薬の正しい保管方法や使用期限とは?
家に使いかけの薬や、何年か前にもらった薬が保管してあります。風邪薬があったので使用したいのですが、薬って使用期限などはあるのでしょうか。また、正しい薬の保管方法について知りたいです。
直射日光を避け、湿気の少ない場所に置いて期限内に使用しましょう。
医師に処方してもらった薬や薬局で購入した薬。救急箱に残ったままになっている方も結構多いのではないでしょうか。もちろん、困った時用に常備薬として風邪薬や熱冷ましを置いておくことは大切です。ただ、薬も言ってみれば生もの。ものによって異なりますが、通常は製造後3−5年という使用期限が必ず定められていますし、使用期限内であったとしても、時と場合によっては飲んだり使ったりしない方が良いケースもあります。
薬はどんな風に保存し、どんなことに気をつけて使用するのが良いのか、ポイントをまとめてみましょう。
■基本は直射日光の当たらない、湿気の少ない場所で
薬は直射日光が当たらず、湿気の少ない場所に保管するのが基本です。固いプラスチックのケースに入った(PTP包装といいます)錠剤やカプセル、また、アルミの袋に入ったような粉薬などであれば、戸棚の中の救急箱でも良いですし、お菓子の入っていた缶箱に吸湿剤とともに保管しておくと良いでしょう。
ただ、注意すべきものはいくつかあります。
■冷蔵保存が必要なもの
1つは、冷蔵保存が必要なものです。糖尿病の治療にインスリンという薬が使われます。これは、温度によって製剤が変化するため、未使用の場合には冷蔵庫に保管しておく必要があります。ただ、一旦使用を始めれば室温保存とし、冷蔵庫に入れてはいけません。
また、子どもの解熱などに使われる坐薬など、体温で溶けるように作られているものは、冷蔵庫での保存が安心なこともあります。
■速やかに飲み切る必要のあるもの
もう1つは、飲みやすい工夫として薬局で一包化されているものです。薬の錠数が多いとか、小児科の薬で分量に調整が必要ということで、製薬工場から出荷されたままの形ではなく、薬局でそれを一旦開封して、新たに包み直したもののことです。
これらは、基本的に処方された期間内に速やかに飲み切るようにしてください。粉薬の場合が多いですが、錠剤やカプセルなどにも湿気や日光に弱いものがあります。乾燥剤を同封した缶などの中に保管し、医師の指示通りにきちんと使用するようにしてください。
■見た目に異常がある場合は相談を
あと、全般に言えることですが、カプセルや錠剤の色や形が変わっていたり、何かがしみ出ているように見えたりする場合や、粉薬が固まっているような場合、またインスリンなどの注射剤で色が変わったり濁ったりしている場合には、お薬の保管がうまくいっていないことも予想されます。
そのようなときには、予想通りの効果が期待できなかったり、予期せぬ副作用が出る恐れがあります。
薬をもらうときに保存方法を確認しておくとともに、もしそのようなことがあれば、処方箋を調剤してもらった薬局や処方医に、どうすれば良いのかを相談することをおすすめします。
医師・医学博士 狭間 研至
健康的な生活を維持するために大切なことをお伝えします。
外科医として医療の現場で診療を行うとともに薬局運営も行う中で、病気予防の必要性を痛感しています。健康維持のために、日頃からできることや健康診断・検診の必要性をお伝えしていきます。
【URL】 | http://www.pharmedico.com/index.html |
---|---|
【資格】 | 医師・医学博士 |
【執筆】 | 「薬局マネジメント3.0」(評言社)、「薬局が変われば地域医療が変わる」(じほう)、「薬剤師のためのバイタルサイン」(南山堂)、「薬局3.0」(薬事日報社)、「外科医 薬局に帰る」(薬局新聞社)、「がんにならないのは、どっち」(リンダパブリッシャーズ) など多数 |
※上記に関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。