“火育キャンプ”のすすめ①|火に親しみ、生きる力を育む
木を集め、マッチを擦って、焚き火をつくる。親子で楽しむ“火育キャンプ”が子どもたちに教えてくれるものとは?
教えてもらいました
野あそび夫婦
アウトドアライフプランナーの青木達也(アオ)さんと、青木江梨子(エリー)さん。ともにキャンプインストラクターの資格をもち、夫婦でさまざまな活動を行なう。
火を扱うことの楽しさと怖さを知る
『キャンプ民泊NONIWA』を舞台に、『親子で楽しむ“火育”イベント』を手がける野あそび夫婦。“火育”とは、火の使い方や火の性質について学ぶ体験のことだが、ふたりが“火育”に着目したきっかけとは?
「『本物の火を見たことがない子どもが増えている』という話を聞いて、びっくりしたのが始まりでした。たしかに最近はIHの家庭も多いですし、自由に焚き火ができる場所も少ないですよね。『NONIWA』でなら、キャンプに欠かせない焚き火づくりを安全に体験してもらえますし、子どもたちに火を扱う楽しさや怖さを伝えることもできる。そう考えたことが、この火育イベントを企画したきっかけです」(アオさん)
SOTOの小さな焚き火台『テトラ』を使って焚き火をつくる火育イベント。自分たちの手で集めた木を組み、マッチで火を点け、自分だけの焚き火をつくる……。2時間ほどのワークショップは、そんなシンプルな内容で構成されていますが、それぞれの工程には、野あそび夫婦の火育への思いが込められています。たとえば、木の枝を拾うためにキャンプ場の裏山へ出かけるのは、焚き火に必要な木の種類を知ると同時に、五感で自然を感じてほしいから。ライターではなくマッチを使って火を点けるのは、火の熱さや動きをリアルに実感できるからです。
「木の組み方や火の点け方など、ひととおりのレクチャーはしますが、基本的には子どもたち自身が考えながら進められるようにしています。2歳くらいの子どもでも大人といっしょなら火を扱うことができますし、小学生になればひとりで焚き火をつくることも可能です。『テトラ』は小さな焚き火台なので、少し目を離すと火が消えかけてしまうことも。そんなときにふっと息を吹きかけて火が復活すると、子どもたちはすごくうれしそうな表情をするんです。自分で考えて手を動かしながら、火の楽しさや難しさを実感する。そんなワークショップになれば、と思っています」(アオさん)
焚き火の楽しさはもちろん、火の怖さや注意点を学ぶことも大切なポイントです。ワークショップでは、火を扱うときに「必ず近くに水を用意すること」や「大人といっしょに行なうこと」などが伝えられるほか、「黒い燃えカスは自然には還らないのでゴミとして扱うこと」や「難燃シートやレンガを使って植生を守ること」など、子どもだけでなく大人も知っておきたい内容についてもていねいに触れていきます。
火の扱い方を学び、感性や自信、生きる力を育む
さらに、ワークショップの終盤には、焚き火を使ってお湯を沸かしたり、マシュマロを焼いたりする時間が設けられているのもユニークです。
「自分がつくった焚き火を使って、おいしい体験をすることで、小さな達成感を得られると思うんです。自分で火を扱えたことは、子どもたちにとって“自信”になるし、次に家族でキャンプに行ったときには薪拾いなど自分にできる“役割”を意識することもできる。また、万が一の災害時などにも、『火をおこしたことがある』という経験はきっと役立つと思います」(エリーさん)
自然に身を置き、火の扱い方や特性を学ぶ火育キャンプは、子どもたちの感性や生きる力、自信を育む絶好の機会になりそうです。
キャンプ民泊NONIWA
埼玉県ときがわ町に位置する日本初の“キャンプ民泊”施設では、野あそび夫婦のレクチャーを受けながらキャンプを楽しめます。道具もすべてレンタル可能です!
文◎吉原 徹
写真◎上田 崇
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