1.自動車保険の中断証明書とは
自動車保険の中断証明書とは、保険を解約した後も現在の等級を保存する手続きを行う際に発行される書類です。まずは、中断証明書の役割やメリットを確認していきましょう。
1.1.現在の等級を一定期間保存できる制度
中断証明書の大きなメリットは、現在の等級を一定期間保存できる点です。
自動車保険には、事故歴などに応じて保険料の割増引率が変わる「ノンフリート等級別料率制度」 があります。一般的に、等級が高いほど保険料の割引率も大きくなります。
通常、自動車保険を解約した場合、一般的に解約日の翌日から起算して7日以内に新契約を開始しなければ、 解約時点の等級を引き継げなくなります。そのため、自動車保険を再開する際は新規の等級からやり直しになります。しかし、中断証明書を取得しておくと、一定の条件を満たしていれば解約時点の等級を再契約時に引き継ぐことが可能です。
中断証明書の有効期間は保険会社によって異なりますが、一般的には最長10年間保つことができます。
無事故で積み上げた等級を活用できれば、自動車保険を再契約する際の保険料負担を抑えられます。
1.2.「国内中断」と「海外中断」の2種類がある
中断には、大きく「国内中断」と「海外中断」の2種類があります。国内中断は、車の売却や廃車などにより、日本国内で一時的に車を手放す場合に利用します。一方の海外中断は、海外赴任や長期の滞在などで、日本国内で運転しないために自動車保険を一時的に解約する場合に利用します。
「国内中断」と「海外中断」は利用できる場面が異なるだけではなく、手続きの際に確認される条件や必要書類も異なります。国内中断では車を手放したことを確認するための書類が必要になります。一方、海外中断では、中断証明書を利用して再契約する際に、パスポートなど海外渡航の事実を確認できる書類の提出を求められます。
2.中断証明書を発行できる条件
中断証明書を発行するには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、その代表的な条件について解説します。
2.1.一定の等級(一般的に7等級以上)であること
中断証明書を発行するには、次の契約に引き継ぐ等級が7等級以上であることが条件となるのが一般的です。現在の等級が7等級未満の場合、新規で6(S)等級から契約したほうが費用面でも有利になるので、引き継ぐ必要がないからです。
特に保険期間中に事故があった場合は注意が必要です。事故の内容や件数によって次の契約に適用される等級が下がり、7等級未満となる場合は、中断証明書を発行できないケースがあります。
2.2.車を手放している、または使用できない状態であること
国内中断は、車を廃車した場合や譲渡した場合、リース業者へ返還した場合のほか、ナンバープレートを返納(一時抹消)した場合や、車検切れ、盗難、災害による滅失などにより「車を使用できない状態」となった場合が対象となります。
一方、海外中断は必ずしも車を手放す必要はありません。記名被保険者が海外へ渡航し、日本国内で運転できない状態となることが条件です。
なお、海外中断は、契約の解約日または満期日が出国日の6か月前以降であることが条件です。それより前に解約すると利用できない場合があるため、手続きの時期に注意が必要です。
2.3.所定の期間内に申請していること
中断証明書の発行を受けるためには、所定の期間内に申請する必要があります。
一般的には、中断日(満期日または解約日)の翌日から起算して13か月以内に申請することが条件とされています。期限を過ぎると中断証明書を発行できなくなるため注意が必要です。
ただし、保険会社によって条件が異なるため、車を手放す予定がある場合や海外への渡航が決まった場合は、早めに条件を確認しておきましょう。
3.【ケース別】中断証明書が必要になるシーン
中断証明書は、長期間車を運転しなくなるさまざまな場面で役立ちます。ここでは、中断証明書の取得を検討したい代表的なケースを紹介します。ご自身の状況と照らし合わせて、当てはまるものがないか確認してみてください。
3.1.車を売却・譲渡・廃車にして、しばらく所有しない場合
転居やライフスタイルの変化などで車に乗る機会がなくなり、しばらく車を手放すケースもあるでしょう。今は車が必要なくても、将来的に再び車を購入する可能性があるなら、それまでの等級を維持しておくことで、再加入時の保険料負担を抑えられます。
