初心者とペーパードライバーの方のための運転術2回目です。 前回は乗り込んでエンジンを掛けたところで終わってしまいましたが、そのまま長い時間止まっているのは感心しません。昔は「暖気運転」と言って、エンジンをある程度暖めてから走り出すのが良いとされていましたが、それは過去の常識。現代のクルマに暖気運転は必要無いばかりか、行うと環境にもよろしくないのです。
エンジンから出る排気ガスは、排気管に取り付けた「触媒」という部品でキレイにされます。そしてこの触媒は始動直後の冷えているときの効きが最も悪いのです。したがって、エンジンを掛けたあと止まっていると、周囲に汚れた排気ガスを沢山出してしまう事になります。それよりも早く動き出して汚れた排気ガスを薄めつつ、触媒の温度を早期に上げてやった方が環境には優しいのです。それに無用のアイドリングは燃料も無駄になります。 しかし暖気がまったく不必要なわけではありません。エンジンだけでなく、クルマの各部を走りながら徐々に暖めて行くのが良いのです。ですから、走り出してから水温計の針が動き出すくらいまではアクセルを深く踏み込まず、速度も控えめに心掛けるのがベストの走り方と言えるでしょう。実際に車を動かしてみましょう
ではスタートしましょう。クラッチペダルのあるマニュアル・トランスミッション(MT)車は今や少数派なので、オートマチック・トランスミッション(AT)で話しを進めます。ブレーキペダルを踏みながらシフトレバーをDのポジションまで動かすとタイヤに駆動力が伝わります。ただしパーキングブレーキが掛かっていますし、ブレーキペダルも踏んでいるのでクルマは止まったままです。ただ、稀にパーキングブレーキの効きが甘く、ズルズルと走り出す事もありますから、パーキングブレーキの解除は必ずブレーキペダルを踏みながら行いましょう。
ちなみに、パーキングブレーキには様々な形式があります。シフトレバー後方にあるレバー式の場合は、先端のボタンを押しながら下に下げます。足踏み式の場合は、解除レバーかもう一度パーキングブレーキペダルを踏むと解除となります。このほか最近は電子制御式も出て来ており、これはスイッチで解除するか、あるいはそのままアクセルを踏んで走り出すと自動的に解除されます。ご自分のクルマがどのタイプかは、取り扱い説明書で確認しておきましょう。
アクセルの操作方法
Dレンジに入れてパーキングブレーキを解除し、ブレーキペダルから力を抜くとアクセルを踏まなくてもクルマはソロソロと前進し始めます。これがATに特有のクリーピングという状態です。
ただし、クリーピングがクルマを動かす力はとても小さいので、上り坂や、タイヤの前に段差があるときは動き出しません。上り坂がきついと後ろに下がる事もあります。乗っているクルマのクリーピングがどのくらいの強さか、そしてアクセルをどのくらい踏み込むとどのくらい加速するか、まずその反応の度合いを身体に覚えさせましょう。
もちろんアクセル操作は「穏やか」が基本です。急に踏み込むと急加速し、慌ててしまいかねませんし、急加速は燃費も悪化させます。穏やかさを基本としながら若干の緩急を付けて、そのときクルマがどう反応するかを覚えるのが、運転のスムーズさにつながる最初のコツです。
ブレーキの掛け方
ブレーキも同様です。どのくらい踏み込むとどのくらい制動力が出るか。その度合いを覚えます。こちらも緊急の場合以外は穏やかに踏み込むことが基本。ペダルにはある程度の遊びがありますから、どこまで踏み込むと効き始めるかを覚えましょう。そして徐々に踏力を増して止まる位置が近づいたら、停止する直前で力を少し抜きます。一定の強さで止まるまで踏み続けていると、最後にガクンと止まる「カックンブレーキ」になりがちです。
他に交通のある道路でやる事なので、クルマに慣れるまで、あまり遠くには行かず、家の周りでアクセルとブレーキの感覚に慣れるようにしましょう。思うように走り/止まれれば、少しずつ余裕が出て、肩の力も抜けて来ると思います。