1.飛び石はなぜ起こる?放置するリスクについて
飛び石は、走行中の車が道路上の石を跳ね上げたり、タイヤの溝に挟まっていた石が外れたりして、フロントガラスや車体にぶつかって発生します。特に高速道路や工事現場付近などはリスクが高く、注意が必要です。
また、傷が小さくても放置してはいけません。振動やガラス内外の急激な温度変化、水分の侵入などによってヒビが走行中に拡大し、重大事故につながる恐れもあります。
飛び石でフロントガラスが損傷すると、視界が妨げられて危険なだけでなく、整備不良で車検に通らなくなる可能性もあります。飛び石の被害にあってしまったら、安全を確保したうえですぐに応急処置を行い、専門の業者に依頼して修理や交換を行いましょう。
1.1.飛び石の傷が原因で車検に通らなくなるケース
フロントガラスに関する車検の合否基準としては、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第195条第2項に次の2点が定められています。
- 損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであること
- 容易に貫通されないものであること
このような基準はあるものの、どのような傷やヒビなら合格なのか、具体的な位置や大きさの基準は定められていません。そのため、実際の車検では整備工場が定める基準や個々の検査員の判断で合否が決定されます。
フロントガラスの損傷は重大事故に直結する恐れもあることから、安全面を考慮して、少しでもヒビがあると不合格と判断されるケースが多いようです。そのため、飛び石が原因でフロントガラスが傷ついた場合、傷が修理で対応できる範囲であれば修理を行い、修理できないケースではガラスを交換して車検を通すことになります。
2.飛び石でフロントガラスが傷ついた直後の応急処置
走行中に飛び石でフロントガラスが損傷してしまったときは、すぐにハザードランプを点灯させ、安全な場所に停車して状態を確認しましょう。
傷やヒビが視界を妨げるような位置・大きさの場合は、無理に運転せず、ロードサービス(ロードアシスタンス)に連絡してレッカーを手配してもらいましょう。レッカーが必要か判断に迷ったときもロードサービス(ロードアシスタンス)に連絡し、状態を伝えて指示を仰いでください。
フロントガラスが損傷したときは、すぐ業者に修理を依頼するのが基本ですが、状態が悪化しないように、応急処置をしておくことも大切です。具体的には、傷やヒビに水分や汚れが入り込まないよう、表面に付いた水分や汚れをしっかり取り除き、その上からヒビを完全に覆う幅の保護用の透明なテープ(セロハンテープ、OPPテープなど)を空気が入らないように貼り付けます。
修理が完了するまでは、洗車したりワイパーを動かしたりしないようにしましょう。また、急ブレーキや急発進、段差への乗り上げなど、フロントガラスに負荷のかかる運転も避けてください。
3.フロントガラスの修理か交換かの判断基準と、費用や時間の目安
飛び石によるフロントガラスの修理や交換は、ディーラーやカー用品店、自動車ガラス専門店などの業者に依頼することが可能です。傷やヒビの状態によって、修理で済むケースもあれば交換が必要になるケースもあり、かかる費用や時間も変わってきます。
3.1.修理か交換かを判断する目安
修理できるか交換が必要になるかは、傷やヒビの位置や大きさによって変わってきます。修理できる傷・ヒビの目安としては、次のとおりです。
- 傷・ヒビの大きさが500円玉よりも小さい
- 傷・ヒビがガラスの縁から10cm以上離れた場所にある
- 傷・ヒビがデフロスター(霜取り装置)の風が当たらない場所にある
傷がガラスの縁に近い場所にある場合やデフロスター(霜取り装置)の風が直接当たる場所にある場合は、修理をしても傷が拡がってしまう可能性が高く、傷が小さくても交換が必要になります。
なお、上記はあくまで目安であって、明確な基準はありません。自分で安易に判断せず、修理業者などの専門家に相談しましょう。
3.2.修理や交換にかかる費用や時間の目安
飛び石によるフロントガラスの修理・交換を業者に依頼した場合にかかる費用と時間の目安は、下表のとおりです。
| 作業内容 | 費用 | 時間 |
|---|---|---|
| 修理 | 1.5万円前後~(※1) | 30分~60分程度(※2) |
| 交換 | 5万円~25万円程度(※1) | 数時間~1日程度(※2) |
※1:車種や使用するガラスの種類によって幅があります
※2:作業を外部委託しているディーラーなどに依頼した場合は、修理で数時間以上、交換で1日以上かかることもあります
実際にかかる費用や時間は、傷の程度や車種、使用するガラスの種類、依頼する業者によって異なります。
また、フロントガラスにADAS(先進運転支援システム)や自動ブレーキに必要なセンサーやカメラが取り付けられている車の場合、フロントガラスの交換後には、これらが正常に作動するかを確認し、校正・調整を行う「エーミング」という作業が必要です。
エーミングには1か所につき1~2万円程度の費用がかかるため、見積りを取る際には「エーミングの費用も含まれているか」も確認しておきましょう。エーミング費用は、車種や調整する部品、依頼する業者によって異なります。
4. 傷ついたフロントガラスを自分で補修は可能?
