鉄剤についてきちんと知ろう
鉄欠乏性貧血の治療には、錠剤・粉薬・シロップ剤などの鉄剤が用いられます。経験がある方もいらっしゃると思いますが、こうした鉄剤を服用した後には気分が悪くなることもあります。どちらかと言えば、シロップ剤では副作用が少ないという声も多いようですが、やはり副作用がゼロというわけではありませんし、薬価は錠剤のほうが安くなります(※最初に錠剤を用いられる理由の1つが薬価のためです。治療期間が長くなるほど、薬価の差額は大きくなります。下記参考を)。どうしても服用ができない場合には、注射剤で鉄分を補うという治療を行うこともあります。
一日当たりの薬価ですので、2週間処方される場合にはこれらに14をかけて、その10~30%(医療費負担率によります)が自己負担額の目安です。診察料・処方料などは含んでいません。1カ月だとさらに倍、治療期間が長くなるほど薬価の差額も大きくなります。
仮に3割負担だと・・・ 錠剤 96.6円 散剤 95.8円 シロップ 427.1円 注射用剤 672円 (注射を外来で連日行う場合には、毎日の診察料・注射料も発生しますので、薬価以上に割高です。注射剤を用いる場合、入院の上で行うことが一般的です。)
鉄剤服用の際の注意点
また、こうした副作用を抑えるために、胃薬を飲まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、胃薬の中には鉄分の吸収をさまたげてしまうものもありますから、飲み合わせには注意が必要です。
以下のお薬は鉄剤との飲み合わせに注意! ・抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系、一部のセフェム系) ・甲状腺ホルモン剤 ・制酸剤 ・タンニン酸含有食品(※)
(※)従来は緑茶や紅茶と一緒に鉄剤を服用することは避けるべきとされていましたが、近年では治療のために投与する鉄含有量に比べてタンニン酸が結合する割合は少ないため、それほど重視しないという考え方が広まってきています。