質問
先日、よく運転している近所の生活道路が、ゾーン30という区域に指定されました。ゾーン30とは、どのような区域なのでしょうか?今まで通りに運転できるのかも気になります。ゾーン30で運転するときの注意点があれば教えてください。
回答
ゾーン30では歩行者の安全に気を配りながら、時速30キロ以下で運転しましょう。
ゾーン30は、まだ日本ではあまり定着されていない区域かもしれません。今回は、ゾーン30とは、どんな区域でどのような運転をするのかについてご説明しましょう。
ゾーン30とは、どんな区域なの?
ゾーン30とは、「生活道路における歩行者と自転車の安全な通行を確保することを目的とした交通安全対策のひとつ」です。
ゾーン30として指定された区域では、自動車は30キロ以下の速度で運転する必要があります。時速30キロ以下と指定された背景には、「自動車速度と歩行者の致死率」の調査結果で、自動車の速度が時速30キロを超えると、歩行者の致死率が急激に上昇するということが影響しています。
ゾーン30では、時速30キロの速度規制をし、必要に応じてそのほかの安全対策を組みあわせ、その区域の人たちが、自動車におびやかされずに安心して生活できることを目指しています。
ゾーン30では、どんな運転をすればいい?
ゾーン30で運転するとき、ドライバーは思考を変えて、30キロ以下での走行を厳守しながら、人や自転車の動きをいつも以上に注意しなければなりません。電気自動車やハイブリッドカーは、走行音がほとんどしないため、人や自転車に認識されにくいので、さらに注意しましょう。信号のない交差点では、出会い頭の歩行者や自転車との衝突の危険が一気に高まります。あくまで、人や自転車の優先度が高いことを頭に入れ、周りに注意しながら運転しましょう。
ゾーン30の効果とは?
日本では生活道路と、それ以外の道路の区分が明確ではありません。そのため、ゾーン30を整備する地区における効果をしっかりと検証できていないという課題もありますが、生活道路を改善することで、多くの歩行者の事故を防げると期待されています。ゾーン30の効果を出すためには、やはり物理的に30キロ以上で走れないようにするハンプ(自動車の速度を抑制するための突起)の設置など、インフラを整えることが重要です。また、ゾーン30を迂回するための道路を整備し、時間帯により一方通行や通行禁止などの規制を実施する対策もあります。
生活道路での歩行者の死亡事故が増えているため、ゾーン30の理念を定着させることができれば、その数が一気に減少することも見込めます。東京では警視庁主導のもと、その対策がとられており、路側帯の設置やカラー舗装、速度を落とすハンプ・シケイン、自転車ナビマークの設置などが進められています。また、平成28年までに都内260地区、全国3105地区のゾーン30が整備されています。
進んでいる海外の交通安全対策
それでは、海外ではどのような交通安全対策に取り組んでいるのでしょうか?
欧米では、街全体がゾーン30?
欧米の交通安全対策は、日本より進んでいます。生活道路での速度規制が厳しい欧米の田舎道を走っていると、小さな街に近づくにつれ、段階的に規制走行速度が落とされていき、ゾーン30という区域になります。外国人の私にも、速度が30キロ以下に規制されていることがわかるような交通システムが作られています。
ヨーロッパでは、歩行者が優先
また、ヨーロッパの場合は、街の入口に道路の路面を隆起させたハンプを設けて速度を抑えたり、走行速度をドライバーに伝える電光掲示板を設置しています。これらの対策は、交通量を抑える効果もあります。ヨーロッパの交通安全思想は、あくまで街中は歩行者が優先であり、安心して暮らせるようなエリアを作っています。日本でも、もっと海外のような交通安全対策を進めていくことが必要ですね。事故を防ぐには、ドライバーが安全運転をするだけでなく、歩行者や自転車に対して優しい気持ちを持つことも大切です。ゾーン30の区域では、時速30キロ以下で運転するのはもちろん、周囲をよく見て、歩行者や自転車に気を付けて走行するように心がけましょう。