ハイオクとは何?
ハイオクガソリンとは、オクタン価が高いガソリンのことです。オクタン価とは、ガソリンがエンジン内で自然発火しにくい性質を示す数値で、この数値が高いほどノッキング(異常燃焼による金属音を伴った異音や振動)が起こりにくくなります。日本では、オクタン価96以上のガソリンがハイオクとして販売されています。
ハイオクは主に高性能エンジンやスポーツカー、輸入車などに推奨されており、燃焼効率が良く、エンジン内部の汚れを抑える洗浄成分も含まれています。
そもそもガソリンはどう作られている?

原油・石油・ガソリンは何が違う? ガソリン価格が変動する理由についても解説! : 刊行物 | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
ガソリンは原油から精製されて作られる燃料です。まず、原油を高温で加熱し、常圧蒸留装置によって成分ごとに分ける「蒸留」を行います。蒸留によって、軽い成分は気体として分離され、重い成分は液体のまま残りますが、ほかの油と比べて、ガソリンの沸点は35~180度と低いため、比較的軽い油として分類されています。
次に、抽出した液体の中から硫黄などの不純物を取り除き、ガソリンとなります。
ハイオクガソリンのメリット
先述した通り、ハイオクガソリンの主なメリットは、エンジンの性能を最大限に引き出せる点です。オクタン価が高いため、エンジン内でのノッキング(異常燃焼による金属音を伴った異音や振動)を防ぎ、スムーズで安定した燃焼を実現します。特にスポーツカーや高性能車では、その効果が顕著に現れるでしょう。
また、ハイオクガソリンにはエンジン内部の汚れを抑える洗浄成分が含まれており、エンジンをクリーンな状態に保つのに役立ちます。エンジンが清潔に保たれることで、燃焼効率が向上し、結果的に燃費の改善や排出ガスのクリーン化にもつながります。
さらに、ハイオク仕様の車に正しくハイオクガソリンを使用することで、設計された通りの性能を発揮します。特に長距離運転や高速走行の際には、差を明確に感じられるはずです。
ハイオクとレギュラーの区別について
ガソリンの「ハイオク」と「レギュラー」の違いは、オクタン価によって区別されています。オクタン価とは、ガソリンの自己着火しにくさ(ノッキング耐性)を示す数値で、これが高いほどエンジン内で安定した燃焼が可能になります。
ハイオクは高圧縮比のエンジンに適しており、スポーツカーや高性能車などで推奨されます。一方、レギュラーは一般的な車両向けに使用されるガソリンです。
ハイオクとレギュラーのオクタン価比較
ハイオク | レギュラー | |
---|---|---|
オクタン価 | 96以上 | 89以上 |
ハイオクとレギュラーガソリンのオクタン価は上記の通りです。日本では、オクタン価が96以上のガソリンがハイオク、89以上のものがレギュラーとして販売されています。
また、ハイオクガソリンは高性能エンジン向けに設計されており、エンジンのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。一方、レギュラーガソリンは一般的な車両に適しており、日常的な使用に十分な性能を持っています。
ハイオクとレギュラーのオクタン価以外の違い
ハイオクとレギュラーの違いはオクタン価だけではありません。以下では、成分や値段、燃費の違いについて解説します。
①成分
ハイオクガソリンにはエンジン内部をクリーンに保つための洗浄成分が多く含まれています。洗浄成分は、エンジン内部のカーボンや汚れの蓄積を防ぎ、エンジンの性能を維持する役割を果たします。
一方、レギュラーガソリンにはこの洗浄成分が少なく、長期間使用するとエンジン内部に汚れが溜まりやすくなる可能性があります。そのため、ハイオクガソリンはエンジンの寿命を延ばし、メンテナンスの手間を減らす効果も期待できます。
②値段
ハイオクとレギュラーのもう一つの違いは価格です。ハイオクには高品質な成分や添加剤が含まれているため、レギュラーよりも価格が高く設定されています。
自然エネルギー庁の調査(※)によれば、令和7年2月3日時点でハイオクガソリンの平均価格は1Lあたり195円、レギュラーガソリンは185円前後となっています。この価格差は車の燃費や使用頻度によって影響を受けますが、高性能車の本来の性能を引き出すためにはハイオクの使用が推奨されます。
なお、ハイオク車にレギュラーガソリンを入れた場合のリスクについては後述します。
(※)参照:経済産業省 自然エネルギー庁「石油製品価格調査」
③燃費
燃費に関してもハイオクとレギュラーでは違いがあります。ハイオクガソリンは燃焼効率が高く、エンジンの性能を最大限に引き出せるため、結果的に燃費が良くなることがあります。特にハイオク仕様の車では、指定された燃料を使用することで設計通りの燃焼が行われ、最適な燃費を維持できます。