ごく小さな傷であれば、市販されているリペアキットを使って自分で補修することも可能です。しかし、慣れていないと作業は難しく、かえって状態を悪化させたり、専門業者による再修理ができなくなりガラスの交換が必要になったりする恐れもあります。また、専門業者が使用する機材や高品質な樹脂に比べて、市販キットは強度や耐久性、透明度などが劣るケースが多く、仕上がりにも差が出ます。安全のためにも専門業者に依頼するのが賢明といえるでしょう。
5. フロントガラスの修理に車両保険は使える?
飛び石によるフロントガラスの損傷は、一般的に「物の飛来・落下」による事故として自動車保険の車両保険で補償されます。
例えば、損保ジャパンの個人用自動車保険『THE クルマの保険』の場合、車両保険のご契約タイプとして、補償範囲が広い「一般条件」と補償範囲が限定される代わりに保険料がお手頃な「車対車事故・限定危険」がありますが、飛び石はいずれのご契約タイプでも補償の対象です。
ただし、実際に保険を使うかどうかは、受け取れる保険金の額と翌年以降の保険料への影響を比較したうえで、慎重に判断する必要があります。
飛び石による事故で保険を使用する場合、「1等級ダウン事故」として、翌年度の等級が1等級下がり、さらに「事故有係数適用期間」(無事故に比べて保険料が割増になる期間)も1年間加算されるため、通常、翌年以降の保険料が上がってしまいます。
また、車両保険に自己負担額(免責金額)が設定されている場合、支払われる保険金の額は、損害額から自己負担額を差し引いた金額です(分損の場合)。損害額よりも設定している自己負担額が大きい場合は、保険は使用できません。
傷が修理で対応可能なもので、修理費用が1~2万円程度で済む場合は、保険を使うことによる翌年以降の保険料の上昇分が支払われる保険金額を上回る可能性があります。この場合はあえて保険を使わず、修理費用を自己負担したほうがトータルの負担を抑えられることがあります。
一方、フロントガラスの交換などで修理費用が10万円を超えるような場合は、自己負担額の設定にもよりますが、保険を使ったほうが有利なケースが多くなります。
保険を使うべきか迷う場合は、加入している保険会社で保険を使った場合の将来の保険料を試算してもらったり、相談に応じてもらったりすることが可能です。
6.フロントガラスが傷つく前に、今からできる飛び石への対策方法
飛び石の被害を完全に防ぐことはできませんが、ご自身でできる対策としては次のようなものがあります。
- 車間距離を広めにとる
前の車との間隔を広くとることで、飛び石が発生してもフロントガラスに当たる確率を下げることができます。 - なるべく大型車の後方を走らない
トラックなどの大型車の後方は、路面からの跳ね上げだけでなく、タイヤの溝に挟まっていた石が外れて飛んでくる恐れもあり、飛び石の発生リスクが高くなります。また、土砂を積載したダンプカーの後方も、小石などが舞い上がって落ちてくる恐れがあるため要注意です。大型車の後方を走るのはなるべく避けたいところですが、やむを得ず後方を走らなければならない時は、普段以上に車間距離を空けることを意識しましょう。 - 速度を出し過ぎない
速度が出ていると飛び石に当たってしまったときの損傷が大きくなる可能性があります。特に工事現場の近くや舗装の荒い道など、飛び石のリスクが高い道を走るときは速度を抑えるようにしましょう。 - 保護フィルムを活用する
フロントガラス専用の保護フィルムを活用するのも有効な対策です。費用はかかりますが、フロントガラスの表面に強度のあるフィルムを貼ることで飛び石の衝撃を吸収・緩和し、損傷を防止・軽減する効果が期待できます。
7.まとめ
飛び石によるフロントガラスの損傷は、たとえ小さな傷でも、重大な事故につながったり、車検に通らなくなったりする恐れがあるため、早めの対処が重要です。
飛び石の被害にあってしまったら、まずは安全を確保し、傷やヒビに水分や汚れが入らないよう応急処置を行ったうえで、専門業者に相談しましょう。状態によっては修理で対応できる場合もありますが、傷の位置や大きさ次第ではガラス交換が必要となり、費用も大きく変わります。
また、飛び石は一般的に車両保険の補償対象ですが、受け取れる保険金の額と等級ダウンによる翌年以降の保険料への影響や設定されている自己負担額を踏まえて、保険を使うべきか慎重に判断することが大切です。日頃から車間距離を保つ、速度を抑えるなどの飛び石対策を心がけ、いざというときに落ち着いて対処できるように備えておきましょう。
※本コラムの記載内容は、特段の記載がない限り、損保ジャパンの保険商品ではなく、一般的な保険商品の説明としています。
※損保ジャパンの保険商品に関する内容は、2026年1月1日以降始期契約における補償内容等の概要をご説明したものです。詳しい内容については取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。
SJ25-57091(2026.03.06)
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