免停とは一体何?
「免許停止(免停)」とは、交通違反や交通事故によって一定の違反点数に達した際に、運転免許の効力が一時的に停止される処分です。
違反点数は過去3年間の累積によって決まり、免停となると、その期間中は一切運転ができません。 出頭した日から停止処分が始まり、指定された満了日までは運転を控える必要があります。
特に気をつけなければならないのは、免停期間中に運転すると「無免許運転」となり、より厳しい処分が科されることです。無免許運転は刑事罰の対象となるため、罰金や懲役刑などの重大なペナルティを受ける可能性があります。
免停と免許取消の違いは?
免停は、一時的に運転免許証の効力が失われることになる行政処分です。一方、免許取消も同じく行政処分ですが、公安委員会が下す行政処分のことで、免停とは大きな違いがあります。
停止期間が終了すれば再び運転できる免停に対し、免許取消は一度取消になってしまうと、完全に運転する資格がなくなり、免許を再取得しない限り運転をすることができません。そのため、免停よりも、免許取消の方が重い処分です。
免停になる違反点数と免停期間について
免停になるか否かは、過去3年間の累積違反点数によって決定します。
累積6点以上14点以下の場合は免停処分が下され、6〜8点で30日、9〜11点で60日、12〜14点で90日の間、運転免許が停止されます。一方で、15点以上になると免停ではなく免許取消となります。
過去3年間の累積違反点数 | 免許の停止期間 |
---|---|
6〜8点 | 30日 |
9〜11点 | 60日 |
12〜14点 | 90日 |
15点~ | 免許取消(点数によって取消期間は異なる) |
さらに、過去に免停または免許取消の行政処分を受けた経験がある(=前歴がある)場合は、免停に至る累積違反点数や、免許停止期間が変わります。
前歴が1回ある場合は4点以上になると60日、前歴が2回ある場合は2点以上になると90日、前歴が3回ある場合は2点以上で120日、前歴が4回以上の場合は2点以上になると150日となります。
過去3年間の累積違反点数(前歴1回の場合) | 免許の停止期間 |
---|---|
4〜5点 | 60日 |
6〜7点 | 90日 |
8〜9点 | 120日 |
10点~ | 免許取消 |
過去3年間の累積違反点数(前歴2回の場合) | 免許の停止期間 |
---|---|
2点 | 90日 |
3点 | 120日 |
4点 | 150日 |
5点~ | 免許取消 |
過去3年間の累積違反点数(前歴3回の場合) | 免許の停止期間 |
---|---|
2点 | 120日 |
3点 | 150日 |
4点~ | 免許取消 |
過去3年間の累積違反点数(前歴4回以上の場合) | 免許の停止期間 |
---|---|
2点 | 150日 |
3点 | 180日 |
4点~ | 免許取消 |
過去に免停になったことがある場合は、より厳しい基準で免停になる仕組みになっています。そのため、気がついたら累積違反点数が免停の基準をオーバーしており、免許取り消しとなってしまう、といった場合も考えられます。
日頃から交通ルールに気をつけるのはもちろん、過去に免停になったことがある方は、累積違反点数を常に意識して、日頃から一層気を配って運転するようにしましょう。
しかし、自分自身の累積違反点数を把握しているという方は少ないようです。そもそも、累積違反点数の確認方法を知らないという方も少なくないでしょう。次からは、累積違反点数の確認方法を解説します。
累積点数の確認方法
累積違反点数は、累積点数等証明書で確認することができます。
累積点数等証明書は各都道府県の「自動車安全運転センター」に申請することで発行してもらうことができます。申し込みは自動車安全運転センターの窓口や郵送のほか、スマートフォン用の申請アプリを使用すればインターネットで発行してもらうことも可能です。
なお、「自動車安全運転センター」で申請をしても、即時交付にはならないことにはご注意ください。
一発免停になるシチュエーション
よく聞く「一発免停」とは、一度の違反で免停処分の基準に達することを指します。一発免停になるのは、酒気帯び運転や無免許運転などの重大な違反を起こしてしまった場合です。この場合は前歴の有無に関係なく、1回で免停になります。
なお、前歴のない人が1回で免停になる違反点数は6点以上とされています。6点以上の交通違反の一例としては、一般道路30km/h以上、高速道路40km/h以上の速度超過の場合や、車検切れの自動車での運行を指す無車検運行、さらに強制保険である自賠責保険・自賠責共済の有効期限が切れた自動車を運転した場合などが挙げられます。
また、運転中に携帯電話を使用することで、事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合も6点以上の違反とされます。通話のために使用するだけでなく、カーナビゲーション代わりの利用など、画面を注視したりする行為が含まれます。
ちなみに、携帯電話などを手で持って通話をしたり、画像を注視しながら運転した場合、たとえ事故を起こさなくても3点の違反点数が累積されます。
免停後の点数はどうなるの?