3.2.海外赴任や留学などで、長期間運転しない場合
海外赴任や留学などにより長期間日本を離れる場合、日本で車を運転しないため、自動車保険を解約することもあるでしょう。その際、中断手続きをせずに解約して一定期間が経過すると、それまで積み上げた等級を引き継げなくなってしまいます。
帰国後に自動車保険を再契約する際、出国前の等級を引き継ぐためには、中断証明書をあらかじめ発行しておく必要があります。
3.3.運転を一時的に控える必要がある場合
けがや病気での療養、妊娠・出産などをきっかけに、一時的に車に乗らなくなり、車を手放すケースもあるでしょう。中断証明書を発行するには、運転を控えるだけでは足りず、車を手放す(または一時抹消・車検切れなどで使用できない状態にする)ことが条件です。
将来、体調が回復して再び車を持つ場合などに、それまでの等級を活かすことで保険料の負担を抑えられます。
こうした場合に備えて、中断証明書を発行しておくとよいでしょう。
なお、バイク(二輪・原付)の保険では、記名被保険者の妊娠を理由として、車両を手放さずに契約を中断できる場合があります。この場合、中断証明書の有効期間が3年間とされるなど、条件が異なる点に注意が必要です。
3.4.高齢による免許返納などで運転をやめる場合
高齢を理由に運転免許を返納し、車を手放す方もいます。ご自身が再び車に乗る予定がない場合でも、中断証明書を発行しておくと、同居している子どもや配偶者が新たに車を持つ際に、その等級を引き継げる場合があります。これにより、家族が自動車保険に加入するときの保険料負担を抑えられる可能性があります。
※損保ジャパンでは配偶者には内縁の相手方および同性のパートナーを含みます。以下、同様とします。
4.中断証明書を発行する流れや必要書類
中断証明書を発行するためには、所定の手続きと書類の提出が必要です。ここでは、中断証明書を発行する流れと主な必要書類を紹介します。
4.1.ステップ1:契約中の保険会社・代理店に連絡する
中断証明書の発行を希望する場合は、自動車保険の解約時や満期を迎える際に契約中の保険会社または代理店に指定の方法で連絡しましょう。
手続き方法は保険会社によって異なり、代理店経由のほか、インターネットから申請できる場合もあります。
中断証明書の発行には申請期限があります。一般的には、契約の中断日(解約日または満期日)の翌日から起算して13か月以内に申請しなければなりません。
ただし、中断日として扱われる日や手続きの詳細は保険会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
4.2.ステップ2:必要書類(発行依頼書+公的書類)を提出する
保険会社や代理店へ連絡した後は、案内にしたがって所定の申請書類と公的書類(もしくはそのコピー)を提出します。必要となる書類は中断の理由によって異なるため、事前に保険会社に確認しておきましょう。
書類に記載漏れや添付漏れがあると、中断証明書の発行に時間がかかる場合があります。提出前に内容を確認し、不備がない状態で手続きを進めることが大切です。
4.3.車を手放したことを証明する主な書類一覧
提出が必要となる中断事由を証明する書類は、車を手放した理由によって異なります。主な例は次のとおりです。原則的に、該当する公的書類のいずれか1点が必要となります。
| 中断の理由 | 対象車 | 書類の例 |
|---|---|---|
| 廃車 | 普通自動車 | ・登録事項等証明書 ・登録識別情報等通知書 など |
| 軽自動車 | ・検査記録事項等証明書 ・自動車検査証返納証明書など |
|
| 売却・譲渡 | 普通自動車 | ・登録事項等証明書(詳細証明) ・名義変更後の自動車検査証 ・売買契約書 など |
| 軽自動車 | ・検査記録事項等証明書 ・名義変更後の自動車検査証 ・売買契約書 など |
|
| 車検切れ | 普通自動車 | ・自動車検査証 ・登録事項等証明書 など |
| 軽自動車 | ・軽自動車検査証 ・検査記録事項等証明書 など |
|
| 盗難 | 共通 | ・盗難届出証明書 など |
※お手持ちの車検証が電子車検証である場合には、 「車検証のコピー」に代えて「自動車検査証記録事項」が必要となりますので、ご注意ください。
必要書類の種類や提出方法は保険会社によって異なるため、手続きを始める前に契約中の保険会社や代理店に確認してください。
