山手トンネルの開通による効果
当コラムの最終回は、首都高の渋滞について述べてみたいと思います。 2010年3月28日、首都高中央環状線・山手トンネルが、大橋ジャンクションを介して首都高3号線と接続されました。以来、首都高の渋滞パターンが、大きく変わっています。
変化は2年半前の山手トンネル開通時から徐々に表れていましたが、2010年の開通でそれが決定的になったと言えます。
具体的には 変化その1 夕方から夜にかけて、3号線・4号線の下り渋滞が大幅に悪化した。 変化その2 午前中より、夕方から夜にかけての渋滞の方が、はるかにひどくなった。 変化その3 渋滞する日としない日の差が、非常に激しくなった。
全体としては、首都高の渋滞は減少傾向にありますが、混む日・混む時は集中豪雨的に渋滞するので、そこに注意が必要なのです。かつて首都高と言えば、渋滞のほとんどは上り線で、下り線が混むことは一部を除いてほとんどありませんでした。それは、首都高の構造に問題があったからです。
首都高は、都心環状線を通過しなければ、都心を横切れない構造でした。しかし10本の環状線が集中する都心環状線は常に容量不足で、横切りたくてもなかなか横切れない。おかげで都心環状線との接合点を先頭に常に渋滞していて、それがダムの役割を果たし、反対側の下り線には、常にちょうどいいくらいのクルマしか流れなかった。それが原因で、首都高の渋滞と言えば「上り線だけ」と言ってもよかったのです。
しかし、中央環状線が約4分の3完成したことで、その迂回路が整備されました。今や都心環状線を迂回して下り線に向かえるようになり、夕方からのピーク時、一気に下り線、特に3号線と4号線が渋滞するようになったのです。
首都高での渋滞回避策
この現象について、不満に思われている方も多いかと思いますが、これは首都高がまともなネットワークになってきたからこそで、決して「前の方がよかった」わけではありません。全体としては渋滞は減少しているが、夕方から夜にかけては集中豪雨的に渋滞するので、そこに注意が必要なのです。
対策としては、「夕方から夜にかけて(主に午後5時~7時)は首都高を使わない」こと。これが最大にして最善の策です。 この時間帯は、首都高と一般街路との所要時間がほとんど同じになっています。同じ時間かかるのに、わざわざお金を払って首都高の乗る必要はありませんよね?
しかしそれでも、多くの人は首都高に乗っています。それは多くの場合、「それしか道を知らないから」、「一度乗ってしまったら、降りて乗り直す時にまた料金を取られるから」、あるいは「一般道は交差点が多くて面倒くさいから」です。 もちろん、一般道を走るのが面倒くさいと言うなら、首都高を走るしかありません。ただ言えるのは、夕方から夜にかけては、首都高は決して速くないのです。
首都高か一般道か?
昔は、どんなに混んでいても、一般道よりは首都高が速いというのが定説でした。しかし、路上駐車取り締まりが強化されてから、一般道の流れは非常によくなりました。また、一般道の渋滞は現在でも午前8時から11時が一日のピークで、夕方から夜にかけては、午前中ほどではありません。 つまり、首都高が最も混む夕方から夜の時間帯に関しては、所要時間にほとんど差がないので、一般道を走った方がいいのです。「それでも首都高が速い」は、夕方から夜にかけてはもう過去のものです。この時間帯だけは発想を転換して、最初から一般道を走ることを考えてみてください。そういうドライバーが全体の5%いれば、首都高の渋滞そのものがなくなる、という副産物もあります。
次に渋滞する日と渋滞しない日の判断の一つとして、月や曜日でみてみるのはいかがでしょうか。
まずは「月」を見てみましょう。
★渋滞する月(渋滞が多い順) 3月 8月 12月 7月 11月 10月
★渋滞しない月(渋滞が少ない順) 5月 1月 4月 6月 2月 9月
また、1カ月のうち、最もスイスイ流れるのは初旬で、月末に向けて徐々に悪化し、25日前後でピークを迎えるのがパターンです。
次に「 曜日 」を見ます。
★渋滞する曜日(渋滞が多い順) 金 木 土
★渋滞しない曜日(渋滞が少ない順) 日祝 月 火 水
加えて、雨が降れば渋滞は2倍になる、と考えておいてください。 首都高に限らず、渋滞対策は「混んでいる時を避ける」のが最も効果的です。 では気をつけて行ってらっしゃい。