過去3年以内の違反点数は累積されますが、免停になった後には、前回の免停以前の点数は計算に含まれません。
また、免許停止期間が終了した後、1年以上の間を無事故・無違反・無処分で過ごすことができた場合は、点数が0点に戻ります。この1年は免停期間や免許失効期間を除く運転可能期間を指します。
例えば、2023年5月に1点、2024年2月に5点で免停30日となった場合、免停期間が終了するのは2024年3月となるため、点数を0点に戻すには、2025年3月まで無事故・無違反・無処分でなければなりません。
免停期間満了後に無事故・無違反の場合の優遇措置について
免停期間満了後の1年間を無事故・無違反・無処分で過ごすことができた場合は、前歴が0回となり、これまで処分や免停になったことがない人と同様に、免停点数は6点に、処分期間は30日に戻ります。
1年間というのは、違反当日から換算し、1年先の同じ日を終了日としてカウントします。
無事故・無違反・無処分でない限り点数がリセットされることはないため、一度免停になった後には、今まで以上に気をつけて運転をするようにしましょう。
免停~免許証の返還までの流れ
ここからは、免停になった際の対応から、免許証の返還までの流れを解説します。万一免停になった場合に慌てないよう、流れを確認しておきましょう。
免停通知書が送られてくる
免停通知書は、交通違反や取り締まりを受けた後、数週間〜1ヶ月ほどで送られてきます。「行政処分出頭通知書」または「意見の聴取通知書」の2種類があり、警察から郵送されます。
これらの通知書は累積点数が免停基準に達した際に送付され、指定された日時と場所に出頭する必要があります。行政処分の出頭が求められる場合、正当な理由があれば日時の変更が可能ですが、意見の聴取は変更が難しいため、指定された日に出頭する必要があります。
指定の場所・日時に出頭する
指定された日時に指定された場所へ出頭し、運転免許停止処分書を受け取ります。その場で運転免許証を返還することで、免停期間が開始します。
免停期間中は運転ができないため、出頭や帰宅の際には公共交通機関やタクシーを利用しましょう。必要に応じて、代理人の出頭や弁護人の付き添いも可能です。
意見の聴取に出席する
意見の聴取が必要な場合、当日には通知書と印鑑、免許証を持参し出席する必要があります。この際、弁護人や補佐人と共に出席することも可能です。
弁護人や補佐人が出席する場合は、補佐人出頭許可申請書の提出が必要です。また、本人が出席できない場合は代理人を出席させることも可能です。代理人は運転者の免許証と代理人資格証明書を持参する必要があります。意見の聴取に出席するとその日から処分が始まり、欠席すると書面審査で処分が決まります。
免停期間満了後に免許が返還される
免停期間が満了すると、運転免許証が返還されます。免許証の返還を受ける際には、運転免許停止処分書を持参し、指定された返還場所で手続きを行いましょう。免停期間中であっても、運転免許停止処分書があれば免許の更新手続きは可能です。ただし、新しい免許証が交付されるのは免停期間の満了後となります。
免停期間中の運転は法律で禁止されており、違反した場合にはさらなる厳しい処分が科されるため、注意しましょう。
免停を早く解除する方法はある?
免停期間を短縮し、免停を早く解除するには、「停止処分者講習」を受ける必要があります。この講習は、免停処分を受けた人を対象とし、運転適性診断や安全運転に関する講義、実車指導などが行われます。講習は免停期間に応じて短期、中期、長期の3種類に分かれており、費用や内容、短縮日数が異なります。
講習の最後に行われる考査を受けると、受講態度を考慮した「優・良・可」の評価が下され、こちらに応じて免停期間の短縮日数が決まります。例えば、短期講習は免停期間が40日未満の人を対象とし、「優」の評価を得ると29日短縮されます。つまり、免停期間が30日の場合は、実質的に受講当日のみの免停となり、運転免許証もその場で返還されます。
ただし、考査の結果が「不可」となった場合は短縮されません。
まとめ
免許停止処分を受けると、その期間は運転することができません。免停になるほど違反が積み重なってしまうということは、その分危険性の高い運転が常態化してしまっているということです。自分自身や車に同乗する人、歩行者などの安全を守るためにも、免停になるような違反をしないよう、日頃から安全運転を心掛けることが大切です。
※この記事は2025年1月時点の情報です。
執筆者プロフィール
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