一時停止の定義とは?

一時停止は、道路交通法第43条に基づき、特定の場所で車両が完全に停止することを義務付けたルールです。一時停止は、交通整理が行われていない交差点や踏切などで適用されます。一時停止が必要な場所には「止まれ」の標識や道路標示が設置されており、ドライバーはこれに従う必要があります。

具体的には、停止線がある場合は停止線の直前で、停止線がない場合は交差点の直前で車両を完全に停止させなければなりません。この際、「完全停止」とはタイヤの回転が完全に止まった状態を指します。徐行や減速では一時停止とは認められず、違反とみなされる可能性があります。

一時停止の目的は、安全確認と事故防止です。交差道路を通行する車両や歩行者の進行を妨害しないために、一時停止後には左右の安全確認を徹底する必要があります。特に見通しの悪い交差点では、一度停止した後にさらに前進して再度確認する「多段階停止」が推奨されています。

なお、一時停止違反には「指定場所一時不停止等違反」と「踏切不停止等違反」の2種類があります。これらはそれぞれ、標識や標示がある場所での一時停止義務違反と、踏切での一時停止義務違反を指します。一時不停止は事故につながる可能性が高いため、ドライバーには厳格な遵守が求められています。

法律上、一時停止の時間について明確な規定はありませんが、安全確認を行うためには少なくとも数秒間の完全停止が必要です。警察官による取締りでは、一時停止が不十分だと判断された場合に違反として扱われることがあります。そのため、タイヤを完全に止めた上で左右を確認し、安全を確保してから発進することが重要です。

一時停止の標識・停止位置

一時停止の標識や停止位置は車を運転する上で必ず目にするものです。ここでは改めて標識や道路標示について形状や意味を解説します。また、推奨されている停止時間も解説しています。

一時停止の標識

一時停止の標識で止まり左折しようとしている自動車

一時停止の標識は、日本の道路交通法に基づく「規制標識」の一つで、赤い逆三角形に白文字で「止まれ」と書かれています。この標識は、車両や自転車が必ず停止し、安全確認を行う必要がある場所を示しています。

近年では、訪日外国人への対応として「STOP」と英語表記が併記されたデザインも増えています。

一時停止の道路標示

路面に白文字で描かれた「止まれ」の道路標示

道路標示には、路面に白文字で描かれた「止まれ」や停止線があります。これらは一時停止標識を補助する役割を持ち、ドライバーに注意喚起を促します。「止まれ」の文字は縦書きや横書き、「止マレ」など地域によって異なる形式があります。

ただし、道路標示自体には法的効力はなく、一時停止義務を生じさせるのはあくまで標識です。しかし、だからといって安全確認を怠ってもよい理由にはなりません。しっかり確認し、一時停止を行いましょう。

一時停止の停止時間

法律上、一時停止に必要な時間について明確な規定はありません。しかし、安全確認を行うためには少なくとも3秒程度の完全停止が推奨されています。これは左右の安全確認を行い、歩行者や他車両がいないことを確かめると自然に3秒要すると言われているためです。

停止後は安全確認を忘れずに

一時停止の目的は単に「止まる」ことではなく、周囲の安全を確保することです。停止後には必ず左右の安全確認を行い、交差する車両や歩行者がいないことを確かめてから進行する必要があります。

具体的には、以下の順番で安全の確認をします。

1. 停止線の直前または交差点の手前でタイヤを完全に止める。
2. 首を振って左右をしっかり確認し、歩行者や車両が接近していないか確認する。
3. 必要に応じて徐行しながらさらに前進し、視界を確保した上で再度安全確認を行う。

また、「見せる」という行動も重要です。一時停止線から少し前進して車両の先端を交差道路に出すことで、他の車両や歩行者に自車の存在を認識させることができます。これにより、自分だけでなく他者にも安全を意識させる効果があります。

なお、見通しの悪い交差点では、交差道路や歩道から突然車両や歩行者が現れる可能性があります。そのため、時間をかけて慎重に安全確認を行うことが事故防止につながります。特に子どもや自転車など、小さくて見えづらい対象にも注意を払いましょう。

一時停止違反の点数・罰則

一時停止違反は、道路交通法に基づき「指定場所一時不停止等違反」と「踏切不停止等違反」の2種類に分類されます。それぞれ、違反点数や反則金が定められており、これらを守らない場合には厳しい罰則が科されます。

「指定場所一時不停止等違反」は交通整理が行われていない交差点や「止まれ」の標識・道路標示がある場所で一時停止を怠る行為を指し、「踏切不停止等違反」踏切において、一時停止を怠り安全確認をしないまま通過する行為を指しています。

