タイミングが難しい「右折」
信号の変わり目や対向車とのタイミングを見極める必要がある右折は、多くの人が「難しい」と感じるシーンです。特に、右折信号のない交差点での右折は、「いつ行っていいかわからない」「向かってくる対向車が怖い」と言います。
では、右折信号のない交差点での右折は、どうしたらスムーズにできるでしょうか。答えは、「信号が変わるまで待つ」です。
明らかに対向車が途切れるようであればいいですが、断続的に対向車がやってくるようなときには、焦らずに待つことが大事。信号が黄色→赤へと変わって、対向車が完全に止まってから曲がれば、怖い思いをせずに曲がることができます。
このとき、「後ろのクルマからのプレッシャーを感じる」という人もいますが、それは「そう思い込んでいるだけ」で、実際に後続車のドライバーがどう思っているかはわかりません。まずは、自身が安全に右折することを第一に考えてみましょう。
また、右折時に「どこまで進んで待っていればいいか」に悩む人もいます。慣れないと少し怖いと感じるかもしれませんが、交差点の中央付近まで思い切って進みましょう。
それは、すみやかに右折をするためでもあり、同時に対向車に「右折をするクルマがいるよ」という意思表示をするためでもあります。
右折のときは、「焦らない」が何もよりも大事。「対向車がまだ遠くにいるから」「信号が赤になったから」「後ろからの圧を感じるから」と思って慌てずに、どっしりと構えることが右折をマスターするポイントとなります。
「すれ違い」もタイミングが大事
狭い道で対向車がきたときのすれ違い。「左に寄るのが怖い」「十分に寄れているかがわからない」と、車幅感覚から「怖い」と感じる人がたくさんいます。
もちろん、十分に左に寄ることも大切ですが、実は右折と同じくタイミングもポイントとなります。
運転が上手い人は、対向車が見えたら「どこですれ違えばいいだろうか」とタイミングを考えます。たとえば、「ここで待っておけば、余裕を持ってすれ違える」「あの少し広いところなら、もう少し寄れそうだ」と、無意識のうちに考えているのです。
とはいえ、ただでさえ狭い道でいきなり「タイミングを考えろ」と言われても、難しいでしょう。そんなときは、「早めに止まる」を意識してみてください。
早めにスピードを落としできるだけ左に寄り、止まる。そうすることで、対向車に「私はここで待っているので、先に行ってください」という意思表示になります。
もし、対向車のほうが先に止まって待っているようなら、スピードを落として進みましょう。「すれ違い」では、意思表示と「ゆずり合い」がポイントとなります。
左に寄るときに注意したいのは、高さの低い障害物です。クルマのすぐそばにある低い障害物は見えないので、「対向車がきたな」「左に寄らなきゃいけないな」と思ったら、寄せられる場所があるかを見ていくことが必要となります。
先が見えないから怖い「バスの追い越し」
バス停に止まっているバスや路上駐車しているクルマを追い越すシチュエーションも、よくあります。背の低い乗用車なら先も見通しやすいので比較的無理なく追い越せますが、目の前に高さも幅もあるバスが停車していると、先が見えづらくてためらってしまいがち。
バスが左ウインカー(停車する合図)を出したら、早めに対向車線の様子を見ておくのがひとつ目のポイント。それでも、すぐ目の前でバスが止まってしまうようなこともあるでしょう。そんなときは、「無理に追い越さない」ことも選択肢のひとつとなります。
「見えないのに行く」というのは、「ぶつかるリスクを承知で行く」ということ。「絶対に大丈夫だ」と思えないならば、いさぎよく止まって待つほうが得策です。
「そうは言っても後ろのクルマが……」と思う方もいるかもしれませんが、「追い越さなくてはいけない」という法規やルールはありません。右折待ちのときと同じく、自分の安全を最優先しましょう。
車線変更は「できるとき」に
目的地に向かって幹線道路や2車線道路を走るときには、「車線変更」をする必要が出てきます。これも、やはりタイミングがポイントとなりますが、苦手意識を持っている人の多くは「車線変更したいときにできない」と言います。
実は、これは誤り。車線変更は、「したいときにする」ではなく、「できるときにする」が正解です。
左車線を走っていて、先の信号で右折をする必要があるとしましょう。このとき、右折をする直前で車線変更をしようとしても、「できるタイミング」がない可能性があります。「次の信号で右折するから、今のうちに車線変更をしておこう」「今なら、車列が途切れているから車線変更できるな」と、先の進路を考えて、早い段階で「できるとき」に車線変更をすることが大切です。
「今、車線変更したい」と思っても、そのときに車列が途切れているとはかぎりません。「したいとき」ではなく「できるとき」というのは、そのためです。「次を右折する」とわかったら、そのときから右の車線の流れを見て、早めに車線変更をしておきましょう。
「タイミング」「早め」意識でコツを習得!
今回は、右折、すれ違い、追い越し、車線変更のポイントを解説しました。いずれのシーンでも、「タイミング」「早め」が苦手克服のためのキーワードとなります。慌てず焦らず、早め早めを心がけ、今回のポイントを意識しながら運転すれば、自然とコツを習得し、苦手意識を克服できるでしょう。
文・木谷宗義/type-e、編集: type-e