ガス欠を起こしたときの対処方法とは?
先日、実家の父が車を運転した際に、外出先でガス欠を起こしてしまったそうです。きちんとガソリンの量を見ていなかったことも問題とは思いますが、実際に外出先でガス欠になった場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
ガス欠の場合、ロードサービスに連絡するか、緊急の場合はガソリン携行缶で対応します。
最近のロードサービスの出動理由として、燃料切れ、つまり、ガス欠で立ち往生する車が少なくないと報告されています。
エコのため総重量を軽くしようと燃料を少しずつ給油したり、お金がないから使う分だけ燃料を給油する人が多いことや、ガソリンスタンドの数も年々減少傾向にあることから、ガス欠を起こすケースが増えてきているようです。
ロードサービスや知人に連絡をして、ガソリンを補給してもらう
ガス欠を起こしたら、ロードサービスや友人知人に電話して燃料を持参してもらうほか、手だてはありません。
ロードサービスに連絡する場合は、加入している自動車保険の補償内容を確認してみましょう。自動車保険によっては、ガス欠を起こしたときに対応してくれるロードサービスが付いている場合もあります。
ガソリンスタンドでガソリンを購入する
もう一つの方法は、自分で最寄りのガソリンスタンドまで行き、5〜10Lのガソリンを持ってくることも考えられます。しかし、ガソリンの携行にはスチール製の携行缶が法律で定められているため、対応できるのはフルサービスのガソリンスタンドに限ります。フルサービスのガソリンスタンドでは、デポジット(預かり金)を支払うことで、スチール製の携行缶を借りることができます。ガソリンスタンドによっては、携行缶のレンタルを行っていない場合もあるので注意しましょう。
また、セルフサービスのガソリンスタンドでは条例によって車・バイク以外にガソリンの給油をすることは禁止されているので、必ずスタッフのいるガソリンスタンドに相談するようにしましょう。ガス欠を起こしてしまった場合は、車を安全な場所に移動し、燃料を入手することが先決です。
最近話題となっている電気自動車で燃料不足になった場合は、さらに燃料供給が難しくなります。充電スタンドを持参することができないので、燃料不足になった場合は、車を牽引する必要があります。
ガス欠時、携行缶でガソリンを給油する方法とは
ガス欠を起こしてしまった場合の応急処置として、ガソリン携行缶で給油する場合の方法をご紹介します。
(1)ガソリン携行缶のノズルをセットします。
(2)クルマの給油口を開けキャップを取り外します。
(3)ガソリン携行缶を持ち上げながら、ノズルを給油口に差込み、給油します。
このとき、ガソリン携行缶にはエア抜き用のコックが付属しているので、コックを徐々に開けると携行缶の中の空気が抜けやすくなり給油しやすくなります。
(4)給油し終わったらキャップを閉めてから、給油口を閉めます。
(5)一度ガス欠を起こすと、ガソリンをエンジンに送る燃料ポンプや、エンジン内でガソリンを噴射するインジェクターまで全て燃料通路は空になっていますので、給油してもすぐにはエンジンが始動しません。
燃料通路にガソリンが充たされるまで長くクランキング(スターターを回す)する必要があります。
執筆者: モータージャーナリスト 清水和夫
編集部からのコメント
モータージャーナリストの清水先生の解説にもあるように、一度、ガス欠を起こしてしまうと、ガソリンを補充しない限り、解決することができません。ここでは、ガス欠を起こさないようにするために注意するべき点や、ガス欠が起こす車への影響をご紹介します。
ガス欠を起こさないための注意点
長距離や山道を運転する際は必ず確認を
ガス欠を防ぐためには、ガソリンの残量を適宜チェックすることが大切です。特に長距離ドライブや山道を運転する場合は、運転に必要なガソリンが十分にあるか運転前に確認をするようにしましょう。
また、事前にドライブルートを調べ、ガソリンスタンドの場所を確認しておくことも大切です。山道などルートによっては、長い間、ガソリンスタンドがない場合があります。山道に入る前の最後のガソリンスタンドがどこにあるのかを把握しておくことで、ガス欠を防ぐことが可能になります。
ガス欠は、車に負担を与えることも
ガス欠は、車が運転できないということだけでなく、繰り返すことで車にダメージを与えてしまうということもあります。
ガソリンが入っていない状態で、エンジンを空回しすることで、燃料ポンプやバッテリーといった部品を損傷する可能性があります。
ガソリンが減ってきている状態でエンジンを掛けると、各燃料機器に必要なガソリンが不足した状態で、無理にエンジンを動かすことになってしまいます。またガソリン補充後もガソリンが届くまでには、エンジンを掛けても空回ししている状態となります。このような状態を繰り返すことは、燃料ポンプやバッテリーといった部品の損傷に繋がり、通常の寿命よりも早めに交換が必要になるケースもあります。
ガス欠をしても補充すればいい…と考えるのではなく、ガス欠をしない運転を目指すようにすることが大切です。
エンプティランプが点灯してからでも大丈夫?
よく、エンプティランプが点灯してから何キロ走行できるの?50キロは走行できるの?という話になりますが、車種や燃費、走行状況によって異なるため、安易に判断するのは非常に危険です。
例えば、車体が傾いている場合は、燃料タンクの吸い口からガソリンを吸うことができずに、想定よりも早くガス欠で動かなくなってしまうということも。エンプティランプの点灯は給油が必要ということです。「まだ大丈夫!」と考えるのではなく、すぐにお近くのガソリンスタンドを探すようにしましょう。
モータージャーナリスト 清水和夫
環境問題という点から車とエコについて解説します。
国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして自動車の運動理論や安全性能を専門にしつつ、最近ではクルマ好きが考える安全と環境をライフテーマとして執筆しています。
【URL】 | http://kaz-administration.blogspot.com/ |
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【メディア】 | 「ディーゼルこそが、地球を救う」(ダイヤモンド社)、「車安全学のすすめ」(NHK出版) 、「モーターマガジン」「ENGINE」「GENROQ」などで連載中、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレターとしての出演も多数。 |
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