運転の練習前に確認しておきたいこと
ハンドルを握る前に、ペダルの踏み方や標識の見分け方など、車の運転に欠かせない基礎知識を確認することが大切です。
久しぶりに車を運転する方は感覚を取り戻しつつ、安全第一を心がけて運転しましょう。
シート位置
正しい姿勢で運転するために、以下の順序でシートを調整しましょう。
1. シートに深く座り、背中を背もたれと密着させます。
2. 座面の高さを調整します。
3. ブレーキを強く踏んでも膝が伸び切らない位置に、座席の位置を調整します。
4. 背もたれを起こし、肘が軽く曲がる角度にします。
5. ハンドルを前後・上下調整します。
6. ヘッドレストを耳の高さに合わせて完了です。
適切なシート位置にすることで余裕が生まれ、長時間の運転時に疲れにくくなります。
バックミラー・サイドミラーの確認
正しい位置にミラーを調整するのは、安全運転の基本です。バックミラーは、後ろの景色が左右対称になる位置へ固定してください。サイドミラーは、鏡の内側4分の1に自分の車を、下側3分の2に路面が映るように合わせます。
調整後は前を向いたまま目だけを動かし、死角がないか確認するのがポイントです。走行中は右左折前や車線変更前に必ずミラーを確認し、周囲の状況を常に把握しましょう。
方向指示器・ライトの位置や操作は?
方向指示器はハンドルの右奥にあるレバーで、上に倒すと左、下に倒すと右に曲がることを知らせます。ライトは同じレバーの先端を回しながら切り替え、一段階回すとスモールライト、もう一段回すとヘッドライトが点灯します。また、ハイビームは夜間の安全運転に欠かせない機能ですので、操作方法を理解しておきましょう。
なお、2020年4月以降に発売された新型車(乗用車)にはオートライト機能が標準搭載されました。この機能が搭載された車両は、周囲が暗い場合(あるいは暗い場所に入った場合)にヘッドライトが自動点灯します。
※車両により異なる場合があります。必ず事前に確認してください。
ハザードランプは赤い三角スイッチを押すと点滅します。停車時や緊急時に素早く押せるように、位置を確認してください。
車の発進の手順は?
オートマチック(AT車)の場合は、以下の手順で車を発進させます。
1. シフトレバーがP(パーキング)の位置に入っているか確認し、ブレーキを踏んでエンジンを始動させます。
2. 車を発進させる際には、ルームミラーやサイドミラーで周囲に歩行者や車がいないか確認します。ミラーには死角があるので、必ず目視でも周囲を確認しましょう。
3. ブレーキを踏んだまま、シフトレバーをD(ドライブ)に入れます。
4. サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を解除します。
5. ブレーキをゆっくりゆるめ、アクセルペダルを軽く踏んで加速しましょう。
それぞれの操作を確実に行い、急発進や踏み間違えを防ぎましょう。
アクセルとブレーキの操作は?
運転席の下部にあるペダルは、右がアクセル、左がブレーキです。右足だけでペダルを操作し、かかとを床につけたままゆっくり踏み込むのがコツです。
急にアクセルを踏み込むと、前後に車体が大きく揺れる場合があるので注意しましょう。また、アクセルとブレーキの踏み違えを防ぐため、発進前に数回ペダルを軽く踏んで反応を確認してください。
運転に慣れていない方は、サイドブレーキをかけたままギアをN(ニュートラル)に入れ、ペダルの深さと戻り具合を確かめてから発進すると安心です。
道路標識の意味
久しぶりに運転する場合、道路標識の意味をあいまいに覚えていると、重大な事故につながる場合があります。
道路標識には見た目が似ていて、間違えやすいものもあります。混同しやすい道路標識の一例を挙げてみましょう。
標識 | 意味 | 間違えやすい標識 | 意味 |
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指定方向のみ進行可能 |
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標識が設置された道路の通行不可 |
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駐車・停車が禁止の場所 (8時から20時) |
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駐車が禁止の場所 (8時から20時) |
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この先は矢印の方向のみ進行可能 |
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交差点で信号が赤でも左折可能 |
色や丸の中の線で指示が異なる標識もあります。運転前に標識一覧を確認し、路上で間違えないようにしっかりと覚えましょう。
車両感覚は大丈夫か
しばらく運転していない方は、車両感覚を取り戻す練習が必要です。車両感覚を保っていないと運転がおぼつかず、車線変更の際に車がふらついたり、駐車時に車が枠からはみ出したりと、事故や迷惑行為を起こしかねません。
車両感覚を取り戻すには、いくつのポイントがあります。まずは、ミラーやシートの位置をしっかりと調整しましょう。ルームミラーは「リアウインドウが全面見える位置」に、サイドミラー(ドアミラー)は「車体の1/4、また下側3分の2に路面が映る位置」に調整することがポイントです。また、シートは「ハンドルを握る際に軽く肘が曲がる位置」を意識し「ハンドルが胸の前に来る高さ」に合わせましょう。
また、運転の際には急ブレーキを避けるために「2台前の車を見る」ことを意識するとよいでしょう。そして、もう1つのポイントはタイヤの位置を把握すること。安全な場所で道路の路肩に引かれた白線にゆっくりと車を寄せ、車を降りて白線と車体の隙間を確認してみましょう。練習を重ねて車両感覚を身につけることで、車線変更や駐車がしやすくなります。
運転の練習がしたい!場所はどこでできる?
