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失敗しない!焚き火の準備と片付け方のコツ

キャンプをするうえでの醍醐味であり、アウトドアフィールドで一日をすごすときに欠かせない存在の“焚き火”。フィールドで失敗しないためにも、焚き火のキモとなる火起こしから片付けまでをマスターしましょう。

教えてくれたのは……

イルビフ店主の堀之内健一朗さんと焚き火マイスターの猪野正哉さん

(右)「ILbf」店主 堀之内健一朗さん。店名はアイラブボンファイヤーの頭文字から。

(左)焚き火マイスター 猪野正哉さん。焚き火のよさを伝えるため、たき火ヴィレッジ〈いの〉を千葉県内にオープン。一般開放はせずに、イベントや撮影場所のみ解放。

Lesson1 焚き火の準備

焚き火はもちろん、なにごとも準備は大切です。火を扱うとなると、さらに慎重になる必要があります。まずは、焚き火まわりのアイテムを把握し、ベストな環境作りから始めましょう。

必要な道具7選

料理のように素材(薪)を活かすのは道具次第。その考え抜かれた道具をうまく使えば、もっと上手く焚き火ができるはず!

1. グローブ

レザー素材のグローブ

綿手袋よりも、レザー素材のグローブがおすすめです。レザーは燃えにくく、刃物や木のささくれから手を守ってくれます。欲をいえば、防火手袋もあるとベスト。

2. 斧とナイフ

さまざまな種類の斧やナイフ

市販されている薪は、長かったり太かったりと、焚き付けのサイズに適したものが少ない場合がほとんど。刃物で短くしたり、細かくする際に使用します。

3. 焚き火台

ユニフレームのUFファイアポット

焚き火専用、調理兼用など、用途を見極めて選びましょう。初心者には、火つけが簡単なユニフレーム「UFファイアポット」がおすすめです。

4. 焚き付け・着火剤

市販の着火剤や麻ひも、スギの葉など

調理時など、スピーディーに火を起こしたいときには、着火剤の使用が有効です。スギの葉は、自然界にある天然の着火剤。市販のものもあります。

5. 火吹き棒

火吹き棒と手動のブロワー

煙が発生しているときは不完全燃焼の状態なので、火吹き棒や手動のブロワーで空気を入れましょう。直接息を吹きかけると、ピンポイントに吹くことができません。

6. 火ばさみ

トングタイプの火ばさみ

一般的にいうトングのこと。「はさむ」以外に返しが付き、鍋の蓋を取るリフターとして使えるものもあります。機能性の高いトングタイプを選ぶのがおすすめです。

7. マッチ

着火剤がついていたり風や水にも強いマッチ

着火剤が付いているものや、風や水にも強いマッチなどが発売されています。ライターより雰囲気が出るうえ、マッチ独特の匂いもよくおすすめ。

★こんなアイテムも!

レインボーフレームスティック

焚き火に投入するだけで炎がレインボーに変化し、およそ30分間、幻想的に燃え続けます。一度試してしまうとクセになる製品。

★焚き火にベストなウエア

難燃素材のジャケット

ナイロン素材を避ければ、基本的にどんなウエアでもOK。火の粉で穴を空けたくない人は、デニムや厚手のコットン、難燃素材などのウエアがおすすめです。

Lesson2 焚き火の実践

焚き火は初心者にとってハードルが高いと思われがち。そのため「結果、燃えればいい」くらいの気持ちで楽しみましょう。ちょっとした知識を覚えておくだけでも、スキルアップにつながります。