5.中断証明書を利用して自動車保険を再開する際のポイントや注意点
中断証明書を使うと、保存しておいた等級を引き継いで自動車保険を再開できます。ただし、等級を引き継ぐためには一定の条件を満たす必要があります。ここでは、自動車保険を再開する際に押さえておきたいポイントや注意点を解説します。
5.1.中断証明書を使って等級を引き継ぐ条件
新たに車を取得して自動車保険を契約する際に中断証明書を利用すると、中断する前の等級を引き継げる場合があります。ただし、等級を引き継ぐには、主に次のような条件があります。
- 中断証明書の有効期間内であること
- 新たに取得した車で自動車保険を契約すること
- 記名被保険者や車の所有者が中断前の契約と同一であることやその配偶者・同居の親族であることなど、所定の条件を満たしていること
- 契約する車が対象となる用途車種であること
中断証明書の有効期間は保険会社によって異なりますが、最長で10年とされるケースが一般的です。損保ジャパンの場合、国内中断・海外中断ともに、原則として中断日(解約日または満期日)または出国日の翌日から起算して10年間、等級が保存されます。
このように、中断日から再開までの期間や、新たに契約する自動車保険の条件によって中断証明書が使えるかどうかが変わります。
5.2.同居の家族に等級を引き継ぐことも可能
中断証明書は、条件を満たせば本人だけでなく同居の家族も利用できます。
引き継げるのは、中断証明書に記載された記名被保険者のほか、その配偶者や、本人・配偶者と同居している親族です。
たとえば、運転をやめた両親が中断証明書を発行していれば、同居している子どもが新たに取得した車の自動車保険で、その等級を引き継げる場合があります。一方で、配偶者を除き、別居している家族や親族には引き継げません。
具体的な取扱いは保険会社によって異なるため、家族へ等級を引き継ぎたい場合は事前に確認しておきましょう。
5.3.他の保険会社でも利用できる場合がある
中断証明書は、発行を受けた保険会社だけでなく、別の保険会社で自動車保険を契約する際にも利用できる場合があります。
たとえば、A社で中断証明書を発行した後、再契約時にB社の自動車保険へ加入するケースでも、条件を満たせば等級を引き継げる可能性があります。
ただし、中断証明書を利用できる条件は保険会社によって異なります。保険会社を変更して自動車保険を再開する場合は、事前に利用条件を確認しておきましょう。
6.中断証明書を紛失してしまったら?再発行の手順と注意点
中断証明書を紛失しても、再発行が可能です。再発行する場合は、まず中断証明書を発行した保険会社や代理店へ連絡しましょう。
再発行手続きには、中断証明書を発行した当時の契約情報が必要です。そのため、証券番号や契約者名など、当時の契約内容が分かる資料を用意しておくと手続きがスムーズに進みます。
なお、再発行には一定の時間がかかることもあります。中断証明書を利用して自動車保険の再開を予定している場合は、余裕を持って手続きを進めることが大切です。
7.まとめ
中断証明書は、車を手放した場合や海外赴任などで長期間運転しない場合に、等級を保存しておくために発行される書類です。将来、再び車を持つ予定がある場合は、中断証明書を発行することで、保存した等級を引き継げる可能性があります。
中断証明書の発行には、等級や車の状態、申請期限などの条件があります。また、必要書類は廃車・売却・車検切れ・盗難など、中断の理由によって異なります。
自動車保険を再開する際は、中断証明書の有効期間や契約条件を満たす必要があります。また、条件を満たせば、同居の家族に等級を引き継ぐことも可能です。
車を手放す予定がある方や、海外赴任・留学、妊娠・出産などで長期間運転をしなくなる方は、将来また車を運転するときに備えて、中断証明書を活用しましょう。その際は、早めに保険会社や代理店へ相談することをおすすめします。
※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年7月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
SJI26-57156(2026.09.15)
引受保険会社:損害保険ジャパン株式会社
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