健康診断結果のコレステロールの見方、LDL・HDLの違いや基準値とは?
健康診断の結果を見ると、2種類のコレステロールが載っています。これらは何が違うのでしょうか。また、それぞれの基準値について教えてください。
低すぎても高すぎてもよくない!?コレステロール値の本当のところ
健康診断の血液検査で気になる項目の1つが、コレステロールではないでしょうか。食べ過ぎや運動不足、それに伴う肥満などを気にする人が多い現代社会では、血液中のコレステロールが基準値より増えすぎていないかというのはやはり気になるものです。健康診断で行われる血液検査では、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類が測定されることが多いです。この2つはどう違うのか、また診断結果の値をどう捉えれば良いのか、そのポイントをご説明します。
■コレステロールの役割とは?
まず最初に申し上げておきたいのは、コレステロールは基本的に私たちの体に必要なものだということです。肌に潤いや張りを持たせたり、体をきちんと動かすためのホルモンの原料になったりと大切な役割を担っています。しかし、何事も取り過ぎは禁物です。摂取するコレステロールが多くなりすぎて基準値を上回ると、動脈硬化が起こりやすくなってしまうため、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞など命に関わる病気につながりかねません。ある程度はないと困り、基準値を超えても困るというのがコレステロールなのです。
■低く抑えたい悪玉コレステロール
コレステロールは体の中を循環しており、その時々によって形態が異なります。LDLコレステロールは、肝臓に溜まったコレステロールを全身の隅々まで運ぶ際の形です。食べ過ぎや飲み過ぎなどでカロリーオーバーとなり、肝臓にコレステロールが溜まった場合には、それをLDLコレステロールという形にして、血液に乗せて全身に運びます。運ばれた末梢でコレステロールは血管の中に入り込み、それが原因で動脈硬化が起こります。よってLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。一般に基準値である140mg/dlを超えれば高LDLコレステロール血症と呼ばれます。
■体に必要な善玉コレステロール
一方、運動や食事制限が上手くいって、全身の脂肪が肝臓へと運ばれる時の形がHDLコレステロールです。HDLコレステロールは逆に「善玉コレステロール」とも呼ばれ、基準値である40mg/dl未満であれば低HDLコレステロール血症と呼びます。このように、LDLコレステロールとHDLコレステロール、名前は似ていますが、前者は全身に脂がまき散らされるときの形態、後者は全身の脂を肝臓に集めてくるときの形態だとわかります。そうするとそれぞれの値、どちらが高くどちらが低くあるべきかということも、思い浮かべやすいのではないでしょうか。
■食生活の改善が必須
コレステロールは食事の内容と密接に関わりがあります。やはり、牛や豚などの肉や脂をたくさんとっていると、悪玉コレステロールは当然増えやすくなります。肉や脂ばかりたくさん食べている方は、薬に頼る前にまずは運動や食事といった生活習慣を改善してください。ただ、同じ脂でも、魚の油は善玉コレステロールを上げてくれる役割があります。
最近では良い薬がいくつも開発されています。もし健康診断で、基準値を上回るコレステロール値を指摘された場合には医師の診察を受け、必要に応じた薬を服用しながら、運動や食事といった生活習慣の改善にも取り組むことが重要です。
医師・医学博士 狭間 研至
健康的な生活を維持するために大切なことをお伝えします。
外科医として医療の現場で診療を行うとともに薬局運営も行う中で、病気予防の必要性を痛感しています。健康維持のために、日頃からできることや健康診断・検診の必要性をお伝えしていきます。
【URL】 | http://www.pharmedico.com/index.html |
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【資格】 | 医師・医学博士 |
【執筆】 | 「薬局マネジメント3.0」(評言社)、「薬局が変われば地域医療が変わる」(じほう)、「薬剤師のためのバイタルサイン」(南山堂)、「薬局3.0」(薬事日報社)、「外科医 薬局に帰る」(薬局新聞社)、「がんにならないのは、どっち」(リンダパブリッシャーズ) など多数 |
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