焚き火に適した薪8選

薪は焚き火の主役。焚き付けにはスギなどの針葉樹を使い、メインには広葉樹を使いましょう。薪の特性を見極めることもポイントです。

カシの薪

堀之内さんイチオシの「カシ」。火がつきにくく硬いですが、一度着火すると火持ちは抜群。

シデの薪

火つきと火持ちのバランスがよい「シデ」。熾火になったら、炭火料理の熱源としてもおすすめ。

サクラの薪

香りもよく、燻製料理に最適な「サクラ」。火持ちはそれほどでもありませんが着火は優秀。猪野さんのおすすめ。

ナラの薪

キャンプ場などでも売られ、手に入りやすい一般的な「ナラ」。火つきは悪いため、細かくして使用を。

クリの薪

はぜるときのパチパチとした音を楽しめる「クリ」。湿っていると火の粉が飛びやすいので注意。あまり市販されておらず貴重。

エノキの薪

青白い炎が特徴的な「エノキ」。硬いため、薪割りには苦労します。火持ちは悪いため、別の薪も用意しておきましょう。

クヌギの薪

ザ・焚き火におすすめの「クヌギ」。火つきこそ悪いですが、パチパチと音をたてて長く燃えます。

ケヤキの薪

密度が高いわりに燃えやすく、長持ちする代わりに薪割りは大変な「ケヤキ」。焚き火鑑賞用にうってつけ。

薪の割り方3選

焚き付けや焚き火台に合ったサイズにカットしましょう。薪の硬さ、太さによって薪割り方法も変わります。グローブ着用は必須。

1. 割り台を使う

割り台を使って薪を割っているようす

キンドリングクラッカーという方法で、初心者におすすめです。割り台のほうに刃が付いているため安全で、ハンマーで叩くだけでOK。

2. ナイフを使う

ナイフを使って薪を割っているようす

細くなると斧や鉈では難しいため、ナイフの根元をあて、薪をハンマー代わりにするバトニングという方法も有効です。グローブ必須。

3. 斧を使う

斧を使って薪を割っているようす

ワイルドに割るなら斧。薪の太いほうを上にすることで割りやすくなります。薪に節目があると割りづらいので、確認しましょう。

★ポイント

細かくした薪

細かくした薪をすべて焚き付け用に使わずに残しておくと、火が弱くなったときに足すことができます。割り箸も有効です。

薪組の種類3選

焚き火台の火床や目的によって、薪の組み方はさまざま。まず大事なのは、安定させて薪を組むことです。風向きを見て空気の通り道を確保しましょう。

1. 調理用

枕木を横に這わせ放射状に薪を組んだようす

並列型ともいわれ、枕木を横に這わせ放射状に薪を組んでいくと完成。炎が一点に集まり、温度調整がしやすいため調理に向いています。薪が長持ちする利点も。

2. 井桁

交互に薪を組んだようす

交互に薪を組み、中央に小枝などの焚き付けを入れます。キャンプファイヤーのように勢いよく豪快に燃えるため、そのぶん消費量は多くなります。

3. ティピー型

薪を立てて組んだようす

テントのティピーのように薪を立てて組む方法。燃焼効率がよく、炎の見え方もキレイ。しかし、薪が燃えてくると崩れるため、火の粉が飛ぶ恐れがあります。

火付けの手順

着火とともに、非日常な焚き火時間がスタート。薪割り、組み方さえきっちりと準備しておけば、火起こしは成功といっても過言ではありません。

火つけの順番
マッチやライターで着火剤に火をつけ、細かくした薪や枝から徐々に太い薪に火が燃え移るのが理想です。けっして省略しないようにしましょう。

1. 着火剤をいちばん下に

焚き火台に着火剤を置いたようす

小分けされているパラフィンの着火剤が使い勝手がよくおすすめ。ない場合は、よく燃えるスギの葉、シラカバの皮を代用しましょう。麻ひもをほぐせば、着火剤としても使えます。

2. 焚き付けを入れる

焚き火台に焚き付けを入れたようす

細かくした薪はもちろん、薪割り時に出た切り屑も入れましょう。落ちている乾いた小枝も使えます。湿っていたらナイフで乾いているところまで皮を剥くとgood。

3. 細木で薪組する

細木で薪を組んだようす

太い薪を組む前に、細木でも同様に組んでおくと効率よく燃えます。スペースができる中央に、さらに焚き付けになる枝などを縦に差し込んで埋めていきましょう。

4. 焚き付けに点火する

焚き付けに点火しているようす

ノズルの長いライターかマッチで点火します。ピンポイントで着火剤に火をつけたいため、着火口を決めておきましょう。風上側に着火口を向けておくと、空気の力も取り込めます。

5. 火が大きくなるまで待つ

火が大きくなるまで待っているようす

火がつくと、つい薪を触りたくなりますが、着火剤の力を信じてグッと我慢することが大切。炎が安定するまでは、けっして触らないこと。

6. 安定したら薪を足していく

太い薪を入れたようす

初めの段階で太い薪を組んでおいてもよいでしょう。焚き付けだけが燃えきり、火が消えてしまうこともあるので、焚き付けの火が充分に細木に燃え移ってから、太い薪を入れるとgood。

コツとポイント

炎が弱まるなど、火つけの際に困ってもコツとポイントさえ覚えておけば、炎は復活可能。着火剤をバンバン入れなくても大丈夫です。

1. 火吹き棒を使う

火吹き棒で空気を入れているようす

煙が出ている状態は、不完全燃焼の証拠。燃焼するための空気が足りてないので、火吹き棒で空気を入れましょう。

2. 細木を有効活用する

細木を足しているようす

太い薪に燃え移るまでの時間、細木などを足すことで火力が上がり助けとなります。細木は常備しましょう。

3. 立てかけて薪を乾かす

薪を立てかけて乾かしているようす

湿気や濡れによって薪が燃えにくい場合は、くべる前に焚き火の熱で乾かしましょう。湿気が多い地面への直置きはNG。

後片付けの仕方

キャンプ場によっては、燃え残った炭や薪を引き取ってくれるところもありますが、自己責任として片付けまで完結できるようにしましょう。

火消し壺に燃え残った薪を入れているようす

火消し壺を使う
専用の火消し壺も発売されていますが、ステンレス製で蓋がついているものであれば代用できます。BBQでの炭も同様です。

ルールとマナー

基本中の基本ですが、改めてここで確認し、快適な焚き火を楽しみましょう。

残った炭は持ち帰ろう

燃え残った薪

誤解があるようですが、炭は自然に還りません。環境破壊のもとになるうえ、見た目も美しくないため、片付けまで自己完結できる範囲で楽しみましょう。

新聞紙や段ボールは使わない

新聞紙と段ボール

よく焚き付けに使われますが、火がついたまま飛んでしまうと、テントやタープなどに穴を空けてしまうことも。落ち葉も同様です。

文◎猪野正哉 
写真◎アラタジュン




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