車両の種類ごとの違反点数と反則金は次のようになっています。

違反種別 大型車 普通車 二輪車 原動機付自転車 違反点数
指定場所一時不停止等 9,000円 7,000円 6,000円 5,000円 2点
踏切不停止等 12,000円 9,000円 7,000円 6,000円 2点

なお、反則金を納めなかった場合、法律に基づき3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。また、過失が認められる場合には、さらに重い10万円以下の罰金が科されることになります。

加えて、一時停止違反によって事故が発生し、人身被害が生じた場合には、過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法)に問われる可能性があります。この場合、7年以下の懲役または禁錮、あるいは100万円以下の罰金が適用されることがあります。

また、ゴールド免許への影響もあります。一時停止違反は軽微な違反(3点以下)に分類されるため、過去2年以上無事故・無違反だったドライバーに限り、3ヶ月間無事故・無違反を継続すれば累積点数がリセットされる特例があります。ただし、「違反歴」は免許更新時に考慮されるため、ゴールド免許からブルー免許に降格します。

一時停止の取締り件数・事故件数

一時停止違反は、交通事故の原因の一つであり、警察庁が発表したデータによると、令和5年(2023年)中の一時停止違反の取締り件数は1,267,094件で、全交通違反の約23.1%を占めています。この数字は、前年と比べて約19万9,000件減少しており、対前年比で13.6%の減少が見られます。

その中でも死亡事故は100件以上に上り、特に見通しの悪い交差点や踏切での事故が多い傾向があります。令和5年中における主要な交通違反取締り件数を比較すると、一時停止違反が最も多く、次いで「最高速度違反」(88万8,500件、16.2%)、「放置駐車違反」(64万6,973件、11.8%)、「通行禁止違反」(61万6,174件、11.3%)、「信号無視」(42万8,565件、7.8%)が続いています。

一時停止違反は自転車にも適用されるって本当?

一時停止違反は自転車にも適用されます。道路交通法では、自転車は「軽車両」として分類されており、自動車やバイクと同様に一時停止の義務があります(道路交通法第43条)。そのため、「止まれ」の標識や道路標示がある場所では、停止線の直前で完全に停止し、安全確認を行わなければなりません。

自転車が一時停止を怠った場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。また、2015年6月から導入された「自転車運転者講習制度」により、一定期間内に複数回違反を繰り返した場合には、講習受講が義務付けられます。受講命令を無視した場合には、さらに5万円以下の罰金が科されることがあります。

警察庁によると、自転車が関与する事故の多くは交差点で発生しており、一時停止違反がその一因となっています。一時停止後には必ず左右の安全確認を行い、歩行者や他の車両がいないことを確認してから進むようにしましょう。また、自転車専用道路や例外的に歩道を走行する際も、安全確認を徹底する必要があります。

一時停止違反に関するQ&A

次に一時停止違反についてのよくある質問と回答をご紹介します。

一時停止違反をするとゴールド免許ははく奪されますか?

一時停止違反をすると、次回の免許更新時にゴールド免許からブルー免許に降格します。なお、違反後3ヶ月間無事故・無違反であれば点数がリセットされる特例がありますが、「違反歴」は残ります。そのため、ゴールド免許を維持することはできません。

ゴールド免許を再取得するには、その後5年間無事故・無違反を継続する必要があります。

一時停止違反の点数はいつリセットされますか?

一時停止違反の点数は、軽微な違反(3点以下)の場合、最後の違反日から1年間無事故・無違反を継続するとリセットされます。また、過去2年以上無事故・無違反であった場合は、軽微な違反をしたあと3か月以上無事故・無違反を維持すれば点数が累積されない「特例」が適用されます。

停止線を超えて止まった場合も一時停止と認められますか?

停止線を超えて止まった場合、一時停止とは認められません。一時停止は「停止線の直前」で完全に車両を止めることが求められています。タイヤや車体が停止線を踏んでいる場合も同様に違反となります。また、交差点内での停止や徐行では、一時停止とみなされず取締り対象となる可能性があります。

まとめ

一時停止は交通安全の基本であり、正しい位置での完全停止と安全確認が求められます。一時停止違反は軽微な違反に見えるものの、事故につながるリスクが高いため、取り締まられています。

カーライフの充実のために、交通法規を守って、安全に運転するようにしましょう。

※この記事は2025年2月時点の情報です。

執筆者プロフィール

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