運転感覚を取り戻すためには、安全に練習できる場所を見つけることが大切です。交通量の少ない時間帯や貸しコース、教習所での講習など、目的に合った練習場所を紹介します。
早朝に慣れ親しんだ道路で
運転感覚を取り戻す練習は、早朝の慣れた道が適しています。朝5~6時頃は車も歩行者も比較的少なく、落ち着いて運転に集中できます。
早朝の時間帯に道幅の広い道路を10分程度走り、運転の基本操作を確認しましょう。ライトを点けて存在を示しながら運転し、通勤ラッシュ前に切り上げれば、安全かつ効率的に練習できます。風・雨・雪が強い際には練習を避けましょう。
貸しコースを利用する
東京都内にお住まいの方で、一般道で走行することが不安な方は、警視庁の貸しコースがおすすめです。府中と鮫洲にある運転免許試験場の運転コースは土・祝日に開放されており、安全な環境で運転練習ができます。近くにお住いの方は、事前に電話で予約して、以下を忘れずに持参しましょう。
・ 使用料2,000円、保険料200円
・ 免許証
・ 本人確認書類
開始30分前には現地に着くようにして、すぐに練習できるように準備しましょう。貸しコースでの練習時間は1時間です。基本の運転操作を繰り返し練習し、運転感覚を取り戻しましょう。
運転免許試験場の運転コースの詳細は、警視庁のホームページにも記載されています。詳しくは以下をご覧ください。
警視庁「運転免許試験場の運転コース開放」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/shikenjo/tekisei06.html
教習所のペーパードライバー講習を受講する
ペーパードライバーの方向けに講習を実施している自動車教習所もあります。講習では教官が助手席に乗ってドライバーをフォローしつつ、練習を進められるので安心です。右折や合流地点への進入など、苦手な運転操作を重点的に練習できます。
講習では教習車を借りられるため、マイカーを持っていなくても問題ありません。使用料や車両レンタル料込みではありますが、プロから指導を受けられるメリットは大きいでしょう。
運転練習の方法に関するよくあるQ&A
運転を練習したい方の中には「どこで練習するべき?」「どのくらいの練習時間が必要?」など、気になるポイントがあるのはないでしょうか。
疑問を抱える方に向けて、よくある質問とその対処法をわかりやすく解説します。
運転初心者はどこで練習したらいいですか?
運転初心者は、安全で落ち着いて練習できる環境を選ぶことが大切です。例えば、自動車教習所のペーパードライバー講習なら、教官の指導を受けながら専用コースで安心して練習できます。
自宅周辺の慣れた道で練習したい場合は、家族や友人に同乗してもらいましょう。交通量の少ない早朝や広い道路を選べば、事故のリスクが軽減され、落ち着いて基本操作を確認できます。
また、出張型ペーパードライバー講習サービスの利用も検討しましょう。マイカーを運転しながらプロのアドバイスを受け、実践的に運転を学べます。
運転の練習は何時間くらいすればいいですか?
必要な練習時間には個人差がありますが、1~2日間にまとめて練習するだけではなかなか運転感覚が戻らないものです。1日数時間以上の練習を、できるかぎり継続して取り組むことで上達できます。
運転の練習は短期間で終わらせず、少しずつ回数を重ねていくと効果的です。できれば、毎日ハンドルを握る機会を作り、繰り返し練習しましょう。
一人で運転するのが怖い場合、どうしたらいいですか?
一人の運転に不安がある場合は、段階を踏んで慣れていくことが大切です。まずは家族や教官に同乗してもらい、付き添いのある状態で練習しましょう。
そして、一人で運転する際は、初心者マークをつけるのがおすすめです。初心者マークは免許取得から1年以上経過しても任意で使用でき、他の車からも配慮が得られる場合があります。
まとめ
運転の練習をするときは、まずシートやミラーの調整、アクセルやブレーキなどの操作方法、道路標識の確認などの基本を押さえましょう。
そのうえで、交通量の少ない早朝や慣れた道を選び、運転感覚を少しずつ取り戻すことが大切です。不安な方は自動車教習所の教官や家族などに同乗を依頼し、苦手な運転を重点的に練習すると安心です。
練習時には落ち着いてハンドルを握り、安全運転を心がけてください。