一方で、レギュラーガソリンはレギュラー仕様の車に適した燃料です。ハイオクの燃焼効率と比べれば劣りますが、レギュラーガソリンの燃焼効率が特別悪いわけではありません。レギュラー仕様の車は、レギュラーガソリンで問題なく性能を発揮できるように設計されているため、レギュラー仕様車にハイオクを入れた場合と比較しても燃費が悪くなることはありません。
ハイオクとレギュラーを入れ間違えるとどうなる?【車の種類別】
ガソリンスタンドでうっかりハイオクとレギュラーを入れ間違えてしまった…そんな経験はありませんか?車に合わないガソリンを入れてしまうと、エンジンに悪影響を与えるのではないかと不安になりますよね。
以下では、ハイオク車、レギュラー車、ディーゼル車それぞれにガソリンを入れ間違えた場合にどんな影響があるのか、詳しく解説します。
ハイオク車にレギュラーガソリンを入れてしまった場合
ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると、エンジンパワーや燃費が低下し、ノッキング(異常燃焼)が発生する可能性があります。現代の車両はノッキングを検知して自動的にエンジンの調整を行うため、すぐに故障することは少ないですが、長期間使用するとエンジンへの負担が蓄積し、性能の低下や故障のリスクが高まります。
万が一レギュラーガソリンを入れてしまった場合は、早めにハイオクガソリンを補充し、必要に応じて整備工場で点検を受けることをおすすめします。
レギュラー車にハイオクガソリンを入れてしまった場合
レギュラー車にハイオクガソリンを入れても、基本的には大きな問題は発生しません。ハイオクの高いオクタン価がエンジンに悪影響を与えることはなく、通常通り走行できます。
ただし、燃費が劇的に改善したり、エンジン性能が大幅に向上したりすることもほとんどありません。そのため、無駄なコストがかかるだけで特別なメリットは得られないでしょう。
ディーゼル車にレギュラーまたはハイオクガソリンを入れてしまった場合
ディーゼル車にレギュラーまたはハイオクガソリンを入れてしまうと、深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。ガソリンとディーゼル燃料は燃焼の仕組みが全く異なるため、ガソリンを入れることでエンジンが正しく作動せず、最悪の場合、エンジン内部の損傷や故障を引き起こします。
もしディーゼル車にガソリンを誤って入れてしまった場合は、絶対にエンジンをかけずに、速やかに専門業者に連絡してください。
ハイオクとレギュラーの入れ間違いを防ぐ方法
ガソリンの入れ間違いは、誰にでも起こり得るミスですが、事前に注意を払うことで防ぐことができます。ここでは、ハイオクとレギュラーの入れ間違いを防ぐための具体的な方法について解説します。
①指定燃料の確認
給油前に必ず車の取扱説明書や燃料キャップの表示を確認しましょう。多くの車には燃料キャップの裏側やフューエルリッド(給油口カバー)に指定された燃料の種類が記載されています。
特に家族や友人と車を共有している場合、車種ごとに異なる燃料仕様を把握しておくことが大切です。また、新しい車に乗り換えたばかりのときも、習慣でレギュラーを選んでしまわないよう注意が必要です。
②給油ノズルの色の確認
ガソリンスタンドでは、給油ノズルの色でガソリンの種類を区別している場合があります。一般的に、日本ではレギュラーガソリンのノズルは赤、ハイオクガソリンは黄色、ディーゼルは緑で表示されていることが多いです。
ただし、スタンドによって色分けが異なることもあるため、ノズルの色だけで判断せず、必ず表示ラベルを確認してから給油しましょう。このちょっとした確認作業で、入れ間違いのリスクを大幅に減らすことができます。
ハイオク車とガソリン車、どちらを選べばいい?
ハイオク車とレギュラー車、どちらを選ぶかは、使い方や重視するポイントによって変わります。
ハイオク車は、高性能なエンジンを搭載し、加速力や走行性能に優れています。特に、高速道路をよく使う人や、力強い走りを求める人におすすめです。ただし、燃料費が高くなるため、維持費がかかる点には注意が必要です。
一方、レギュラー車は、燃料代を抑えやすく、普段の街乗りや短距離移動が多い人に向いています。メンテナンスコストも比較的安く、経済的に使えるため、コストを重視するなら最適な選択肢です。
まとめ
ハイオクとレギュラーの違いは、主にオクタン価や添加剤の成分にあります。ハイオクは高性能エンジン向けに作られており、燃焼効率の向上やエンジン内部の洗浄効果が期待できる一方、価格が高めです。
一方、レギュラーガソリンは一般的な車向けで、ハイオクに比べるとコストパフォーマンスに優れています。
レギュラー車にハイオクを入れても大きな問題はありませんが、ハイオク車にレギュラーを入れてしまった場合は、ノッキングのリスクがあるため注意が必要です。車に適した燃料を選び、快適なドライブを楽しみましょう。
※この記事は2025年2月時点の情報です。
執筆者プロフィール
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