くの場合自動車保険(ロードサービス)やJAFに対して行いますが、それぞれ利用できる条件やサービス内容、料金形態などが異なるため、事前に確認しておきましょう。条件を満たしていれば、一定範囲まで無料でレッカーサービスを利用できます。

一方、無料範囲を超えるサービスを利用した場合は自己負担となるケースがあります。あらゆる場所や天候、時間帯でのトラブルを想定し、トラブル発生から帰宅までの行動をイメージしながら、安心できるレッカーサービスを選ぶようにしましょう。

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