新車と中古車のメリット・デメリット
経済的な余裕があれば新車。限られた予算で買うなら中古車。そんな風に思いがちですが、今は残価設定型ローンやカーリースなど、さまざまな買い方があり、新車も買いやすくなっています。具体的な購入ガイドに入っていく前に、まずは新車と中古車のメリット・デメリットをリストアップしてみましょう。
新車のメリット
・最新のクルマに乗れる(安全装備も最新で安心)
・どこのお店で買っても同じクルマが手に入る
・メーカー系ディーラーで買える安心感
・新車保証がついている(3年または5年)
・初回の車検までが3年と長く、整備代の負担が軽い
・消耗品交換や故障の不安や負担が少ない
新車のデメリット
・車両価格が高額
・車種によっては納期が長い場合がある
・初期費用が高くなりがち
中古車のメリット
・車両価格が幅広く、安価なものもある
・生産が終了している車種も選べるため、選択肢が広い
・納期が早い
中古車のデメリット
・1台1台状態が違うので見極める必要がある
・消耗品交換や故障の頻度やリスクが高い
・一品物のため売れてしまったら買えない
・購入店によりお店の信頼性が未知数
・クルマによって車検がすぐにきてしまう
こうしてメリット・デメリットを列挙していくと、新車に比べ中古車のデメリットが目立ちます。だからといって「新車がオススメ」と言うつもりはまったくありません。メリット・デメリットを知ったうえで選ぶなら、中古車だって多いにアリ。でも、「新車も買いやすいよ」ということは、ぜひ知っていただきたいところです。
なぜ、新車が「買いやすい」と言えるの?
たとえば、新車で200万円のコンパクトカーを買うとしましょう。カーナビやETCなどのオプションを装着し、税金や登録にかかる費用、車検や点検費用などを定額化できるメンテナンスパックなどの諸費用を加えると、総支払い額は240万円程度と考えられます。仮に頭金なしで36回払いにしたとすると、(単純化するために金利を無視したとしても)月々の支払いは240万円÷36回=約6.7万円となります。
毎月の支払いが6.7万円となると、「それはキツイな」と思う人も多いでしょう。しかし最近では、メーカーにより残クレなどとも呼ばれる「残価設定型ローン」とよばれる新しいタイプのローンも登場しており、一般的なローンに比べて、月々の支払い額を抑えることができる購入方法として人気を集めています。
残価設定型ローンは、数年後に売却にしたときの価値(残価)を予め設定し、その分を差し引いた分だけを支払います。こちらも仮に36回にしたとすると、36ヶ月後に「車両を返却して新しいクルマに乗り換える」「現金や再ローンで残価を支払い所有する」もしくは「車両を返却して手離す」の3択から選ぶことになりますが、36ヶ月で設定する残価はおおよそ50%。つまり、月々の支払いは通常ローンのおよそ半分で済んでしまう、というわけです。
もちろん、36ヶ月時点である程度、クルマを綺麗に保っていなければなりませんが、100万円の中古車を買ったとして、3年後にいくらで売却できるでしょうか?そう考えると、3年間でかかるコストは意外と大きく変わらず、新車も手が届きやすいと言えるのです。
また、最近ではカーリースという選択もあります。リース会社から「購入」ではなく「長期貸与」を受ける形となる点が異なりますが、クルマを使用する上でのそれほど違いはありません。
カーリースは、36ヶ月や60ヶ月などで契約し、月々決まったリース料を支払います。一般的にリース料の中に税金も含まれているため、維持費の管理が楽になるのがメリットのひとつ。また、リース会社やリースプランによっては、点検費用や自動車任意保険料も含まれるので、ガソリン代と駐車場代を除くと、クルマにかかる費用はほぼ“リース料だけ”となります。
中古車は「どこで買うか」も大切なポイント
中古車情報サイトを見ていると、クルマの仕様や状態はもちろんですが、“安さ”にもつい目がいってしまいます。しかし、「安いものにはワケがある」は、クルマでも同じ。
たとえば、相場より安いクルマには、ほぼ必ずなにか“安いなり”の理由があるものです。走行距離が少し多いぐらいなら問題ないと言えますが、整備すべきところをそのままにしていたり、全体的に状態がよくなかったりなど何らかの要因があると見ていいでしょう。
もうひとつ気をつけたいのは、「支払い総額」です。相場より安い車両価格を表示しておきながら、登録代行費などの諸費用を高くすることで、結果的に支払い総額を高くする業者もあります。
中古車販売業者の中には、残念ながらグレーな業者もいないわけでもありません。少々お金はかかるかもしれませんが、良質なクルマを適正な整備やアフターフォローとともに販売するメーカー系ディーラーで買うのが、初心者の方にはオススメです。
激安車はどう?中古車選び3つの考え方
では、具体的にどんなクルマを選べばいいのでしょうか?そこには3つの考え方があると言えます。
新車感覚で買う高年式車
新車登録から3年未満のクルマであれば、過走行車でない限り、メンテナンスなどは新車とそれほど変わらない感覚で乗れます。ひとつ型落ちのモデルを、少し安く買うようなイメージです。登録をしただけで、まったく使用していない「登録済み未使用車」という選択もあります。
4~7年落ち程度のお手頃価格車
新車登録から4~7年がたつと、新車価格より30~50%程度は販売価格が下がっており、買いやすい価格帯となってきます。コンパクトカーを総額100万円程度で買うこともできますし、300万円を超える価格のクルマを総額200万円程度で狙うこともできます。
とにかく安く乗り出す激安車
30~50万円以下の激安中古車は、そのほとんどが新車から10年以上が経過しているか、10万キロを軽く超える走行距離を経たもの。経年劣化や消耗・摩耗による部品交換など、頻繁なメンテナンスを要します。交換する部品によっては10万円を超える出費となるため、この価格帯の中古車は「壊れたら乗り換える」ぐらいの割り切りを持って乗るならアリでしょう。
中古車を買うなら「どこで」「どんな」クルマを買えばいい?
ここまでお伝えしてきて、自分に合っているのはどんな買い方だと思われたでしょうか?最後にもうひとつ考えてほしいのが、「何年乗るか」です。賃貸に住んでいると、「今度はこんな部屋に住みたいな」という次の理想が出てきますよね。クルマも、それは同じ。
「最初のクルマだからコンパクトカーに」と思って買ってみると、「もっと荷物を積めるクルマにしたいな」とか「もっとパワフルに走るクルマがいいな」という理想や希望が生まれてくるものです。
いきなり長期ローンで高額な新車を買うのではなく、2~3年で次のクルマに乗り換えるつもりでカジュアルに中古車を選ぶほうが、まずは“クルマのある暮らし”を楽しんでみたいという方には良いかもしれません。まずは、メーカー系の中古車店に足を運んで、いろいろなクルマを実際に見てみてください!
文・木谷宗義/type-e、編集:ツキナガユイカ+type-e